皆さんも耳にしたことがないでしょうか。
住宅展示場への新規来場者が激減しているのです。
今回のコラムは、来場数が激減している理由に加え、それによる影響も分析して行きます。
現状で住宅展示を持っておられる方はすでにお分かりだと思いますが、これから住宅展示場を建設しようと考えている方にとっては、非常に気になるデータでしょう。
結論から申し上げると、住宅展示場の来場数は減少しています。
新築の着工戸数10年後には半減するとの予想が出ていますし、おそらくはこのように推移するだろうと私も推測しています。
しかし、すでに新築事業で勝負している方にとっては、この半減時代に生き残りをかけて戦なくてはなりませんし、これから参入される方も、ポイントさえ押さえれば生き残らなくてはならないのです。
住宅展示場ビジネスモデルの崩壊か?
これはさすがにオーバーです。
正確に表現すると漸減が正解でしょう。
新築希望者の減少やバーチャル展示場の急速な普及が背景にあるものの、数千万円もの住宅を購入するのですから、実物を確認したいとの気持ちがなくなることはありえないと思います。
しかし、バーチャルの時代に向かっているのは事実でしょう。
皆さんもそうだと思いますが、住宅の購入は高額な買い物であることに加えて、契約するまでの過程を楽しむこと自体がイベントになっています。
せっかくのイベントなのですから、バーチャルでは面白くありません。
住宅展示場、現場見学会、住設のショールーム、などに足を運んで商品を自分の目で確認し、そして説明してくれる人からダイレクトに話を聞いてみたいと考えるのは当然だと思います。
住宅展示場来場者現象の理由
①新築希望者の減少
これがもっとも端的で分かりやすい理由です。
新築をする人自体が減るわけですから、来場者が減るのは自明の理でしょう。
②高齢者が増える
新築希望者が減るのと同時に高齢化社会を迎えるので、お客さんの層も若い人だけでなく年配層が増えてきます。
例えば70代の夫婦が平屋のセカンドハウスを建てるとしましょう。
こうした方たちにとって、リアルの展示場に出向くのは若い人たちと比べると億劫になるのは当然ですし、体の具合によっては自宅にいながらバーチャルで家選びができれば有効な手法といえるからです。
③住宅会社が仕掛けてくる
リアルの住宅展示場しかなければ、たとえ面倒くさくてもお客さんとしては展示場に足を運ぶことになります。
ところが、住宅会社自体が積極的にバーチャルを推し進める傾向は今後も続きますし、コロナによってWEBを使った商談ツールを続々と大手が中心に開発しています。
一条工務店などは来場したお客さんにタブレットを貸出し、営業マンに会うために展示場に来なくても、ある程度の商品等を自分で見学することができます。
このようなことを各社が競うので、展示場に足を運ぶ回数が減ってくるのは充分に推測できます。
④SUUMOなどの影響
SUUMOの影響は極めて大きいといえるでしょう。
お客さんはSUUMOカウンターに相談をしに行くわけですが、お客さんに合った住宅会社を2~3社紹介され、そこにアポを取っていく形がかなり定番化してきました。
従来であれば総合住宅展示場にふらりとでかけ、思いつくままに5社、6社と展示場をはしごするスタイルが一般的だったのですが、2~3社に絞り込んでアポイントを取ってやってくるので、必然的に1社当たりの来場者は減ります。
⑤見学するメーカーを事前に絞り込む
SUUMOカウンターに出向くことにより足を運ぶ住宅会社が絞られると書きましたが、これらのサービスを利用しないお客さんであっても、自分でホームページをきっちりチェックして絞り込んでくるお客さんも増大しました。
①~⑤ まで5つの主要な要因が影響して住宅展示場の来場者が減っているのです。
ホームページの充実は率先してやること
インスタグラムやYouTubeなどが大きく脚光を浴びていますが、やはりホームページの精度を上げることは、最も重要なことと言えます。
最初のきっかけはインスタグラムやYouTubeだとしても、それらであなたの会社を認識すれば、次には間違いなくホームページを見に来るでしょう。
いくらインスタグラムをおしゃれに作っても、ホームページの精度が低かったり、おしゃれな雰囲気が欠如していれば、そこから先に進む可能性は低くなります。
つまり、住宅展示場にまで行こうとの気持ちは大きく減退し、あなたの会社はリストから外されます。
10年前と今との接客の違いは何か
お客さんはあなたの会社を知っている
一番大きな違いはこれだと私は思っています。
あるお客さんが総合住宅展示場に建っている積水ハウスに来場したとしましょう。
積水ハウスの知名度は圧倒的なものがあるので、来場したお客さんが社名を全く知らずに、たまたま入ってくる可能性は極めて低いと考えられます。
しかし、社名は知っているものの、積水ハウスの中身についてはほぼ知識がない状態で来場したのが10年前の話です。
ここ最近の傾向を見ていると明らかなのですが、積水ハウスにやってくるお客さんは、積水ハウスのことをかなり勉強してから展示場にくるのです。
たまたま積水ハウスの名前を出しましたが、これはほかの会社も全く同じで、事前にホームページを隅々までチェックして、構造やデザイン性などの特徴を頭に叩き込んだ上で来場します。
基本的な説明を省くことも重要
ホームページをしっかりと読み込んでお客さんが来場したとしましょう。
この場合ですが、会社の歴史や考え方、さらには資本金等の情報も頭に入っているかもしれません。
また関連会社があるのであれば、それも把握してやってくるかもしれないのです。
さらには、構造、防蟻対策、アフターサービスなども、ほぼほぼ頭に叩き込んだ上で来場したとすれば、建物構造やシロアリへの対応などを一から説明すると、お客さんは心の中で「そのあたりはもう分かってますよ・・・」となる可能性があるのです。
私が営業であれば、次のようなやり取りをするでしょう。
私 「森ホームは初めてですか?」
お客様「はいそうです」
私 「他の方もホームページを読み込んでから来られる方が多いのですが、お客様も弊社のホームページをご覧になりましたか?」
お客様「ええ、かなりしっかり見てきましたよ(笑)」
私 「構造はもちろんなのですが、アフターサービスについては他社よりかなり良いものを持っておりまして、それもホームページに大きく書いてあります。そのあたりもご覧になられたのでしょうね・・・」
お客様「はい、20年保証などはかなり珍しいと思って、目が止まりました」
仮にこのような会話があったとしましょうか。
この場合、20年保証に関する項目はじっくりと読んでいるのですから、場合によっては基本的なところは割愛して、20年保証が他社にはない強みだということに加えて、なぜ自社がこのような保証をすることに至ったのか、から話せばいいのです。
私も現役時代に同じような対応をしていました。
ホームページなどはもちろんなかった時代ですが、バリアフリーについては、こんな質問をしながらお客さんを接客したものです。
私 「弊社はバリアフリーを標準仕様にしているのですが、バリアフリーはどの会社でも説明を必ずしますので、お客様もどちらかで既に聞かれていませんかね?」
お客様「さっき行ったセキスイハイムさんで散々聞きました」
私 「そうですか。では、もうこのご説明はよろしいですよね」
話の核心部分は同じです。
「その話はもう聞いたよ」
というシーンを、極力避けることが肝要なのです。
まとめ
住宅展示場の来場者が減っていることはご理解いただけたかと思います。
展示場を保有している住宅会社に私は出入りをしていますし、それらの情報も毎日のようにどこからか入ってきます。
現在すでに住宅展示場を所有している会社の皆さんに一つだけアドバイスをすると、やはりホームページの見直しでしょう。
「うちは綺麗に作ってあるよ」
こうおっしゃるかもしれません。
最近はどの会社も一見すると綺麗にまとまっているので、皆さん自信を持っているのですが、私から見ると非常に穴だらけなホームページが多いのです。
考えられる理由の一つとしては、ホームページ制作会社が住宅販売のことを分かってないことでしょう。
住宅営業の現場をわかった人たちがホームページ制作に携わるのと、まったく知らない人たちが他の飲食店などノリと同じような形で作るのとでは、その精度に格段の差が出ます。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。