【令和に不動産で独立!】その前に知っておきたい不動産業を取り巻く実態

高齢化に少子化など、日本は社会経済を取り巻く様々な要因からグローバライゼーションに伴う構造改革が必須であるとされていますが、不動産業界もその例にもれず変革を迫られています。

土地政策審議会などにおいて繰り返し議論されている「土地の所有から利用へ」という考え方は、売買実務こそ不動産業者の役割であるといった、実利一辺倒に陥りがちな私たち不動産業者こそが柔軟に取り入れ、時代に即した業務展開を模索する必要があるでしょう。

拡大成長を背景として支えられてきたキャピタルゲイン重視の経営戦略は、もはや過去の幻想になりつつあります。

目端の利く業者はすでに買い取り・任売・相続など専門分野をPRして他社との差別化を鮮明にしており、実際に業績を上げています。

業務の一例は相応の経験があれば誰でも手掛けられる程度のものですが、あえて自社の優位性として積極的に宣伝することにより効果をあげているのです。

ただ漫然と従来の方法で問い合わせを待っている時代は終わりをつげました。

そのような意味合いから、これからの不動産営業は不動産収益とリスクを慎重に検討し顧客に提案するコンサルティングスキルが必須となり、査定や契約などの基本業務においても、どれだけ独創性があり、提案された側が付加価値であると認識する提案できるかが求められています。

従来の「経験やカン」に頼るアナログ経営や営業手法ではなく、知識集約型の合理的な営業展開が継続しておこなえることが、今後、継続して発展するための最低条件となるでしょう。

このような変化に柔軟に対応するために必要なのがネットワークを柱とした情報化の推進であり、普及が急がれる不動産DXの導入でしょう。

時代の変化により指向性が変化する顧客要望に即応し、より付加価値の高い提案するためには情報収集が必須であるし、もともと不動産業は他業種と比較しても情報化と合理化の親和性が高い業種です。

企業としても営業個人としても時代の趨勢を読み解き事業を展開する、もしくは顧客に提案する。

そのようなスタイルが今後、継続発展していくために必要な心構えであるといえるでしょう。

今回は皆さんと現在の不動産業界における実情を踏まえ「不動産業ビジョン2030」と併せて公益財団法人不動産流通推進センターにより編纂された「不動産業統計集2021」を読み解くことにより、令和の時代にどのようなタイプの方が独立開業に適しているのかを考えてみたいと思います。

【無料配布】1000店舗以上の支援実績から見た「不動産開業・独立の道」
これまで1,000社以上の開業支援を行ってきたいえらぶの「不動産開業WEBマニュアル」を無料でダウンロードいただけます。「いままさに開業準備中」という方はもちろん、いつか開業をしようと考えている方は必見のマニュアルです。

検討する公開データ

令和時代の時代から先、政府が不動産業界をどのような変革させていきたいのを知る基本データとして「不動産業ビジョン2030」を中心に解説します。

「不動産業ビジョン2030」は社会資本整備審議会産業分科会不動産部会が中心となり、不動産業に係るすべてのプレーヤーが持続的な発展を確保するための指針として、平成31年に国土交通省により策定されています。

資料には「令和時代の不動産最適活用に向けて」との副題が付けられていますが、策定から現在までの3年間、長引くコロナ禍により不動産市況はもとより産業構造も想定時とは違う形で推移しています。

原油高騰や資材不足により値を上げる建築費により、建築坪単価が上昇したことはご存じの通りですが、それにより購買層が流動したことにより中古市場相場も変化しました。

そのような外部要因により絶え間なく変化する動向については読み切れない部分もありますが、策定当時、2030年に向け不動産業の持続的な発展をするために練り込まれた指針に現在の市況や政策の状況を照らして分析することで、政府の考える不動産動向ある程度ではありますが、みえてくるのではないかと思います。

独離後ライバルになる既存業者数は?

現在、日本に不動産業者は何社あるのでしょうか?

もっとも実数に近い数字であると思われる財務省法人企業統計年報最新によると、不動産業者数は金融業・保険業など兼業として不動産免許を取得している業者を除き337,934件とされています。

これにおおよそではありますが兼業業者数と廃業数、そして調査日以降の新規開業件数を加味すれば340,000件を多少超えているのが現在の不動産業者数だと推察されます。

業者数の推移については下記のグラフで確認できますが、1989年(平成元年)以降、右肩上がりで増加しています。

日本,不動産業者,推移

「不動産業は他業種と比較して独立しやすい」というのは定説ですが、それにしても増加の速度が速いように感じてしまいます。
理由として開業資金の低さや、代表者の営業力や人脈が一定以上あれば相応の稼ぎが得られるとの背景があるからでしょう。

不動産会社のミカタでも「不動産業界が『独立しやすい』と言われる3つの理由」というコラムを掲載していますので、独立がしやすい理由やリスクについて詳しくはそちらをお読みください。
https://f-mikata.jp/dokuritsu-kantan/

話を戻しますが、筆者の周りでも老婆心ながら「もう少し時期をみてからの方が良いかも知れないよ」とアドバイスをしたけれども「大丈夫です!営業力には自信があるので」と言って果敢に独立し、実際に売り上げを上げている方もいれば「こんなはずじゃなかった……」とうなだれている方もいます。

先に紹介したコラムでも同じ意味合いのことが書かれていますが「独立しやすい=稼げる」ではありません。

先ほど不動産業者は約340,000件であるとしましたがそのうち大手は数パーセント、不動産業者のほとんどが中小企業です。

しかも従業員数1~4人以内がおよそ86%です。

不動産業,従業員規模

以降、5~9人が約10%と続き、10人以上はわずか4%です。

もっとも大手の不動産会社は国土交通大臣免許を取得して、全国に支店や支所などを設け少数精鋭で業務にあたっており財務省が件数を勘案する場合において免許の違いによる件数をどのように試算しているのか定かではありませんが、いずれにしてもほとんどが中小規模であるといって良いでしょう。

さてここで考えて見ましょう。

約30万件以上の独立開業者は「営業力に自信がある」人たちばかりです。

言い換えれば、イザという場合に自分の食い扶持は自分で稼げると考えている方々です(さすがに営業力に自信がないのに、独立する方はいないでしょう)
独立する場合には、そのような現状を理解しつつ「自らにある特筆したスキルやビジョン」をもって活動しなければ、創業時の想いむなしく先細りします。

創業してからわずか数年で85%前後は廃業し、それ以外の10数%は食うや食わずのかつかつ状態、残る1~2%が堅調に業績を伸ばしていると理解しておきましょう。

1~2%に入るにはどうすればよいか。

自らの営業力を成長させながら、今回のコラムで解説しているような時代の趨勢を読みつつ時期を読む、そして不動産関連法規を始めとする融資・財務分析など様々な知識を学び、信頼される実力を身に着けることが王道ではないでしょうか?

無論、それ以外にも日頃の業務や活動を通じて人脈を広げることなども大切です。

結局のところ独立開業者は寝ても覚めても仕事漬け、プライベートでもことあるごとに仕事が頭をよぎる、そんな状態に順応できる人だけが成功を手中にできるのかも知れません。

不動産業従事者は高齢化が進んでいる

不動産業はこれまで「経験が物を言う」世界でした。

現在においても蓄積された経験が大きな武器になることには違いがありませんが、冒頭で解説したように「経験やカン」に頼るアナログ経営や営業手法だけでは通用しない時代が到来しています。

不動産を購入する世代のライフスタイルや意識が変化しているからです。

昔を懐かしんでいる旧世代営業マンの多くが、変化に適応していません。

度重なる法改正もそうですが、オンラインによる内覧や重要事項説明などが増加して、従来の対面営業でしか業務を行ってこなかった世代は戸惑い、取り残されているのが実情だからです。

これからさらに時代が進み、日進月歩する不動産DXの導入が加速化すれば、査定や調査など、今までは職人芸のような領域であった業務は経験の程度によらずそれなりの資料や提案書が作成できるようになるでしょう(現在でも、それに近い状態ではありますが)

年齢により時代に適応できないというのは言い訳に過ぎないと思いますが、価値観も含め、少なからず年齢が作用することはあるのでしょう。
そこで現在の不動産就業者の年齢構成を見てみましょう。

不動産業,就業者,年齢構成

2015年までしかグラフ化されていませんが、おそらくは若年層が減少、高齢層が上昇を続けているでしょう。

ゆとり時代と揶揄される年齢層は1987年4月2日~2004年4月1日で、義務教育においてゆとり教育が推奨された2022年で18~35歳の年齢層です。

営業職はそのようなゆとり世代から敬遠されがちな職種ですが、その中でも不動産営業は「時間が不規則・休みが変則的・ノルマが厳しい」というマイナスイメージから(実際にそういった部分が多いのですが)とくに避けられています。

でも裏を返せば、若い感覚で不動産提案できるエキスパートの競合が少ないということですからチャンスかも知れません。

「人の行く裏に道あり花の山」と株式の世界で言われるように、高齢化が顕著であるがゆえに、活力に満ちた若い世代が必要とされ、活躍できるフィールドも広がっているのではないでしょうか?

顧客の情報収集はモバイル利用のインターネット

あらためて確認するまでもありませんが、顧客の情報収集はインターネットが主流です。

住宅購入層の新聞購読率は過去最低を更新し、週末には大量に折り込まれていた不動産広告もほとんど見かけない状態です。

折り込みに必要な広告宣伝費と費用対効果を勘案しても、地方紙が圧倒的に強く購読率が多いなどの特殊な事情か、もしくは「他社が折り込みしていないから逆に目立つだろう」という、いわゆる逆張りの発想で行う以外、メリットは高くなさそうです。

平日,メディア,行為者率

図_総務省情報通信政策研究所「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」

新聞も含めた世代別メディア利用時間をみても、40代半ばまではテレビよりもネット行為者率が高く、またそれ以降の年代でも71.3%がネットを利用していることから、世代を超えてインターネットが普及していることが実態調査からも伺えます。

新築購入者などに実施したアンケートでも、インターネットによる情報検索は年を追うごとに増加し続け、現在では90%を超えています。

インターネット,不動産情報収集,経験有無

またコミュニケーションについても電話よりソーシャルメディアの利用率が20代は圧倒的に高く、30代に入るとソーシャルメディアとメールの利用率が半々となり、以降はメール利用率が45%前後となっています。

平日,コミュニケーションメディア,平均利用時間

このような調査結果もふまえ、年齢別にコミュニケーション方法を考えることも必要でしょう。

また前年代ともインターネットではモバイル利用時間が高く、不動産広告をネット情報で発信する場合には、モバイルにより見栄えを重視することが結果につながることが確認できます。

平日,インターネット,平均利用時間

ですが時代の変化により、独立をするにしても雇われ営業マンでいるにしても実績を上げるため必ず抑えておきたいスキルは下記のようなものです。

営業に必須なスキル!

独立をするのにしても雇われ営業マンでいるのにしても、実績を上げなければ成り立ちません。

実際に独立をすれば、帳簿付けに確定申告申など簿記に関しての素養も必要になりますが、それも利益が上がってからのこと。

請求書や領収書などのエビデンスさえ揃っていれば、余程大きな事業を行っているのでなければ確定申告前に慌てて準備しても間に合います。

申告時期だけ経理業務に精通した人材を時間給で雇用しても良いのです。

その前に、自ら利益をあげることです。
そのために必ず取得しておきたいスキルは下記の5つです。

●文章力・表現力を磨く
なにも小説や論文を書けという訳ではありません。できれば自社のホームページでブログを継続的に発信していくぐらいはしておきたいですが、それ以前に顧客とのコミュニケーションがソーシャルネットやメールが主流であることを理解して、誤解を与えずに伝わる文を書けるスキルが必須です。

●時間がかかっても、しっかりとした不動産知識を身に着け付加価値を出す
不動産業者ですから当然ですが、知識が一朝一夕で身につく訳がありませんから、継続した努力が大切です。

●テストクロージングは必須(より早く顧客の深層にある要望を見越し、提案する)
コミュニケーションにより情報を引き出し、精査して推測を立てる。
一味違う営業マンは、むやみに提案することはしません。顧客の要望を傾聴し、理解して的確な物件を提案します。

●共感力を磨く
年齢に関係なく、人間は共感してくれる相手に好意を覚えます。
共感力の高い営業マンは実績を上げるものですが、そこには下記のような特徴があります。

1. 相手の話をよく聞き、自分が喋るのは2~3割(一方的にまくしたてる営業マンがもっとも嫌われます)
2. 相手の話を頭ごなしに否定しない(傾聴し、誤りがあればやんわりと正しい方向に誘導することが大切です)
3. 求められていないのに、余計なアドバイスをしない(沈黙に耐えきれば必要もないのにしゃべり続ける営業マンは意外に多い物です。重大な意思決定をする場合には無口になります『沈黙の営業』というスタイルもあることを覚えておきましょう)

●価値観を共有する
不動産購入等において重視するポイントは人それぞれです。あなたの考えるマイナスポイントが、必ずしも顧客にとってマイナスにはならないことを理解しましょう。

この5項目については胸を張って「出来ている!」と宣言できるようになるまでは、成長の努力を怠ることがないようしたいものです。

まとめ

今回の記事は増加を続ける不動産業者の件数や顧客動向の変化なども交え、令和時代に独立開業を検討する方に向け情報提供することを目的としています。

筆者は不動産業界に31年間関り続けてきましたが、若い世代が独立して不動産業界における悪しき慣習を打開してくれることを切望していますし、また不動産業の魅力を少しでも広めたいとの思いがあります。

すでに独立を検討している方、もしくは将来的に独立したいとお考えの方に少しでも役立つコラムになっていれば幸いです。

Twitterでフォローしよう