【家を購入するならここにこだわりたい!】アンケート結果から見えてくる顧客のこだわりと応酬話法について

様々な業界シェアやトレンドの市場性をインターネットでリサーチする日本トレンドリサーチが、注文住宅のナチュラルハウスと共同で住宅をまだ所有していない男女841名を対象にアンケート調査を行い結果を公開していました。

質問は「家を建てる(購入含む)際にこだわりたいこと」に関して全6問になっています。

最初の質問が「将来的に家を建てたい(購入したい)と思いますか?」となっていますが、建てたいもしくは購入したいと答えた方は全体の31.6%(841人中265人)しかいませんでした。

もっとも調査がインターネットで実施されている点を考慮すれば回答者は若年層が多いと推定されますから、そんなものなのでしょう。

将来的に家を建てたいと思いますか

引用元:【マイホームこだわりたいのは?】将来家を建てたい42.5%が「リビングを一番こだわりたい」 その理由とは? / 日本トレンドリサーチとナチュラルハウスによる調査

実際に2022年の金融広報中央委員会による「家計の金融行動に関する世論調査」によれば、2人以上世知の持家率は全国平均で68.1%となっていますが、30歳代で47.2%、20歳代で17.5%と年齢層が下がるのに比例して持家率も低下しています。

逆に年齢が上がるほど上昇(70代の持家比率は80.8%)していますから、先述したアンケート結果は回答者の年齢による偏りだと推察できるのです。

家計の金融行動に関する世論調査,持家

ですがこれから住宅を建築もしくは購入する可能性がある方々の意見です。

私たちに参考になる情報であることは間違いありません。

そこで今回は、アンケート結果を中心に「住宅市場動向調査」の結果も交え住宅に関する趣向性について確認すると同時に、それらを説明するために必要な必須スキルである「応酬話法」について考えてみたいと思います。

住宅でこだわりたいのはリビング

将来的に建築もしくは購入する場合いちばんこだわりたい箇所はどこかという質問にたいし、42.5%が「リビング」と回答しています。

もし家を建てるとしたらどこをこだわりたいですか?

引用元:【マイホームこだわりたいのは?】将来家を建てたい42.5%が「リビングを一番こだわりたい」 その理由とは? / 日本トレンドリサーチとナチュラルハウスによる調査

次いでキッチン・浴室・寝室と続いていきますが、具体的にどのようなモノを望んでいるかについては記述方式により回答されていました。

リビングについては「来客を迎える部屋なのでキレイな作にしたい」「とにかくシンプルな家具ですぐ人を呼んでもいいような部屋にしたい」というようなイメージ重視の意見が多く見られます。

もっとも40歳代を超えた意見では「断熱性能」、「快適性」、「防音」など住宅性能を重視し、リビングでの快適性を求める方が増加しています。

国土交通省による「住宅市場動向調査」においても、実際に建築もしくは購入したかたへのアンケート結果において、住宅デザイン・高気密高断熱・安全性が購入(もしくは建築)において重視したとされていますから、住宅購入の最多年齢である40~45歳の方の趣向性による意見として相関関係が見られます。

設備等に関する選択理由

これらのアンケート結果から新築や既築住宅(空家)などのオープンハウスなどを開催する場合にはリビングをより広く見せるための展示物や家具などのレイアウトに工夫を凝らすと同時に、そこから連なるキッチンにおいての見せ方を工夫することにより住宅に対する好感度・興味を引く度合いが変化するのではないかと推察できます。

併せて住宅性能と快適性の関係性について、理解が進む工夫を凝らす必要もあるでしょう。

夢と現実の落とし所

映画やドラマの世界でセレブな主人公が暮らす生活感のないオシャレな家。

そのような家で暮らしたいと夢見るのは、住宅購入を検討している方に限られるものではありません。

ですが実生活においてそのような暮らしを維持するには、居住者に相応の負担をもたらします。

大手ハウスメーカーが軒を連ね、威信をかけて建築した住宅展示場のモデルハウスなどを見れば一目瞭然ですが、豪奢な設備機器の数々や無駄に広いとも言える空間、セレブな暮らしを想起させる家具のレイアウトなどおよそ夢見る空間が創り上げられています。

ですが実生活と乖離している印象は否めません。

各メーカーが狙うのは住宅建築を検討している顧客にたいして「夢」をあたえるための空間造りです。

それを否定する訳ではありませんが、実際に内覧した顧客のアンケート結果においても「とてもお洒落で綺麗だけれど現実感のない住宅ばかりで、いまひとつ現実味がありません」などの意見が散見されるのもそのような理由からでしょう。

予算が潤沢であればエリア・規模・設備などほとんどの要望をある程度まで満たすことも可能ですが、現実には絶対数は少なく、ほとんどの方は何らかの部分で「妥協」しているという現実があります。

営業に必須の応酬話法

前述した「妥協」という言葉は、住宅営業が顧客に使用してはならない用語の一つです。

例えば駅近を希望する顧客にたいし、予算を勘案すれば駅徒歩20分の物件しか紹介できない場合において「お客様の予算ではこれぐらいの距離がやっとで……。そこは妥協して戴くとしてこの住宅は」なんて説明をすれば反感をもたれること必至です。

ですが表現を変えてでも夢と現実に折り合いをつけてもらう必要があります。

その時に必要なのがいわゆる応酬話法です。

一般的に応酬話法は顧客の反応にたいし切り返しを行う話法であると定義されますが、不動産営業の場合、ネガティブ意見(反応)にたいし会話を継続させるために用いられます。

代表的なものとして以下のような話法が存在します。

1.質問応酬

顧客からの質問にたいし質問で返すことにより、関心を継続させ詳細情報や顧客の趣向性などを検討できる情報を引き出すために用いられる話法です。

例をあげれば以下のようなものです。

「学校はこの物件から近いですか?」

『お子様は何歳で何人おられますか?』
「8歳と10歳です」

『この物件の小学校校区は〇〇小学校で、ここからだと徒歩10分です。中学は◯◯中学になりますが、小学校より少し離れていますので20分ほど必要になります』

「中学が多少遠い感じはしますけれど、僕が子供の頃に通ってい中学はもっと遠かったですから運動不足の子供にはいい運動になりますよね」

この質問応酬により子供の人数と年齢、学校までの距離に関しての見解についての情報が自然な形で入手できます。

さらに小・中学校までの距離については妥協できるとの見解を引き出せています。

2.概要・詳細法

まず概要を説明し、その後詳細な説明を行うことにより顧客が与えられた情報を整理し理解を促進できる話法です。

例をあげれば以下のようなものです。

『この物件は駅から徒歩15分ですから要望に合致しており、駅から自宅までの間にはスーパーマーケットや公園もありますからその点でも希望どおりですね』

「間取りはどうなっていますか?」

『3LDKです。譲れない条件とされていたバルコニーも、リビングから寝室にかけ設置されています。またマンションでは珍しくキッチンスペースも広く……』

内覧物件を絞りこむために行う話法ですが、間取図面などを提示して話をしながら顧客がもっとも重要視しているポイントを引き出すと同時に、顧客自身に「気づき」を与えるために用いられる話法です。

3.利点提示

物件の特徴や利点を強調し、メリットがあると理解してもらうために用いる話法です。

例をあげれば以下のようなものです。

『この物件は15階建ての最上階となっており、バルコニー側からの視界は開けていますので現在までのところ眺望にも問題はありません』

「それは嬉しいですね。でも、将来的には高層建築が建築されることはないのですか?」

『その可能性は否定できません。建築基準法などその他の法令に反しない限り建築するのは自由です。ですが現在までのところ、近隣でそのような建築が計画されているという情報は入ってきていません』

「将来的に建築されるのはしょうがないですよね……」

『そうですね。こればっかりは違法建築物でもない限り阻止する手段はありません。ところで話は変わりますが、このマンションには共有施設としてフィットネスジムとプールが完備されていて……』

メリットを強調していけば、顧客にはそれにたいする疑問が生じます。

それに対応しながらマイナス面よりも利点の方が多いという認識を与えるために用いられる話法です。

4.共感表現

物件や購入に関しての疑問や悩み・問題点などに共感し、理解を示すことにより信頼関係を築くために用いられる話法です。

営業マンが共感を示す例をあげれば以下のようなものです。

『確かに長期間ローンを支払っていけるか心配になりますよね。私が住宅を購入する時にも悩みましたし、担当しているお客様のほとんどが同じことで悩まれます』

『駅からの距離が20分だと、ご家族の帰路でもしものことがあったらと心配になりますよね。よく理解できます。ちなみにこの資料は、このエリアの犯罪件数をまとめたものです。ご覧いただければ分かるようにこのエリアではほとんど事件が発生していません。また物件から駅までの間には警察署があり……』

『初めての一戸建てでご近所づきあいが心配になるのは当然ですよね。よく分かります。ですが物件の町内会は活発に活動しており、お隣の方も……』

実際にはこのような話法を織り交ぜながら交渉を展開していきます。

応酬話法のテクニックを向上させるには日頃から顧客の趣向性の変化などについての情報入手を心がけると同時に、実践経験やロープレなどを通じ磨き上げるしかありません。

そのような努力が実を結べばクロージングを有利に進めることが可能になっていくでしょう。

その他のアンケート回答

アンケート結果では設備についてのこだわりなども公開されていますが、例えば浴室であれば「広くてくつろげるジャグジー付きの浴室」、「檜風呂を設置したい」、「テレビやミストサウナをつけたい」など、また趣味の分野ではシアタールーム、ワインセラー、ブランコやハンモックを室内に取り付けたいなど様々な「夢」が記載されています。

注文住宅営業の方ならよくご存じかと思いますが、浴室もテレビやミストサウナ、ジャグジーなど予算さえ潤沢であればどのような設備でも導入できます。

ですがそのような設備を盛り込んでいけば浴室の見積もり金額だけでも軽く大衆車の価格を超えることになります。

結局は予算と希望の折り合い、絶対に譲れない顧客の要望をうまく取り入れながらも着地点を見言い出すのが優れた営業マンの資質の一つになるのでしょう。

まとめ

今回は住宅をまだ所有していない男女を対象にしたアンケート結果から、購入時に重視したいポイントについて解説すると同時に、夢が膨らむ顧客にたいし、予算や現実と折り合いに「気づき」を与えるために必要な応酬話法について解説しました。

応酬話法については事例をあげ紹介しましたが、実際には顧客の反応や表情を注意深く観察し、適切なタイミングで話題を変えたり、情況に応じ詳細な情報を提供するなどの機転が大切です。

初めて住宅購入を検討し、モデルハウスなどを見始めのころは特に「夢」が膨らみがちになります。

話を真摯に聞き取りながらも現実的な意見を述べ、微調整を繰り返しながら誠実に対応していく必要があります。

顧客からの信頼を得て他社との差別化を図るためには営業担当者自身が物件や不動産全般に関しての深い知識を持って寄り添うことが必要だと言えるでしょう。

参考記事:

【今すぐ視聴可能】実践で役立つノウハウセミナー

不動産会社のミカタでは、他社に負けないためのノウハウを動画形式で公開しています。

Twitterでフォローしよう

売買
賃貸
工務店
集客・マーケ
業界NEWS