街角モデルハウスって効果はあるの?社員の接客能力が上がりました

前回のコラムは「街角モデルハウスって何なの?効果はあるの?」とのタイトルで書きましたが、そこでご紹介した名古屋市内の小規模工務店が街角モデルハウスの導入により、在籍する営業マンはもとより 社長自身の営業力と接客力が飛躍的に上がりました。

今回はこの事実を解説して行きたいと思います。

取り上げる会社はF工務店。

社長は60代後半で20代の営業マンを一人雇用しています。

基本的には社長の顔で案件を持ってきたり、あるいは親から経営している工務店ですので、以前のお客さんからの紹介などがこれまでのメイン受注ルートでした。

しかし、積極経営に乗り出すと決意した社長は、純粋な営業社員を雇って一年半前に攻めに転じました。

その流れで街角モデルハウスの建築を決意したのです。

そもそもアンケート書式がなっていなかった

紹介だけでやっているような工務店はなかなかつかみ切れない感覚なのですが、展示場を保有したり、新築現場見学会などのイベントを開催すると、当然ですが不特定多数のお客さんがやってきます。

一回のイベントで30組のお客さんが来場すれば、経営者としてはホクホクな気持ちになるのは当然のことでしょう。

しかし、いくらたくさんのお客さんが来場しても、住所氏名をはじめとしたお客さんの情報を的確に入手することができなければ、成果はほぼ0に等しいと言えるのです。

アンケート書式レベルが飛躍的に向上した

具体的なお話をしましょう。

今回話をしている名古屋市内の住宅会社であるF工務店では、お客さんが事務所に来た時に備えてアンケート書式のようなものは存在していました。

しかし私からそれを見るとまさに抜け穴だらけ。

その一つがメールアドレスです。

初めて書式を見た時のことですがすぐに気づいたのがメールアドレス欄がないことでした。

お客さんの住所を書いてもらう欄はあったのですが、携帯電話番号の欄もメールアドレスの欄もありませんでした。

追客のことを考えると住所だけではあまりにも弱すぎます。

やはり、携帯番号はもちろんですが、メールアドレスも最初の来場時にしっかり取得すべきでしょう。

紹介だけでやっているときは、別にアンケートに詳しく記入してもらわなくても紹介者に聞けば情報を取得出来ますし、そもそも紹介ですから、お客さんとも初対面ながらある程度の信頼関係ができています。

しかしイベントで来場するお客さんは、警戒心も高いですし「ちょっと見に来ただけよ」とのスタンスで距離を取るケースも多いとお考えください。

ヒアリング技術が上がった

私はF工務店と一年以上にわたってお付き合いをしましたが、お客さんからのヒアリング技術の向上が最も顕著だったと今でも思っています。

紹介でお客さんがやってくる場合は、家を建てるという前提ですからストレートにどんどん質問をぶつけていけばいいのです。

ある意味根掘り葉掘り聞いても構いません。

しかしながら、街角モデルハウスを作ってイベントなどを開催すると、来場したお客さんの目的や意欲は千差万別なのです。

例えば建築希望時期。

モデルハウスに来るぐらいですから建築を希望していることが前提ですが、すぐに家が欲しいのか、もしくは10年先かは全く不明です。

ですから、街角モデルハウスでの接客時は、軽い雑談を交わしながらこの建築時期を聞きださなくてはいけません。

「いつ頃お建てになる予定ですか?」

この質問から入れなくてはいけないのですが、お客さんは決してストレートに答えてくれません。

営業「いつ頃お建てになる予定ですか?」
客 「そうだね・・・まぁ、色々あって・・・うん・・・何とも言えないね」

いかがですか(笑)これでは全くわけがわからないですよね。

しかし、モデルハウスではこういう会話が頻発するのです。

ここで突っ込んでいってはお客さんもひいてしまいます。

こちらも適当に相槌を打ちながら、真の建築希望時期はいつなのかということを徐々に探っていくのです。

この手探りのヒアリングを重ねることによって、住宅営業に必要な営業力が備わって行きます。

押す力が身についた

押し売りではありません。

小規模な工務店さんを見ていると、押す力あるいはクロージング力と言ったらよいのでしょうか、もしくは推進力といってもいいかもしれませんが、この能力が弱いケースを多々見かけます。

紹介や事務所に直接積極的なアプローチをして来たお客さんであれば、基本的には図面を出して見積もりを提示するステージまではいくことが多いでしょう。

しかし、街角モデルハウスの場合は「ちょっと見に来ただけです」「たまたま前を通りがかったものですから」「建築はしますけども まだその時期は未定なんです」などといった、消極的あるいは曖昧な態度を示すお客さんが多いのです。

これらのお客さんに対して、次回のアポイントを取ったり、アポイントを取れないまでも前向きな気持ちにさせるには、ある程度こちらが誘導し話を前に推し進める推進力が必要なのです。

街角モデルハウスで接客するとすぐに分かるのですが、このような推進力がないとなかなか話が前に進まないことに気づきます。

F工務店の営業マンはここを改善した

F工務店には20代半ばの男性営業マンがいます。

彼は極めて飲み込みが早く、街角モデルハウスで接客をするようになってからほどなくして、この問題点に気付いたのです。

私が執拗にアドバイスしたこともありますが、その指摘をほぼ完ぺきに飲み込んだ彼は、接客能力が著しく向上しました。

特に今お話をしてきた推進力。

社長曰く「ちょっと強引じゃないかな・・・」と心配されたこともあったのですが、私から見れば丁度いいぐらい。

そして、ものの三ヶ月程度でアポイントを高い確率でとれるようになったのです。

もちろん、これは彼の高い能力によるもので、接客のコツを早くつかみ、なおかつセンスもあったのでしょう。

会社の知名度がアップした

これは営業力とは関係ないのですが F工務店の社長は「会社の知名度が明らかに上がった気がする」と私に話していたのが印象的でした。

小規模工務店にとって、知名度と営業力は同一といっても良いほどです。

大手ハウスメーカーなどは、最初から知名度や信用力がある前提で営業活動しているので、明らかに有利だと言えるでしょう。

このように考えると、街角モデルハウスを一定期間設ければ、そのモデルハウスの前に会社名を大きく出すことができます。

もちろん、事務所を構えていればその前にも会社名を出すことはできますが、しかしながら事務所の前に会社名を出すのと、実際の建物を建築してその前に社名を出すことでは、そのインパクトは大きく違うのです。

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