専業リフォーム会社の本音をこっそり教えます・・・新築メインの工務店経営者の方へ

「リフォームの時代がやってくる!」と皆が叫び始めたのは何年前の話でしょうか。

作っては壊すとの日本独特の住宅文化に警鐘を鳴らすことから始まった話ですが、実態はまだまだというのが私の感覚です。

これまでもこの視点からコラムを書いてきましたが、今回は少し違った角度から切り込んでいきましょう。

新築専業工務店でもなく、ハウスメーカーでもなく、地域のパワービルダーでもありません。

主役はリフォーム専業の業者。

彼らから見た今のリフォーム営業の実態や、口から漏れ出てくる本音について 書き進めていきます 。

「いくらでも仕事があるよ」

従業員10名程度の某リフォーム専業会社はこう思っている

都内に本社を置く小規模なリフォーム専業会社があります。

この会社(U社)の社長は、それなりに知名度があるリフォーム会社の営業マンをしていました。

「これだったら自分でも出来るじゃないか」

こう考えた社長(U社長)は独立を決意。事務所を都内に構え営業活動を開始しました。

リフォームの契約を取る手法は完全に頭に入っているわけですから、 あとは施工部隊を確保するだけです。

大工さん不足の現状の中、実際に施工する会社を見つけるのは苦労を伴ったらしいですが、この難題をクリアした社長はすぐに新しいリフォーム会社を起業しました。

いきなりのロケットスタート

なんといっても受注方法は完璧に身に付いているU社長。

これまで行ってきたやり方をそのまま新会社でするだけですから、受注は簡単に取れたと話していました。

さすがに初期の頃は工事関係のトラブルが頻発したらしいですが、 その最初の山を乗り切った後は、クレームもそこそこに抑え、経営も簡単に軌道に乗ったとのこと。

地場工務店が施工した建築後15年から30年程度の物件を徹底的にマーク

U社長のやり方は至ってシンプルです。

創業まもなくはショールームを保有することはできませんので、営業手法はもっぱら飛び込み訪問プラス古典的なチラシによる集客です。

それに加えてSNSを駆使した営業戦略を行ない、U社長に言わせれば「めちゃくちゃ簡単」というほどにお客さんを集めるのに成功しました。

お客さんさえ集めてしまえば、後のやり方はいつもと同じ。

これまでの経験から歩留まりはほぼ計算できるので、それに従って受注を伸ばしていったのです。

「工務店はフォローが全くないから楽だね」

この意味がわかりますか?

建築後20年から25年程度の家があったとします。

一見してハウスメーカーではなく地元の工務店で建てたのは分かりますので、飛び込み訪問の格好のターゲットとなります。

もちろん飛び込み訪問で成約を上げるのは非常に難しく、それなりの件数をこなさないと無理です。

しかし、地元の工務店が建築した家は、高い確率でフォローが全くされていないので、外壁の傷みやその他の問題があった場合、比較的高い確率でリフォームの契約が取れるとU社長は話していました。

ただ、お客さんも訪問販売の営業マンを信頼して契約しているわけではありません。

しかし、新築を担当した工務店からあまりにもアプローチがなく疎遠になっていると、目の前に突然やってきた熱心に語る営業マンの話に耳を傾けてしまうのです。

「怖いのはハウスメーカーだよ」

印象的だったのはこの言葉です。

地元工務店で建てた家に対しては、担当した工務店がフォローし切れてないという事実に加えて、そもそも工務店自体が倒産してなくなっていたり、代替わりしたことにより疎遠になるケースがほとんどです。

ですから、このような古い家を攻めると、受注を取れる可能性が高くなるわけです。

しかし、ハウスメーカー系のリフォーム会社がパイを広げようとその触手をこうした地場工務店の建築した家に向けてくる可能性があるのです。

U社長はこれをおそれて、上記のような話をしたのです。

ハウスメーカーはその知名度と信頼性においては、文句のつけようがありません。

そんな彼らが営業範囲を広げてくれば、今まで楽に取ってきた案件の一部分、もしくは相当数を取られてしまうことになります。

「ハウスメーカーは怖いけどまだまだ大丈夫だろう」

U社長はハウスメーカーを恐れていると書きましたが、内心はまだまだ大丈夫だろうと安心しています。

こうして、大見えをきれるのは、ハウスメーカー系リフォームの営業実態を熟知しているからでしょう。

U社長「ハウスメーカーが本気できたら怖いと思っていますが 現状ではとてもそこまでやってくるとは思えません」
私 「それは私もまったく同感ですね。ハウスメーカー系リフォーム会社の営業研修を数多くやってますので、体感的にもそううまくはいかない事を私もよく知っていますか ら」

自社ハウスメーカーで建築したお客さんだけで当面のリフォーム受注が取れてしまっている

答えはこれです。

ハウスメーカーの知名度をもってすればもっと受注範囲を広げられるはずなのですが、現実はOBのお施主さんに営業を掛けなくても相手から連絡があるのです。

また、定期的な訪問活動やダイレクトメールに対する反響も一定数あるので、営業マンはそれほどガツガツしなくても、一定数のリフォーム契約が取れる現実があります。

しかも、その歩留まりが極めて高いのもこれまた事実です。

つまり、ハウスメーカー系リフォームの営業マンは、その気になればリフォーム受注をいくらでも取れるのですが、なぜか彼らは営業範囲を広げてこないのです。

真剣に営業を拡大されると、専業リフォーム会社はかなりピンチになると考えられます。

ここまで話すと「では、彼らはなぜそのような営業しないのだろうか?」と疑問を感じられるかもしれません。

この理由についての詳細は別のコラムで触れたいと思いますが、現状ではこれが実態なのです。

コラムのテーマにした「専業リフォーム会社の本音」の解はこういうことだったのです。

私は仕事柄さまざまな規模のリフォーム会社を知っていますが、つい最近もこの話になりました。

関西地方のハウスメーカー系のリフォーム会社の営業研修を先月実施したのですが、そこに参加していた40代の営業マンがこんな事を私に耳打ちしたのです。

「私の友人で元はこの会社(ハウスメーカー)で新築営業をやっていた人間がいます。今から3年前に会社をやめてリフォーム会社を興したのですが、彼はこうしたハウスメーカー系リフォームの営業の実態をよく知っているので、それが脱サラを決断した大きな理由の一つでした」

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