お客様の家をお借りしたイベントの定番といえば、完成時に行う新築現場見学会でしょう。
通常は土日の二日間を使って新規のお客さんを呼んだりするイベントを行います。
しかし、新築現場は当然のことですが、建築途中で他のイベントを開いても問題はないのです。
ところが、現場見学会と聞くと新築という発想が頭にこびりついているので、この固定概念をなかなか突き崩すことができない工務店が多いと私は考えています。
お客さんの了解が得られれば、色々なタイミングでイベントを打てることを再認識してほしいと思います。
ド定番はもちろん新築現場見学会
これは言うまでもないでしょう。
住宅展示場を保有する会社であれば良いのですが、それ以外の住宅会社であれば、お客さんの家をお借りしてイベントを開催するのは有力な新規客獲得の機会です。
こう考えると、何とかお願いして現場を借りて、新築現場見学会を最低二日間だけでいいので開催することを目指すのは当然と言えるでしょう。
現場を借りるコツ
小規模工務店の社長によく聞かれるのが「最近はなかなかお客さんが家を貸してくれないんだよね」ということではないでしょうか。
防犯面などから以前と比べて渋くなってきたのに加えて、コロナの追い打ちにより、新築の家を借りることが極めて難しくなってきたのは事実です。
しかし、このネガティブ状況に少しでも抵抗するため、積極的な行動をとってください。
私がよく目にするのは、現場見学会開催の10月ぐらいに大慌てで開催現場を探す光景です。
こうなってしまうと、翌月に引渡しを迎えるお客さんの所に行って「 来月なんですけども引き渡しの直前の土日に二日ほど家をお借りできませんか」となってしまうわけです。
お客さんとしてもギリギリでこんなこと言われてしまうと悩んでしまいますよね。
これを回避するためには、契約直前の交渉時にイベントの話を持ち出すのです。
一番うまく話が進むのはバーター取引でしょう。
お客さんに対して100万円の値引きをするのを条件に契約するとしましょうか。
このタイミングで次のように話すのです。
「分かりました。では100万円の値引きを検討させていただきたいのですが、我々からも一点だけ要望を言わしてください。引き渡しの直前の二日間で結構なんですが、新築現場見学会ということで家をお借りしたいのですがいかがでしょうか」
バーター取引とはこういう意味です。
実際に持ちかけるとわかりますが、お客さんからイエスの言葉を引き出す確率はかなり上がるのです。
こうすれば1年後の新築現場見学会の予定が立つので、そこで新規客名簿を得られる可能性が出てきます。
上棟現場見学会
次に来るのはこれでしょうね。
上棟になれば屋根もかかるので、見た目も家っぽくなりイベントがやりやすくなります。
ただ、一般的には集客はさほどありません。
お客さんの立場で考えてみるとわかるのですが、完成していない家の骨組みだけを見てもつまらないからね。
上棟現場見学会に足を運ぶ方は、耐震性や耐火性に興味があり、建物の構造を自分の目で確かめたいという層に限られます。
しかし、必ずこういうお客さんはいるわけですから、イベント開催経費を極力抑えた上で実施すべきなのです。
集客数を上げるコツ
一般的には集客を見込めない上棟現場見学会ですが、ちょっとしたイベント性を持たせると話は変わってきます。
いわゆる餅まきです。
上棟時に屋根やバルコニーから参加者に向かって餅やお菓子などを撒き散らすお祝い事ですね。
私は全国でこのイベントを行ってきましたが、まず間違いなく高い集客効果を望めます。
ただし、準備に手間がかかることや、餅などの費用を施主か住宅会社側のどちらが持つかによって経費の割合が大きく変わってくるので、この辺りを含めた上で検討してください。
80%完成現場見学会
「そんなの聞いたことないぞ」
ほとんどの方がこう言われるでしょうね。
しかし、私は2022年の6月に、このキャッチコピーを使って地場工務店の皆さんとイベントを開催しました。
お客さんは全部で5組だったのですが、基本的には単なる工事中の現場を見せるだけのイベントですから、費用対効果を考えれば大成功と言えるのです。
もちろん当日は営業なり社長なりが現場に張り付く必要はあるので、人的なリソースは取られます。
しかし、ショールームを持たない小規模工務店にとって、上棟と新築のあいだにこうしたイベントを行い、五組の集客が見込めるならば、誰だって開催すると思います。
基礎打設見学会
別に基礎である必要はないのですが、要は工事途中のある工程をご披露する催し物です。
これについても参加者は0人か1人かの世界だと思います。
ただしこれもこれまで同様で、1組来れば何の問題もありません。
手の空いた人間が基礎屋さんと相談して打設時間に現場に行けばいいだけのことなのです。
誰もいない現場見学会
直近では4年前になりますが兵庫県でこれを開催しました。
この時はたまたま上棟時の現場だったのですが、職人が入らない日曜日を使ってこのイベントを行ったのです。
タイトルにもあるように現場には誰もいません。
職人もいなければ営業もいないのです。
ただ、現場を覗きに来たお客さんが見えるように、柱や壁や様々な所に大きな文字で書いたパネルを貼り付けて、営業の説明がなくてもある程度のことがわかるような仕掛けをしました。
そして入り口には「ご自由にお取りください」と10ページにわたる手作りの冊子を準備したのです。
この時は冊子を20部用意したのですが、半分の10部がなくなるという結果になったのです。
当日の様子は建物2階にWebカメラを付けて事務所から見ることができるようにしました。
録画はしていませんでしたし事務所に社員がいない時間もありましたので、全てを確認したわけではないのですが、社員が確認しただけでもう5組のお客さんが車を家の前に止めて外からしっかりと見学をしていたのです。
営業がいないと油断する
お客さんの心理はこんなところではないでしょうか。
建物を見てみたい気持ちはあるものの、 現場に行けば営業が待ち構えていてアンケートへの記入を要求されることが目に見えてるわけです。
ですから、お客さんにとって最も都合が良いのは、営業などにまとわりつかれることなく建物をゆっくり見られる環境となります。
接客は出来ませんしお客さんと言葉を交わすこともできません。
しかし、経費はほとんどかかっていませんし、単なる休日の現場を使ってるだけです。
集客がゼロであっても何のダメージもないでしょう。
それどころかこの兵庫県のケースでは、10部の手製冊子をお客さんが持ち帰ってくれたのです。
この中の1組が、数ヶ月後もしくは数年後にぶらりと現場に現れれば、これまた大成功だと言えるのです。
まとめ
建築現場を使ったイベントあれこれを、今日はご紹介させていただきました。
イベントといえば新築現場見学会、と頭の中が固定概念でいっぱいの方には是非参考にしていただきたい内容です。
そういう私も積水ハウスの現役時代には、100%近くが新築現場見学会で、あとは若干の上棟見学会をやった経験しかありません。
コンサルティングの仕事をやるようになってから、頭の中であれやこれやと考え始めて、企画をひねり出してきたのです。
固定概念にとらわれず、集客チャンスを逃さずこれからも頑張ってください。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。