住宅営業社員の育て方・・・6 【現場もわかる営業は強い】

小規模で事業を営む工務店の皆さんには理想論となるかもしれませんが、それを承知の上で今日のテーマを描き進めます。

体力のある大企業では実行可能ですが、少数精鋭の工務店では実現が難しい話です。

しかし、理想論と分かっていても、どうしても皆さんにお知らせしたいので、今日のテーマとして取り上げました。

大企業のようにシステマチックにシステマチックにはできなくても、 経営者にこの考え方がしっかり身についていれば、営業社員の能力をあげることができます。

某大手メーカーのやり方

大手ハウスメーカーは、基本的には4大卒の社員を営業として採用します。

前年には内定を出し、翌年の4月には全員が揃って入社式を迎える ことになるのですが、ここからが面白いシステムになっています。

営業社員として採用したわけですから、一定の営業研修を終えた後に、各展示場に配属されてそのまま営業活動に従事するのが普通です。

しかし、この会社では、営業現場に出す前に現場を経験させるのです。

経験させるといってもいきなり現場監督をできるわけはありませんし、もちろん職人としてものづくりに参加することなど不可能です。

あくまで、現場監督補助との立ち位置になりますが、現場の動きを直に見ることができますし、何よりも空気感をつかむ最高の機会となるのです。

職人と仲良くなれるのも大きなメリット

実はこれも大きなポイントです。

現場の職人さんと仲良くなると、いざ契約したお客さんとの工事が始まっても現場との意思疎通がしっかりなされるので、トラブルの可能性が低くなります。

営業が気になることがあれば、すぐに現場の大工さんに連絡できますし、現場の大工さんが気になることがあれば、営業に電話一本で「お客さんがちょっと怒っているいけど大丈夫かい?」などの対応が可能となります。

また、大工さんから紹介が出る確率も俄然高まるのです。

兵庫県に本社がある住宅会社の話ですが、40歳になるキャリア15年の店長がいます。

この店長とは10年の付き合いですが、けたたましく明るい性格で 初対面でも5分あったらお友達になれるという実に羨ましい性格をしています。

こんな人間ですから、現場の大工さんは全員飲み友達という状況。

「契約予定客がちょっと無いんだよね~誰かいない?ちょっと助けてよ」

現場にいって店長がこうお願いすると「そうかい、じゃ、ちょっと当たってみるよ」

たちまちこうなるのです。

営業時に工事現場の話をできると話が盛り上がる

お客さんとの商談では、図面を広げながらプランの説明や見積もりの提示などをするわけですが、その流れの中で工事現場の話ができると、商談の幅がさらに広まります。

雨の予想が出た時の現場対応として資材の養生の話ができますし、職人がどんな作業をしているかなども真横で見ていますので、リアリティをもってお客さんと話すことができます。

お客さんから見ると【営業=セールスマン】と映るわけですが、 現場も知らずに売っているのではなく、よく知っている上でお話をしているのだ、ということが伝わるのです。

お客さんとしても、営業マンが現場の話をリアルに話すのを見れば、「この人は現場のことをよくわかっているのだな」となり、安心感に繋がります。

某大手ハウスメーカーで日本一だった営業は現場監督出身

もう引退していますが、ある大手ハウスメーカーで日本一の売り上げを誇った営業マンは現場監督出身でした。

現場を知っている営業マンは強い、と前述しましたが、元々が現場監督ですから、そのあたりはパーフェクトな知識と豊富な経験を持っているわけです。

プランの話ももちろんできますが、一般の営業がする折衝に加えて現場の話を豊富に絡めることができるので、話の質も幅も広がるのと同時に、現場で起こった笑い話や困った話なども豊富に織り交ぜることができるのです。

私は直接の面識がないので又聞きにはなりますが、彼を知る同じ会社の同僚はこのような話をしていました。

偉かったのは社長

ところがこの日本一営業マンは自ら希望して営業マンに転身したのではありません。

ある地方の販売会社に所属していたのですが、この社長が彼の素質を見抜いたのです。

弁が立つ上に頭の回転が速いと聞いているのですが、このような営業としての素養がある上に、現場監督としての長いキャリアがありました。

そんな彼を呼び出して「営業をやれ」と業務命令を社長は通達しました。

唐突な辞令でしたが、いざ営業に転身したところ、ほぼロケットスタート的に受注を取り始め、あっという間に日本一の座に上り詰めてしまったのです。

元大工が営業に転身して成功した事例も

紙飛行機,ビジネスマン

10年ほど前に社名を変えたのですが、こちらも全国区ハウスメーカーのお話です。

今から20年ほど前に、この会社から突然わたくしの事務所に電話が入りました。

「〇〇〇ハウスで社長をしております〇〇と申しますが、本社に来ていただくことは可能でしょうか。あなたのお話をぜひ伺いたいと思います」

さすがにびっくりしましたね。

会社はもちろん知っていたわけですが、ひょっとしたら同名の別会社ではないかなと最初は思ったからです。

一部上場の住宅会社の社長が、まさか直接電話を掛けてくるとは 想像できませんよね。

こちらの会社とは、2年ほど営業研修などでお世話になりましたが、 なんと会社の上層部に元大工さんの方がいたのです。

この方は大工さんから営業に転身して、売りまくった結果、その勢いで役員にまでなりました。

この役員の方もその当時同じことを話していたのです。

「大工なので木材のこともわかるし見立てもできます。木の特性は 知り尽くしているし、我々のような本格木造ハウスメーカーの場合は、こんな話をとことん聞いてくれるお客さんが多いのですよ」

本格木造メーカーということもあるのですが、このような会社を気に入って商談する人は、木造住宅が大好きな人が多いので、話が盛り上がるわけです。

木造住宅が好きな人に対して元大工さんの営業が対応すれば、お客さんの満足度が爆上がりするのは自明の理でしょう。

わたくしが直接聞いたこの話も、営業が現場を知っているといかに有利かと言うことを物語っています。

役員氏は何度も私に「現場の深い知識があると、お客さんの信頼度が全く違うんですよ。話をしていくうちに“あなたにもう任せました”という空気になるのが分かるのです。ですから、大工でも現場監督でも基礎職人でもいいのですが、営業に転身したら成功する人材は多数いると私は思っていますよ」

このように熱く語っていたことを今でもはっきり覚えています。

まとめ

会社の体力があることが前提とはなりますが、営業社員を採用したら、できる限り現場の空気を吸わせることが重要です。

私は今でも思うのですが、新卒で入社してすぐに営業のフィールドに出るのではなく、3か月ほど現場を経験していれば私は販売実績をもっと伸ばせたと確信しています。

人と比べると私は弁の立つ方だと思いますし、今から5分間のスピーチをしなさい、と突然言われても、何かしら話題を引っ張ってきて話す自信はあります。

ですから、営業当時の商談時にも、いろんな話を引っ張ってきて 場を盛り上げていましたが、そこに現場の体験と知識があればどれだけ良かっただろう、と思うわけです。

会社の体力があれば、と書きましたが、営業させながらでも並行して現場の空気を吸わせることは、小規模工務店でも可能だと思います。

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工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」

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積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。

コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。

今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。

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