年が明けて2023年となりました。
私は1月2日、3日と中部地方にある総合住宅展示場2箇所訪れました。
結論からお話しましょう。
「思ったより人は出ていた」
もちろん、たった2拠点の話ですから、全国平均を取ればこのデータは違うかもしれません。
しかし、新築希望者がどんどん減る状況を考えると、展示を持つ会社としては、ほっとひと息をついたかもしれません。
その一つの要因として挙げられるのが、コロナ疲れではないでしょうか。
「イベントを行ったら信じられないぐらい人が来た」
今年はこのような現象が確実に起こると考えています。
コロナ疲れで鬱憤がたまっている
色々な業界で言われているのですが、コロナによってイベントが制限され続けた結果、その反動がこの正月などのイベントには出たと私は考えています。
住宅展示場も全く同じで、家を建てる人はもちろんですが、当面は建築予定がないお客さんも、総合住宅展示場が開くイベントに足を運んだと思います。
私はこの正月に2か所の総合住宅展示場に行きましたが、そのうちの1か所では、いわゆるヒーローものをメインにしたイベントを行っていました。
私が帰った後に某住宅会社の店長に聞いたのですが「午後の部はめちゃくちゃお客さんが来ていましたよ」とのこと。
しかし、住宅会社としては自社の展示場に何人来たかが勝負になります。
イベントには大勢の人がやって来たのですが、この会社の来場者数は、昨年よりは増えたものの、ほぼ想定内の範囲だったようです。
昨年度の年末年始は行動制限がかかっていたので、それと比較して増えたからといっても、あまり参考にはならないでしょう。
しかし、イベントを打てば人が来ることはほぼ間違いないと言えます。
住宅展示場に限らずニュースを見ていると「お客さんでごった返しています」との現地レポートを皆さんも目にしたでしょう。
単独展示場で爆発的な集客を上げたBホーム
ある県に建っている単独住宅展示場を構える地元の工務店の情報も聞きました。
正月にイベントを打ったのですが、その来場状況を聞いて久しぶりに私はたまげました。
2日3日と2連続でイベントを行ったらしいのですが、アンケートに記名した来場組数は66組。
総場数はたらしいのです。
アンケート記入を拒んだ方や、忙しくて取り損なった方も入れると、この数字はさらに1割から2割程度は増えるとも社長が話していました。
複合的なイベントを開催
①30分セミナーを4つ開催
2日間にわたってセミナーを開催したそうです。
テーマは相続や金利動向の話など4テーマで、それぞれ30分程度のセミナーです。
このセミナーがなかなか好評で、4テーマ合わせて参加者数が20名とのこと。
20名ですから1つのセミナーに参加した方は、平均で5名ということになります。
「そんなもんか・・・」と言われる方がいるかもしれませんが、私から見ればこれはかなり集客できたと断言できます。
詳細な話は聞いていませんが、この中で積極的に建築を考えている方は2人いたそうです。
これは素直にすごいと思いませんか。
②プロサッカー選手を招聘
プロサッカーといってもJリーグではありません。
さすがにJリーグのチームを呼ぶことはこれは難しいと思いますし、呼べたとしてもギャラが大変でしょう。
現場に呼んだのはJFLのチームに所属する二人のサッカー選手でした。
プロサッカーチームは上から順番にJ1、J2、J3と存在し、その下にJFLが位置しています。
一般の方が注目しているのはJ1になりますので、そこから3つ下のJFLとなるとクラブの財政も大変ですから、さしたる経費をかけなくても、声をかければ積極的にこの手のイベントには選手を派遣してくれるのです。
しかし、集客効果は抜群で、サッカー好きな人や子供にすれば「プロの選手が来るんだ」となります。
ドリブルの実地指導などを当日は行ったらしいのですが、これは盛りあがったと社長が話していました。
話を少し横にそれますが、今から6~7年前に仙台のある工務店に私はコンサルで通っていました。
その会社でお客さん向けの感謝祭を行ったのですが、その際にベガルタ仙台の選手とマスコットキャラクターに、イベントに参加してもらいました。
その当時ベガルタ仙台がJ1かJ2かは忘れてしまいましたが、 全国的な知名度はありますし、地元の仙台市民にとってはスーパースター軍団になるわけです。
選手には1時間だけいてもらって、サイン会、ドリブル、リフティングの講習会を行ってもらい、マスコットキャラクターは1日中現場待機をお願いして、写真撮影に応じてもらったのです。
この経費なのですが、当日数万円支払っただけだとお伝えしておきましょう。
しかし、この会社は年間契約でベガルタ仙台のスポンサーになっていました。
それがベースにあるのでこのような金額で呼べたのですが、 年間に支払っていた金額も驚くほど安いものでした。
しかし、この金額を外部に漏らしてはいけないと社長に言われたので、 申し訳ありませんがここでは伏せさせていただきます。
③消火器噴射体験会
このイベントは元々私が社長に教えたものなのですが、子供向けのイベントとしてはかなり受けがいいものです。
実際の消化器を使ったわけではないのですが、中に水が入っていて、レバーを握ると水が噴射され標的に当たる仕掛けになっています。
「小さなお子さんに消化器体験をさせるのは大事です」
私が企画に携わる時にはこのようなキャッチコピーを付けて宣伝するのですが、皆さんも親の気持ちになればこのキャッチコピーに惹かれるのではないでしょうか。
夏場になると衣服を着たまま泳ぐ訓練をさせているニュースを、テレビなどで目にしたことがあると思います。
あれと全く同じで、親の目には必ず止まるアイテムのひとつと思ってください。
工夫をすれば人は来る
結論としてはこうなります。
私が足を運んだ2か所の総合住宅展示場にもそこそこに人がやってきましたが、イベント性としては魅力に乏しかったなと感じています。
例年と比較して全く変わり映えがしないというか、悪くはないのですが、もう少し知恵を絞ったらどうなのだろうという内容でした。
それにもかかわらず一定数の来場があったわけですから、 本年の住宅展示場来場を占う数字としては、さほど悪くはなかったとわたくしは結論づけました。
後半に話をした地場工務店の単独展示場にはたくさんの人がやってきたわけですが、こうした内容を総合住宅展示場が企画してやれば、間違いなく多くの来場者を見込めることでしょう。
ところが、どこまで行っても工夫の余地がみられないと私は感じています。
端的に指摘しますが、全国で行われている年末年始のイベントの情報を徹底的に集め、それを精査して、いけそうなものがあれば取り入れてしまえばいいだけのことです。
結局は、ほかでやっているものを参考にしているのです。
セキスイハイムが考案した展示場売却戦略も同じこと。
あれはじつによく練られた戦略なのですが、他の大手ハウスメーカーをはじめ地元の有力ビルダーなどは、こぞってこの手法を真似したはずです。
誰がどう見てもセキスイハイムの真似をしたわけで、自分たちは明らかに2番手3番手です。
しかし、うまくいきそうだと判断しているからこそ真似るのでしょう。
まとめ
2023年、令和5年の住宅展示場新春来場数は、なかなか好調であったと締めさせていただきます。
冒頭にも書いたように、全国平均を取ったわけではないので断言はできませんが、少なくとも私が確認した範囲では平均か平均以上の数字となりました。
10年後には新築着工数が半減します。
現在工務店を営んでいる方は早急に対策を打ってほしいですし、展示場を保有している会社はなおさらのこと、工夫を凝らすようにしてください。
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