オープンハウスの全体の売上と利益
2020年9月期は3Qで下方修正した通期予想5,700億円を達成し、過去最高の売上高・利益を更新しました。
経常利益は前期比40.8%増となりコロナ禍の影響を受けることなく決算を迎えました。
直近3期の業績は以下のとおりです。
四半期ごとの売上高・営業利益は、例年どおり4Qに大きな伸びとなり利益率も上昇しました。
2018期、2019期、2020期と4Qでの追い上げは特筆すべきです。
オープンハウスのセグメントごとの売上
セグメントは下記の4つに分かれます。
2. マンション事業
3. 収益不動産事業
4. その他(アメリカ不動産等)
主力事業が戸建関連事業であることは変わらず、戸建事業以外のセグメントと比較すると、成長の様子がみてとれます。
また前期までと同様に4Qでは戸建事業以外の事業比率が大きくなる特徴がみられます。
戸建関連事業の内訳についてもみておく必要があります。
戸建関連事業ではオープンハウス・ディベロップメント(OHD)の構成比が高く、この傾向は今後も同様と考えられます。
オープンハウスの短期的な戦略
2021期は売上高10.1%増の6,340億円、営業利益11.1%増の690億円を予想しています。
2020期に7店舗を新規出店し49店舗とした営業センター網ですが、2021期は2店舗の出店を予定しています。
直近3期の1店舗あたり売上高は約80億円であり、戸建関連事業では店舗数増加による効果は、2020期プラス160億円が見込めます。
2021期予想6,340億円達成には、各営業センターエリアのシェア拡大により、1店舗あたり売上高の底上げが必要といえそうです。
目標ラインは1店舗あたり90億円かと予想しますが、2021期はここに注目したいところです。
セグメント別の2021期予想は以下のとおりであり、戸建関連事業の拡大戦略が注目されるといえるでしょう。
2. マンション事業 20.1%減(465億円)
3. 収益不動産事業 0.3%増(1,125億円)
4. その他(アメリカ不動産等) 47.9%増(385億円)
参考文献
https://openhouse-group.co.jp/ir/upload_file/m005-m005_07/20211113_2.pdf
オープンハウスの長期的な戦略
「Hop Step 5000計画」が2020年9月で終わり、目標数値はクリアしました。
総資産は5,690億円、自己資本は2,335億円となり、自己資本率41.0%を達成し財務基盤が強化されました。
中期計画としては、2023期の売上高1兆円を目指す「行こうぜ1兆!2023」を掲げています。
各年度の予想売上高は以下のごとくです。
・2022期 7,100億円
・2023期 8,000億円
さらに2023期にはプレサンス社とその他M&Aにより2,000億円を上積みし、グループ全体としては1兆円を目指しています。
財務基盤の強化は積極的なM&A戦略を可能としており、以下の主要な取組を計画しています。
2. 戸建事業の関西圏進出
3. 首都圏での新築投資マンション事業
4. M&Aおよび戦略投資
5. 住居系不動産ファンド事業
既存エリアのシェア拡大は短期戦略としても必要なことであり、2021期の重要なテーマと考えられます。
大阪府・兵庫県は未開拓エリアであり、戸建事業の関西圏進出は「行こうぜ1兆!2023」の最重要テーマといえるでしょう。
大阪府・兵庫県の推定市場規模は1.2兆円あり、東京都以上の規模となっています。
具体的な進出計画の発表が待たれるところです。
「行こうぜ1兆!2023」ではM&A戦略も重要テーマとなっており、次の事業分野をターゲットにしています。
・マンション管理
・収益不動産オペレーション機能
マンション・収益不動産に関しては「RC施工機能強化」を課題として捉えており、戸建住宅主体による事業展開から脱皮しようとする姿勢も覗えます。
さらにJ-REITを視野に入れた不動産ファンド事業の展開も計画しており、業態の拡大にも注目したいところです。
オープンハウスの最近のトピックス
オープンハウスの情報システム部は、IT協会が実施する表彰制度のマネジメント領域にて「2020年度(第38回)IT賞」を受賞しました。
同社は2014年より業務のシステム化に取組み、システム構築の外部委託を内製化に切り替え、ペーパーレス化と業務効率の最大化を図ることに成功しました。
このことがコロナ禍においても業績を押し上げる一因となり、IT賞に相応しいと評価されたものです。
(2020年11月25日プレスリリースより)
参考文献
https://oh.openhouse-group.com/company/news/pdf/20201125_news.pdf