住宅営業社員の育て方・・・3【女性営業の育て方と問題点】

住宅営業における女性営業のポジショニングは、大昔から議論の的で3歩進んでは2歩下がる状況が続いてきました。

しかし、以前と比べると、社会情勢が女性住宅営業の活躍を後押ししているといってもいいでしょう。

働き方改革です。

その昔は【住宅営業=長時間労働】のような印象でしたし、お客さんが仕事から帰ってきてから商談をする構造的な問題もあり、退社時間が遅くなる傾向がありました。

しかし、働き方改革により、ハードワークで知られた大手の住宅会社であっても、無理を強いることが激減したのが現実です。

もちろん問題点はたくさん残っていますが、 私も長年この問題と向き合ってきたので、今回のコラムでは実際現場で起こっている問題を、オブラートで包むことなく、ありのままを書いていきます。

今回は女性営業の問題点に的を絞り、次回号で育て方に言及していく予定です。

某女性営業部長に話を聞いてみた

規模はさほど大きくない中堅の住宅会社に、女性営業部長のKさんがいます。

Kさんは住宅営業一筋で、結婚、出産後も営業職に携わり、そのまま今のポジションに昇格した人物です。

自身が女性であるがゆえに、この問題にも大きな関心を持つと同時に自らも悩んだ経験を持っています。

彼女が考える女性営業の問題点を箇条書きにしてみましょう。

①結婚退社による早期退職リスク

古典的な問題ですね。

自身が結婚と出産を経験しながら住宅営業を続けたので、話に極めて説得力があったのですが、Kさんによると結婚自体は本人の強い意志があれば仕事を辞める理由にならないとのこと。

ただ問題なのは、出産と育児による休暇だと彼女は指摘します。

出産による一時的な休職はやむを得ないものの、育児休暇となると会社の理解がないととてもではないとできません。

この会社は社長が極めて理解が高く、法令遵守の精神もあるので、 出産時の休暇はもちろんのこと育児休暇もしっかりと認める社風だといいます。

営業部長が女性ということもあるので、女性営業が全営業の半分を占めています。

②ハードワークによる体力的な問題

男女間の体力差に関してはいかんともし難いものがあります。

今から15年程前は、こちらの会社も長時間労働が常態化していたので、女性営業に対する理解がいくらあるとはいえ、体力的に厳しくて退社する女性営業の比率は高かったと部長は話してくれました。

しかし、昨今の働き方改革によって、この問題がかなり払拭されてきたとのこと。

自分の会社もセーブするわけですが、他社も営業時間をセーブせざるを得ないので、互いに公平な状況だと彼女は指摘します。

③奥様からの嫉妬

最後に盛り上がったのがこの話。

若い女性営業に発生しやすい問題ではあるのですが、お客さんである御主人が、女性営業を気に入ってしまうケースが、ちょくちょくと発生します。

それだけなら問題ないのですが、ある問題が発生します。

奥様が嫉妬というと大げさですが、あまり良い感情を持たないのです。

これは隠れた問題で、表面化しにくいのですが、私もこのケースは多々あると確信しています。

ある大手企業の役員氏が私に話したこと

ある大手住宅メーカーの話です。

積水ハウスやダイワハウスなどのグループに属しませんが、急成長している、某ハウスメーカーの役員氏から私が直接聞いた話です。

大きな会社になるので毎年のように新卒を採用します。

どんな住宅会社でも人事は採用戦略があります。

この会社でも様々な採用戦略がありますが、その中の大きな柱の一つが、男女間の採用基準に差をつけないことです。

どんな会社であっても表向き同じようなことを言いますが、実際のところは怪しい部分が多いでしょう。

しかしこちらでは、男女間での採用基準には差を設けず全く平等な視点で採用活動を行っているとのこと。

女性が優秀なのは明らか

このような平等採用の結果ですが、女性の成績が男性を上回るので必然的に女性の合格者が増えてしまう傾向があるそうです。

その結果、多くの女性社員が営業職として入社するのですが、入社後の成績を見ても女性の方が優秀との結果が出ています。

女性営業が有利な点は多々ある

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陳腐な女性持ち上げはしません

世の中の論調見ていると、よく考えもせずとりあえず「女性の方が男性より優秀ですよね~と言っておけばいいだろ」との風潮をたまに感じます。

私はそれが非常に気にかかっているので、今回記事ではそのような 考え方で書かないことだけは明言させていただきます。

前述した住宅会社役員氏の話も事実です。

平等に入社試験を行ったところ、女性の平均値が男性平均値を上回る動かしがたい事実があります。

女の子がいると女性営業は話を弾ませやすい

これも事実です。

実話をご紹介しましょう。

営業担当者は入社4年目26歳の女性社員。

彼女のことは入社時から知っているのですが、今では年間に8棟から9棟を販売できる能力を身につけました。

彼女にいろいろ質問したことがあるのですが、男性営業と比べて明らかに女性であることが有利に働いていた接客事例を教えてくれまたのです。

その一つが、お客さんに女のお子さんがいるケース。

あるとき接客した方に5歳の女の子がいたのですが、そのときは自分の話を重ねながらこう話したそうです。

「私が小学校一年生のときに親が自宅を建てたのですが、そのときは6畳程の部屋をもらって、横幅2mのクローゼットを部屋につけてもらいました。ところが中学校に上がる頃になって洋服がどんどん増えるようになりまして、そんなクローゼットでは全く量が足りなくなってしまったんですよね。ですから、女の子の場合はそのあたりも考えて収納を作ってください」

これは一例ですが、このトークは男性営業よりリアリティーがでますよね。

このほかにも、母親と一緒にキッチンに立って食事を作った話や、 物干しから下着を盗まれたから防犯は重要、など女性ならではの話で奥さんと話がはずんだことをいろいろと教えてくれました。

“かわいい”を 理解できる女性

男性の方は私にきっと共感してくれると思うのですが、女性がよく口にする“かわいい”に戸惑ったことはないでしょうか。

例えば喫茶店に行ってパフェを注文したとします。

しばらくして目の前に出てきたパフェを見て「このパフェかわいいわね!」と感想を漏らすのは間違いなく女性であって、男性には基本的にこのような感覚は備わっていません。

私が現役時代にある女性から〇〇と教えられました

私が積水ハウスに入社したての頃ですが、その当時40代だったインテリアコーディネーターの女性に、あることを教えてもらいました。

「展示場接客をしていて、なんでもいいんだけどもう奥さんが“これってかわいいわね”と口にしたらそれは要チェックだわよ。女性が“かわいい”と言うときは、対象物に極めて高い好印象を持ったということだからね」

この時私は大変納得した記憶があるのですが、確かにこの感覚は 男性と女性で大きく異なるでしょう。

ですから、感性の面から分析しても、女性営業は奥さんの心をつかまえやすい特徴を持っています。

男性には絶対立ち入れない感覚を女性は持っているわけですが、 これに加えて建築の知識や間取りのアドバイス力などが備わってくれば、女性営業にとって極めて有利な状況が出現するのです。

アイフルホーム加盟店にいた辣腕女性営業

アイフルホームは誰もが知るようにローコスト住宅メーカーの老舗フランチャイズです。

中国地方のある加盟店なのですが、とにかく売りまくる強烈な女性営業がいます。

もちろん私は彼女と話したことがありますが、性格はサバサバ系でとにかく物事をスピーディーに進めるのが、何気ない雑談からもすぐに分かりました。

彼女はとにかく奥さんの気持ちを捉えるのが得意中の得意で、展示場接客において、ものの5分も話せば奥さんと完全に打ち解けられると自信たっぷりに話をしていたほどです。

まとめ

今回は女性住宅営業について話をしてきましたが、冒頭にも書きましたように、今回の記事では女性住宅営業の有利な点や問題点などについて述べました。

次回も引き続き女性住宅営業について書き進めますが、今度は育成方法に的を絞ります。

うまくいった事例を紹介するのはもちろんですが、失敗事例も当然ながら山ほどあります。

若干話をぼかすかもしれませんが、すべて私がこの目で確認し、この耳で聞いたことだけをお伝えしたいと思います。

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積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。

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