住宅営業社員の育て方・・・5 【トラブル対処法を教える】

住宅業界につきものであるトラブルやクレーム。

クレーム産業と言われて久しいのが我々の業界ですが、新人にとってはそんなことはわかりません。

皆さんも大なり小なりトラブルやクレームを経験したことがあるはずですが、経営者や幹部社員にとって一番困るのは、トラブルを起こす社員の尻拭いをさせられることです。

自分のミスであれば自業自得ですし、それなりの対処方法も身に付けていると思いますが、部下のクレーム対応ほど非生産的な仕事はありません。

そのために、新しく業界に入ってくる営業社員には、お客さんとのトラブルを可能な限り減らす指導をしなくてはならないのです。

トラブルの事例を徹底的に教える

「トラブルにならないよう気をつけましょう」

これではよくわかりません。

実際にあったトラブルの事例やどんなクレームを受けたかを話すのが、一番よく伝わります。

この業界で何年もやっていれば、大なり小なりのクレームもあるでしょう。

大きなクレームはもちろんですが、お客さんが気分を害するようなちょっとしたクレームまで含めて回避の方法を指導しなくてはだめです。

私のクレーム経験

余談になりますが、私のクレーム経験をかいつまんでお話ししましょう。

いろいろなクレーム経験がありますが、一番厄介だったのは、あちら系の人が絡んだクレームでした。

事細かには書きたくないので結論を先に言いましょう。

まんまとハメられた(笑) こうなります。

建築請負契約時に必ず契約書の読み合わせをすることが義務付けられていたのですが、それを説明しようとすると「いいよ、いいよ、そんなの。俺はよく分かっているからさ、今から寿司でも取るから一緒に食おう!」

説明しようとすると遮るものですから、私もついつい「まぁ、いいか」と説明をしませんでした。

着工までは何の問題も無かったのですが、いざ工事が始まると難癖の嵐で、最終的には支店にまで乗り込まれ、大声でガンガンやられました。

難癖っぽいところもあったので「それに関しては会社の標準的な仕上げでして・・・」と説明を始めると「ふざけんなこの野郎! てめぇは契約書を読まなかっただろうが!」

心の中では「読まなくていいと言ったのはあなたですよね」と思うのですが、あの状況だとそれがなかなか言えません。

隣に支店長が立ち合ってくれていたのですが、最終的にはいろいろやり取りをしたのち解決に至りました。

やはり究極のトラブルはあっち系ということになるでしょう。

一般的なトラブル事例を 複数教える

私の例は極端でしたが、ごく一般的にあるトラブル事例は、しっかりと伝えてあげてください。

そして、そのようなトラブルになった原因は何だったのか、何が悪かったのか、どうすれば問題が発生しなかったのか、これらを時間を取って話し合うのです。

適当にやってはダメです。

私が社長であれば一時間ぐらいはしっかりと時間を取り、面と向かってこんこんと話をするでしょう。

これをしっかりやらないと、嫌な思いをするのは社長であり幹部社員です。

嫌な思いをするだけならいいのですが、会社に数100万円の損益を与える可能性すらあります。

クレームほどばからしいものはありません。

先輩社員が尻拭いをさせられ、営業本人は嫌な思いをし、会社に多大な損失を与え、そして何よりもお施主さんが被害をこうむることになるのです。

よくあるクレーム事例

電話,どなる,ビジネスマン,

言った言わない

なんといってもクレーム原因の定番はこれでしょう。

上司としても対応しようがありません。

どこまで行っても営業社員とお客さんとのやりとりですから、録音でもしていない限り、お客さんが絶対有利になるのです。

これを防ぐにはメモを取らせるしか方法がありません。

とにかく、しつこく指導してください。

同行折衝した時、隣でメモを取っていないようでは話になりません。

帰りの車の中で良いので、こんこんと諭して欲しいのです。

普段の業務でもメモの癖をつけさせましょう。

もう一つ大事なことがあります。

何か疑問に感じたら、すぐに先輩社員に質問する癖をつけさせることです。

新入社員人は、わからないことだらけが当然のこと。

「わからなかったら聞けばいいじゃないか」と簡単に言いますが、 そもそも彼らは、何を聞けばいいのかがわからないという壁にぶち当たります。

その次の壁は、聞くことが多々ありすぎて、いちいち聞いてられないと考え、質問を取捨選択してしまうことでしょう。

確かに1から100まで聞かれたらこちらとしてもたまったものではないのですが、当面は1から100でいいのです。

徹底的に質問をさせる癖をつけさせましょう。

動きが遅い

ちょっとした動きの遅さ、対応の遅れが、お客さんの不信感とイライラを招き、クレームへと発展します。

とにかく早く対応すること、早く連絡すること、この二点だけを徹底するように指導してください。

私はかつてこんなことで上司に怒られました。

夜の8時ぐらいだったでしょうか。

契約を済ませたお客さんのフォロー業務をしていたのですが、横のデスクに座っていた店長に「〇〇さんに電話して、市役所へ行って所得証明を取ってくるようお願いをしろ」と指導を受けました。

私は返事をして、そのままほかの業務に手を付けて、15分ほど経ったところでしょうか、店長が突然怒りだしたのです。

「連絡しろと言っただろうが!何もたもたしているんだ!」

店長としては、その間延び度合いが頭にきたのでしょうね。

指示を受けたら、その場で電話をしろということです。

イメージが違う

これは営業社員の問題ではなく会社の問題ともいえます。

ハウスメーカーなどではこのトラブルを徹底的に防ぐため、建物完成後のイメージが、打ち合わせ時のイメージとずれることのないようにプレゼンテーションを徹底的に行います。

ここまで書いて私もふと思い出しましたが、外壁の色を決めるときにも「雨の日と晴れの日では外壁の見え方がかなり違うので、時間があれば現地で確認を一緒にしましょう」と説明していました。

全てのお客さんにこのような対応したわけではありませんが、商談の流れでこのお客さんは押さえておいた方が良いな、と思った場合には細かい対応をして行きました。

トラブルがあったらすぐに報告させる

やはりこれに尽きるでしょう。

トラブルはすぐに報告させ、火が小さいうちに対処すれば、簡単に消すことができるのです。

発見が遅れると手の施しようがなく、鎮火まで何日もかかります。

おそらくこれは、世界共通の方程式ではないでしょうか。

問題を上司に報告するのは、若い社員としてはプレッシャーがかかりますし、気乗りするわけがありません。

しかし、早く報告することが素早い沈静化に結びつき、本人はもちろん社長や上司も事無きを得て安堵のため息をつけるのです。

まとめ

今思い出してもクレームは本当に嫌でしたね。

小さいクレームを含めれば、いろんなことを私の経験談として書くこともできますが、今回はあっち系の経験談だけにさせていただきました。

私の先輩そして後輩もそうでしたが、住宅営業から去っていく大きな要因の一つが、お客さんとのトラブルなのです。

いくら歩合給があるとは言え、複数のお客さんとトラブルを同時進行で抱え、携帯電話にひっきりなしに電話が入ってくるようでは精神的にとても持ちません。

新卒や異業種からの入社組に対しては、営業成績を上げるための指導はもちろんのこと、トラブルを起こさない営業に育て上げるのも社長や幹部社員の重要な責務なのです。

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