コロナ禍においてもオンラインで開催するなど、工務店が家づくり初心者向けに開催するセミナーや勉強会を企画しているところが多い中、「勉強会の役割」があいまいになっており、しっかりと活用できているところは少ないかと思います。
今回は、YouTubeや自社WEBサイトがまだあまり機能してない工務店において、勉強会で集客する方法や、具体的な実施方法、告知方法までの流れをご紹介します。
工務店集客における勉強会の3つの役割
工務店において、セミナーや勉強会が有効な役割について明確にしていきましょう。
新規顧客の獲得する
勉強会は、新規顧客の獲得に役立ちます。
勉強会は、見学会にはなかなか来ないような人が訪れるのが特徴です。
見学会やイベントと違い、まだ家づくりを本格的に検討していない方や、営業されるのが嫌な方などをターゲットにできます。
勉強会で家づくりに興味を持ってもらいつつ、自社の存在を知ってもらうことで、問い合わせに繋げられるでしょう。
現状で十分集客できていない場合は、ぜひ勉強会を検討してください。
また、どこの会社にも染まっていない、家づくり初心者が多い傾向なので、しっかりと次の勉強会に繋げ、自社のファン化をさせるのも有効な手段となります。
顧客を教育する
勉強会では、顧客を教育して営業を有利に進められるのも利点です。
勉強会では、土地の探し方や資金計画、ファイナンシャルプランニングなど、家づくりに関する情報を伝えられます。
また、実際の施工事例や失敗例などもあればどんどん伝えていきましょう。
勉強会で自社の強みを交えながら情報提供できれば、お客様のモチベーションを高められる上、営業する際に有利になります。
注意点としては、あくまで公平な勉強会の姿勢を崩さないことです。
自社の売り込みやアピールが度を過ぎてしまうと一気に冷めてしまいます。
中立を保ちつつ、「例えば、、」という事例で自社の特徴を入れ込んでいく程度が程よくファン化を促すことができます。
親しみを持ってもらう
勉強会では、濃い見込み客を見つけられます。
勉強会はオンラインのセミナーやブログ、オウンドメディアと違い、リアルで家づくりに関して学べるため、オンライン集客とは印象が大違いです。
勉強会に参加して良い印象を持ってもらうことで、他の工務店ではなく自社を選んでもらえる確率を高められます。
勉強会の講師には自社で一番話すのが上手い営業や社長に担当してもらうのが良いでしょう。
話す仕草やおもてなしの心で行うことが、聞き手にも伝わりますので、勉強会が終わった後の次のアポ率に差がでてきます。
工務店が行うべき勉強会の準備
勉強会は闇雲に実施しても、思うような集客効果は得られません。
きちんと計画を立て、入念に準備するのが非常に重要です。
事前準備として大事な5つのポイントについて解説します。
開催元を決める
まず一番に大切なのが、開催元です。
勉強会をアピールする際、どんな会社・組織が開催しているかによって集客効果は大きく変わってくるためです。
例えば、一般社団法人の名前を出せば、慎重なお客様にも安心感を持ってもらえるでしょう。
逆に、工務店名で実施する場合、なかなか人数が集まらない可能性もあります。
中小規模であまり名前の知られていない工務店なら、一般社団法人の名前を使うのがおすすめです。
特にお金系の場合は、ファイナンシャルプランナーや社労士など士業の方が講師として開催する方が信頼度や集客力が上がります。
それぞれのテーマに合わせた専門職の人に話してもらうような企画が重要となります。
話すテーマを決める
次に、話すテーマを決めます。
「家づくりについて」などの抽象的なテーマだと、主張がまとまらず何を言いたいのかわからない勉強会になってしまいます。
当然、お客様にも良い印象を与えられません。
具体的には、お金の話をするのがおすすめです。
お客様は資金計画や住宅ローン、土地の購入など金銭面での悩みをたくさん抱えているため、できるだけ不安を取り除いていきましょう。
特に補助金や助成金、住宅ローンの種類、固定金利と変動金利の違いなど、一生に一回の大きな買い物であるがゆえ、知ると知らないでは大きな出費の違いになることに関しては最大の関心があります。
話の練習をする
テーマを決めたら、話す練習もしておきます。
普段からセミナー講師に慣れている人なら問題ありませんが、ぶっつけ本番だと上手く話す内容をまとめられず、いまいちなセミナーになってしまう可能性があります。
信頼を高めるため、できれば社長が話すようにしましょう。
それが難しいなら、営業担当や現場関係者など、できるだけ関係者が話すようにするのがおすすめです。
練習は複数人で行い、ダメ出しをしながら本番できちんと話せるように練習してください。
集客用の媒体を用意する
勉強会のテーマや語り手がよくても、告知がいまいちだと十分に集客できない可能性があります。
人が少ないと、来てくれた人にも不信感を与えてしまいます。勉強会を開催するなら、オフライン・オンラインできちんと集客して幅広い人に告知し、少しでも参加者を増やしましょう。
具体的な集客方法は、以下の3つです。
● チラシ
● 自社ホームページ
● SNS
チラシ
オフラインで集客するなら、チラシが今も集客力があります。
チラシは「プリントメディア」とも呼ばれており、あまりコストをかけずに集客できます。
オンライン集客よりも結果が出るのが早く、勉強会の開催までに間に合わせやすいのもメリットです。
特にリフォーム・リノベーション系はターゲットが年配向けの場合が多いため、チラシの効果が高い傾向にあります。
また、都心よりかは郊外の方がより効果が高いのが特徴です。
自社ホームページ
オンラインで集客するなら、自社ホームページがおすすめです。
勉強会に来てくれた人を自社ホームページに誘導すれば、より自社の魅力について理解してもらえます。
また、勉強会から帰った後でも、問い合わせしてもらえるチャンスがあるのもメリットです。
チラシ→自社ホームページという流れも定番となっていますので、まずは自社ホームページで勉強会の告知ページは準備しておきたいところです。
SNS
中小規模の工務店なら、自社でSNSアカウントを持っておくのもおすすめです。
近年では、家づくりにおける一次取得層を中心にインスタグラム検索が主流になってきています。
家づくりの際は、複数の工務店・ハウスメーカーのアカウントをフォローし、情報収集する人も少なくありません。
例えば、竹村工務店の公式アカウントはキャプション(投稿)に統一感があり、世界観を崩さないように意識して文字入れされています。
ストーリーズにはイベント情報も紹介されており、きちんと問い合わせの導線も確保されているのがポイントです。
参考:https://www.instagram.com/takemurakoumuten/?hl=ja
資料や飲み物を用意する
勉強会当日の資料や飲み物などの準備を忘れてしまいがちです。
また、参加者の集中力が持続するのは20〜30分程度です。
勉強会はできるだけ手短に伝え、時間が長くなる場合はお茶やお菓子を用意してできるだけ快適な環境で聞いてもらうようにしましょう。
工務店集客の勉強会事例
次に、工務店集客における勉強会の具体的な事例を2つ紹介します。
浅井良工務店
浅井良工務店では、自社の打ち合わせルームで定期的に勉強会を実施しています。
ホームページでは勉強会の簡単な内容や、ターゲットの悩みを書き出して誘導しています。
また、開催日や時間、場所もわかりやすくまとめられており、参加者が迷うことはありません。
また、打ち合わせルームの一角にはキッズスペースがあり、子連れのファミリー層でも訪れやすくなっているのがポイントです。
平松建設
平松建設では、お客様の悩みや不安に寄り添った勉強会を実施しているのが特徴です。
例えば「家が値上がりしてるし、今建てるのはやめておこうかな…」という悩みを取り上げ、解決策を提示しながら勉強会に誘導しています。
参考:https://www.hiramatsu-kenchiku.jp/
工務店集客で勉強会を実施する3つのポイント
勉強会を実施する前に、基本的なマーケティング手法について理解しておく必要があります。
特に自社のマーケティング担当や兼任している営業マンは他の業務にも役立ちますので参考にしていただければと思います。
マーケティングの段階を理解する
まずはマーケティングの段階について知っておきましょう。
お客様が問い合わせするまでには段階があり、段階を飛ばして利益に繋げようとしてもまず失敗してしまいます。
目の前のお客様がどの段階にいるのか把握した上で、適切な施策を打つ必要があります。
具体的な段階は以下の4ステップです。
1. 認知してもらう
一番最初のステップは、認知してもらうことです。
人が購買行動を取るときは、ほとんど知っている会社の商品・サービスを選ぶという特徴があります。
例えばスーパーでお菓子を買うときも、大半の人は「カルビー」など有名な会社の商品を選ぶのではないでしょうか。
工務店においても同じで、まず認知してもらえなければ選択肢にすら入りません。
チラシやオンライン広告などを使い、知名度を高めていきましょう。
2. 興味を持ってもらう
次に、興味を持ってもらう段階です。
広告やチラシを見ているユーザーの大半は、濃い見込み客ではありません。
どちらかというと「少し家づくりに興味がある」程度で、ここからさらに自社サービスに興味を持ってもらう必要があります。
具体的には、ターゲットが家づくりについてリサーチした際、自社の情報が真っ先に目に入るようにしましょう。
SNSやホームページを通じて繰り返し情報提供できれば、単純接触効果で親しみを持ってもらえるようになります。
昔からよくある手法としてはテレアポです。
最近では知らない番号からの電話はなかなかでてもらえないことが多く、留守番電話に残しておくことが多いかと思います。
テレアポ=しつこく営業されるというイメージがあるため、なかなか興味をもってもらいにくくなっています。
3. 行動してもらう
行動してもらうための施策も必須です。
注文住宅はかなり大きな出費となるため、どのお客様も工務店選びには慎重になりますし、具体的な行動は後回しにされがちです。
よって、工務店側から「今すぐ行動すべき理由」を提示する必要があります。
勉強会は、特にこの段階で有効です。
勉強会やイベント、セミナーなどを定期的に開催して告知すれば、行動へのモチベーションが高まり、問い合わせ件数も増やせるでしょう。
4. 決定してもらう
最後に、問い合わせ先を自社に決定してもらいましょう。
家づくりは大きな買い物ですので、ほぼ全てのお客様は複数の工務店で見積もりを取り、比較検討します。
他社と比べて「ここで家を建てたい」と思ってもらえなければ成約にはつながりません。
例えば、資料請求で不安を取り除いたり、口コミや評判を提示したりして安心感を持ってもらうことが大切です。
ユーザーが抱えている不安を分析し、ひとつ残らず潰しておけば成約しやすくなります。
ターゲットを明確にする
勉強会開催前に、ターゲットを明確にしましょう。
誰に向けて開催するのかあいまいだと、テーマも決まらない上に内容もブレてしまいます。
まずはペルソナ設定を行い、ターゲットの人物像などを絞り込む必要があります。
告知方法に関しても、ペルソナと合った方法を選びましょう。
他の集客方法と組み合わせる
勉強会だけでなく、他の集客方法もきちんと検討しましょう。
勉強会は濃い見込み客の獲得には有効ですが、時間的・場所的な制約があるため、興味を惹ける対象は限られてしまいます。
より幅広い地域に向けて集客したいなら、オンライン集客も検討すべきです。
例えば、InstagramなどのSNSなら全国誰にでも自社の魅力を伝えられます。
また、オウンドメディアやブログを運営すれば、家づくりに関して悩んでいる潜在的な顧客も集められます。
まとめ
今回は、工務店集客における勉強会の実施方法について解説しました。
勉強会はただ実施すれば効果が出るわけではなく、テーマやターゲット、告知方法まで事前の準備の段階で勝敗が決まってしまいます。
SNSやホームページ、チラシなどを活用し、できるだけ自社のターゲットとなる人を集め、自社の見込み客となるように教育していけるように、この記事を参考にしてもらえれば幸いです。