ヒートショック対策をしている住宅会社のアピールがスタート

11月に入ってめっきり涼しくなってきました。

ハウスメーカーを中心に「弊社の住宅はとにかく暖かい」「湿度を40%から60%に保ちます」「ヒートショックに備えよう」などといった冬を意識したセールストークが目についてきました。

ホームページはもちろんですが、住宅展示場前に掲げられたブラックボードや携帯などに入ってくるダイレクトメールにも、これらの文言が目立つようになったと思っています。

今回のコラムはヒートショックについて取り上げていきましょう。

そもそもヒートショックとは何?

【急激な温度変化により 体がダメージを受けること】

一言でまとめるとこういうことになります。

日本各地がめっきり寒くなりましたが、これから冬を迎えるにあたって一気にヒートショックの問題が表面化してきます。

冬場お風呂に入る動線を考えてみてください。

暖かい部屋から寒い廊下に出て、そして脱衣洗面所で服を脱ぎます。

そして今度は熱いお風呂に一気に身を沈めます。

この過程の中での体温の急激な変化が、心筋梗塞や脳内出血などの致命的な症状に発展することがあるのです。

頭が少しクラクラするくらいだったらマシなのですが、年間万単位の人がヒートショックによって命を落としているのです。

交通事故死者の 実に4倍もの方が亡くなっている

多くの方が驚くのですが、交通事故の年間死者約5000人に対してヒートショックでによりお風呂で亡くなる方は、その4倍にあたる19,000人にも達するのです。

街中を歩くとき、車に気をつけることは誰しも考えるのですが、お風呂に入るときの方がその4倍も気を付けなくてはいけないのが実態なのです。

次の表をご覧ください。

これを見ていただければ 交通事故死者の4倍の方が亡くなっているということがすぐにご理解頂けると思います。

※リンナイホームページより

各ハウスメーカーのしっかりアピール

このように恐ろしいヒートショックですが、大手ハウスメーカーを中心として冬場になるとこの問題に言及していくのです。

魔法瓶住宅というような表現もありますが、とにかく家の中ではどこにいても一定の温度で温かいということをアピールしています。

「家は性能」でお馴染みの一条工務店などはその典型的な住宅会社になりますが、C値、Q値、UA値など様々な数値を使って自社が如何に暖かいかをアピールします。

また首都圏を中心に地道な営業活動するある住宅会社は、自社独自の全館空調仕様を全面に打ち出し、これまた同じように徹底的なアピールをしています。

お客さんの評判は上々

問題はこれがお客さんに支持されるかどうかになりますが、現場の声を聞いている限りでは、大変評判が良いというのが実情です。

前述の全館空調ですが、一般的には日本人に馴染みがなく欧米で発達しているシステムになります。

ですから、展示場に来るまでは全館空調という概念を持っているお客さんはほとんどいません。

しかし、営業マンが熱心に説明することにより、お客さんも納得しその住宅会社のファンになるケースが多いのです。

この会社の営業マンに詳しく聞いてみたのですが「ヒートショックの怖さをしっかり説明した上で全館空調のことをお話すると多くのお客さんは真剣に聞いてくれ契約の動機ともなります」
こう話してくれました。

欧米では 室内を一定温度に保つことが法令化されている

皆さんはご存知でしたか?

欧米先進国では室内の最低温度を18°から23°にしなくてはならないという法律があります。

つまり、日本の古い家でよく見られる、部屋は暖かいのですが廊下に出るといきなり温度が低下し、そのままトイレに行くと更に寒くなる・・・といったことは起きません。

次の表を見てください。

※アセットフォーホームページより

これはイギリス保健省の指針ですが、16°未満は非常に危険であるとしっかり謳っています。

日本人の感覚からすれば「そこまで法律で決めることはないだろう」と思ってしまいますが、日本より緯度が高く冬の気温が低いヨーロッパでは当たり前のことなのです。

このようにヒートショックから身を守ることは家族の健康を守ること、引いては命を守ることという認識が一般的になっているのです。

日本ではなかなかここまでの考えにはなりませんが、ヒートショックによる死者が交通事故の死者の4倍に達する事実を考えれば、このことはお客さんに徹底的にアピールするべきではないでしょうか。

私が営業であればヒートショックがいかに怖いかという資料を徹底的に集めてお客さんに提示します。

もちろん自社の工務店が、魔法瓶住宅のように 温度が均一で暖かいというのは絶対条件です。

「うちの構造はとても暖かいよ」

こう自信を持っている工務店さんであれば、ヒートショックという言葉をもっと全面的に押し出してください。
そして、これがいかに怖いかという資料をふんだんに準備しお客さんに提示をしてください。
しっかりと説明をすれば、この怖さがお客さんにも伝わるはずです。

そうした上で、弊社はヒート対策ショックを十二分に考えた家づくりをしています。という営業トークが生きてくるのです。

湿度にも気を配ろう

九州のある住宅会社ですが、この会社は独自のシステムを家の中に取り入れ、温度が一定幅になるのはもちろんのこと、湿度も40%から60%に保たれるようになっています。

冬場になると温度を一定にしようという考えのもとで設計された住宅はたくさんあります。

しかし、実際に住んだお客さんの意見などを聞いてみると「こんなに乾燥するとは思わなかった」「朝起きると喉が痛い」「各部屋に加湿器を置かないといられない」といった話を聞きますし、ツイッターなどを調べていきますと、このような意見をあちこちで見ることができます。

あなたの会社がこのような湿度・調整に 対応していなければ話になりませんが、実際には温度はもちろんのこと湿度が極めて重要なキーワードとなるのです。

ですから、これから展示場を建てたり、もしくは住宅の仕様を改変しようと検討している工務店の方がいれば、単価が多少高くなっても冬場の湿度を40%から60%にするようなシステムの導入を私は進めます。

この住宅会社において、営業マンが冬場にお客さんを接客しているシーンを何度も見ていますが、湿度調整システムの話になると真剣に営業の説明を聞いているお客さんの姿を、この目で何人も見てきました。

また、契約をしたお客さんにも取材を数件しましたが、湿度の話を営業マンから聞いたことが非常に頭の中に残っていると全員が話していたのです。

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