よくあるテーマだと思います。
感じの良い展示場接客を行い、魅力のあるプランを低価格で出せば自然と契約となるものですが、やはり最後の一言というか営業マンのクロージングトークは欠かせません。
話がほぼまとまっていれば、強く押さなくても決まるものは決まります。
しかし、クロージングトークはしっかりしている方が契約率が高まりますし、何よりも早く契約に持ち込むことが我々にとっては肝要です。
まごまごしているとお客さんの心変わりもありますし、突発的な問題が発生して契約が反故になる可能性も十分にあるからです。
こう考えると、クロージングトークやクロージングに臨む態度は重要な営業テクニックといえるでしょう。
営業は強くあるべき(富山兼女性営業)
30代前半だと思いますが、富山県にちょっとだけ気の強い住宅営業の女性がいます。
ボーイッシュかつ小柄な風貌なのですが、自らも認めるかなり気が強い性格。
しかし、取材をする中で彼女(Mさん)のクロージングの強さが、成績のみならず紹介受注にも大きく影響していることがわかりました。
M さん「営業は強くなくてはいけないと思うのですよ。安いものを買うならどうでもいいんですけども、お客さんは強い営業についてくるものです」
私 「その強い営業が結果的に好成績につながってるわけですね」
M さん「私はそう確信しています。クロージングのトークも曖昧な表現を使わずにストレートに言います。 後は契約をするだけですからもう決めましょう、という感じですね」
私 「紹介が多いのも強気な性格が功を奏しているわけですか」
M さん「ある方から聞いたのですが、ご友人に紹介してくれたときの言葉が、竹を割ったような性格の営業がいるよ(笑)だったらしいのです」
取材中も口を一文字にきりりと結び、笑うことがほぼなかったMさんでしたが、彼女の強みはしっかりはっきりとお客さんに決断を促すことがよくわかりました。
「契約しませんか?」はダメ(千葉県男性営業)
今度は40代の男性営業(Sさん)ですが、彼もクロージングの様々な技を私に教えてくれました。
複数ある中で一番印象に残ったのがこの話。
S さん「2年間ぐらいは芽が出なかったですね。でもその当時の上司の一言がきっかけで、信じられないぐらい変わったんですよ」
私 「クロージング手法を変えたのですよね」
S さん「その通りです。それまでは契約を迫る時、契約をしませんか・・・と断わられやすそうな文言でお客さんに意思決定を迫っていました。そこで上司に言われたのが、契約をしましょう、私に任せてください、という断定口調のクロージングトークに変えろ、でした」
同じことを私も上司に言われた記憶があります。
「契約しませんか?」「そろそろ契約という話をしたいのですが」こういう口調は駄目だと言うのです。
その時の空気感もありますのでこれが一概にダメだとも私は思わないのですが、基本的にはこうした弱気なトークは止めて、契約をしましょう、とはっきり迫れというのが私の上司の指導でした。
このこともあったので、Sさんからこの話が出た時には、話が盛り上がってしまいましたね。
私が当時の上司に言われたことを、まさかSさんの上司も同じように部下に指導していたとは思いもよりませんでした。
でも、これは簡単そうで実際にはなかなか言えないトークです。
「契約しませんか?」と控えめなクロージングスタイルが板についてる営業マンが、突如として「契約しましょう」とトークスタイルを変えるのは出来そうで出来ません。
語尾を少しだけ変えてるだけなのですが、この少しだけの変化が高いハードルになっているのです。
しかし、言えそうで言えないということは、このハードルを何とか超えれば他の営業はなかなか真似できないということになります。
Sさんは目線や声のトーンなどもかなり工夫してクロージングに臨んでいるらしいのですが、今回のコラムではこの一点だけに絞ってご紹介させていただきました。
契約行為を最大のハードルにしない(東京都男性営業)
初回面談から始まり図面や見積を提出して若干の修正を加えれば、あとは契約するかしないかの選択しか残りません。
図面を提出してあーだこーだとやっている時は良いのですが、話が煮詰まって来れば、お客さんは心の中で「そろそろ営業マンが決めてくれって言う頃だよな」と考えるでしょうし、営業マンも「今回はビシッとクロージングをしなくちゃいけないな」と思うでしょう。
要はお客さんも営業マンも、契約という恐ろしく高い山を前にして、緊張感をどんどん高めて異常に高いハードルを設定してしまうのです。
東京で住宅営業をするAさんはこんな面白い話をしてくれました。
私 「どういうことですか?話がよく見えないのですが」
話の趣旨がよく分からない私に対して、Aさんはお客さんに説明するシーンを再現してくれました。
「契約をしてください!」
こう話したあと、お客さんの決断を待つシーンを想像してみてください。
たまらない沈黙の時間です。
お客さんとしては、いきなりイエスかノーかを迫られるわけですから、ほぼほぼ目の前のプランでいいと思ってはいても、躊躇する気持ちは分かります。
Aさんのように話をしていけば、お客さんからもこのような答えが返ってくるはずです。
いかがですか。
私もこうして文章で書いていながら非常にもどかしい気分なのですが、イメージがなかなか伝わらないと思います。
しかし、Aさんからこの話を直接聞いた時は、腹に落ちたと言うか非常に納得しました。
契約に向かってお客さんも営業マンも話を詰めているわけですが、契約行為はお客さんの家づくりにおけるちょっとした通過点に過ぎないことを意識させるのがAさんの考え方。
契約はもちろん大事なのですが、その後の様々な楽しいことや大変なことを話して契約の緊張感を薄めるとAさんは話をしていました。
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積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
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