住宅業界において2〜4月、6〜8月、10〜12月は閑散期となっており、その他の月よりも集客や受注が減ってしまいがちですが、そんな時期でも安定的に種まきや仕掛けをすることで、集客の一定化を図ることが可能となります。
今回は、閑散期にどう集客すべきか悩む工務店関係者の方に向けて、閑散期に行うべきイベントの効果的な開催方法や安定的に集客する手法、取ってはいけない施策について、実体験をもとに解説していきます。
新築着工棟数が年々減る一方ですが、他社とは違う工務店からの積極的なアプローチが必要となります。
工務店が閑散期に取るべき3つの施策
閑散期でも問い合わせに繋げるには、お客様の問い合わせへの感度を高めることが重要です。
そこで、以下のような施策が有効となります。
● キャンペーンイベントを開催する
● 限定特典を付与する
● 告知を行う
イベントを開催する
なかなか集客できない場合、おすすめの施策が特典キャンペーンです。
閑散期には1件あたりの集客にかかる「来場単価」が増えてしまいます。
ここで来場単価を下げようとする工務店は多いですが、トータルの売上を考えると逆効果になるためあまりおすすめできません。
イベントには予算やスタッフのリソースが必要で予算的に厳しくはなりがちですが、キャンペーンイベントを行うことで、もともと使う予定の広告予算などを、お客様への特典に還元することで、濃い見込み客が集まり、結果的には売上増加につながります。
特に、今は政府によりZEH住宅に対して補助金を出す施策が始まっていますので(こどもエコすまい支援事業)この施策に合わせて自社独自の特典(太陽光発電キャンペーンなど)を企画して、お客様にとってお得感を出すことも有効な手段です。
来場特典を付与する
特典キャンペーンを実施する際は、必ず来場を促すようにするべきです。
閑散期はただでさえ集客が難しく、イベントやセミナーを開催しても人が集まりにくいため、来場数を増やす施策が必要です。
特典を付与する条件として、モデルハウスや展示場への来店が受注角度を上げるのに最も効果的です。
接触頻度(会う回数が)多いほど、人は親近感や信頼が高まる傾向があるので、10回の非接触面談よりも1回の対面接客を優先しましょう。
告知を大々的に行う
イベントを開催するなら、告知を大々的に行いましょう。
他社がイベントを控え気味の時期に、自社のイベント告知を大々的に行うことで認知を一気に広げて、家づくり検討客に知ってもらう機会を増やしていきます。
中小規模の工務店における具体的な告知方法は、以下の3つです。
自社ホームページ
自社ホームページは、告知や集客、ブランディングが全てできるのが魅力です。
自社ホームページではイベントやセミナー、勉強会などの告知が自由にできますし、地域に寄り添った工務店ならGoogle検索からの流入も狙えます。
ユーザーがホームページを見れば、自社の世界観を理解してくれるきっかけにもなるでしょう。
事例を挙げると、株式会社ホームライフでは、ホームページでイベントの来場予約や資料請求などがすぐできるようになっています。
グローバルメニューに必要情報がわかりやすくまとめられており、迷わないよう工夫されているのもポイントです。
チラシやポスティング
ホームページに人を集めたいなら、チラシやポスティングも必ず行いましょう。
SEOやブログ、オウンドメディアなどのオンライン集客は結果が出るまでどうしても時間がかかりますが、チラシやポスティングなら短期間で認知度を高められます。
また、新聞の折り込み広告や地域機関紙など、さまざまな方法を選べるのも利点です。
近年、チラシは若い人にはあまり見られないため、ターゲットの年齢層は中高齢者寄りになってしまいます。
しかし、中高齢者は購買力があるため、あえてターゲットを切り替えていくのもひとつの手です。
SNS
さらにターゲット層を広げていきたいなら、SNSも活用しましょう。
近年では、SNSで自社アカウントを作成して集客を行う企業が増えてきており、工務店・ハウスメーカーも例外ではありません。
SNSはあまりコストがかかりませんし、認知度向上、またはブランディングには最適の手段です。
工務店集客においては、Instagramが最もおすすめです。
Instagramは画像メインですので施工事例などのイメージを伝えやすく、ブランドイメージを理解してもらうのに役立ちます。
なお、Instagramには以下のような投稿機能があり、使い分けが重要です。
例えば「無印良品の家」の公式アカウントでは、キャプションで世界観を演出しながら、ストーリーズとハイライトでイベントの案内を行っています。
参考:https://www.instagram.com/mujihouse/
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工務店集客における仕事の取り方
閑散期には、イベント集客だけでなく仕事の取り方も考え直していく必要があります。
次のような対策を立て、仕事が途切れないように工夫することが必要です。
● 顧客からの紹介
● 広告の掲載
● マッチングサービス
顧客からの紹介
常時、新規顧客だけでは息が長く続きません。
自社で家を建てたお客様から紹介をもらえるように常日頃アフターケアをすることも重要です。
紹介受注なら紹介されたお客様も信頼感をもってもらいやすいため、受注につながりやすいのがメリットです。
営業の手間もかからず、集客コストなども考えなくて良いため、積極的に狙っていきたいところです。
重要なことは紹介を受けるにはお客様との信頼関係の構築が重要になります。
受注後も定期的にサポートして、「この工務店は他の人にも紹介したい」と思えるようにきめ細やかな対応を心がけることが重要です。
広告の掲載
広告を掲載するのもおすすめです。
広告なら予算さえあればどの工務店でも実施できますし、比較的短期的に集客効果を得られます。
なお、広告にはオンライン・オフラインの2種類があります。
オンライン広告
● コマーシャル
● チラシ・ポスティング
● 看板
● ラジオ
● 情報誌
オフライン広告
● リスティング広告
● ディスプレイ広告
● SNS広告
● メール広告
● 動画広告など
オンライン広告は不特定多数にアプローチでき、オンライン集客は地域を絞って限定的な集客が可能です。
予算などを加味して、最適な集客方法を検討してください。
マッチングサービス
近年では、注文住宅を建てたい人と工務店をつなぐマッチングサービスも登場しています。
SUUMOや家タテなどのようなポータルサイトに登録することで、家づくりを検討しているユーザーとのタッチングポイントをつくることが可能になります。
ユーザーの希望する予算や土地情報などを元に、条件に当てはまる工務店が表示されるため、初めから濃い見込み客にアプローチできるのが魅力です。
ただし、ほとんどのユーザーは複数の競合他社と見積もりを取り、比較検討しています。
したがって、競合についてリサーチしながら、自社ならではの強みを見つけ差別化しましょう。
工務店が閑散期でも安定して集客する5つの方法
閑散期でも集客を安定させるには、普段から集客方法を工夫し、改善し続けることが必須です。
具体的には、以下のような施策が効果的です。
自社の強みを理解する
集客においては、コンセプトの立案が先決です。
近年ではネットで簡単に工務店の比較ができるため、他の工務店とどこが優れているのか明確でないと、受注にはつながりません。
ただ「安い」「デザインが良い」などのありふれた強みでは、差別化できなくなってきています。
地域に密着した中小規模の工務店なら、エリア内で差別化できればOKです。
まずは「SWOT分析」で自社の強みと弱みを把握して、競合記事と比べながらコンセプトを見出していきましょう。
内部環境 | 外部環境 | |
強み | 自社の強み | 外部で自社に都合の良いこと |
弱み | 自社の弱み | 外部で自社に都合の悪いこと |
ターゲットを把握する
次に自社のターゲットを決めましょう。
閑散期は問い合わせが減るため、自社のサービスを必要としているお客様をピンポイントで絞り込む必要があります。
自社の強みを分析したら、どのような人に必要とされるサービスなのか、具体的な人物像を考えてください。
この作業を「ペルソナ」設定と言います。ペルソナ設定では、ターゲットについて以下の項目を設定します。
● 性別
● 年齢
● 家族
● 住まい
● 仕事
● 年収
● 趣味
● 性格
● 悩み
● 目標
● 学歴
ペルソナ設定には正解がないため、複数のパターンを考え、最も自社のサービスに相応しい人物を設定しましょう。
積極的に情報発信する
安定的に集客するには、積極的に情報発信を行いましょう。
Google検索やSNSで情報収集するユーザーは非常に多いため、ネットを通じて情報発信していれば、より多くのユーザーの目に留まります。
待っていてもお客様は来ないため、以下のような媒体を活用するのが有効です。
ホームページ | チラシやSNS、イベント会場などあらゆる集客媒体から人を集められる。
ブランディングや問い合わせの確保にも役立つ |
ブログ | 主にGoogle検索でターゲットに価値提供しながら集客できる。
潜在的な顧客を集められるのが魅力 |
SNS(Instagram) | 認知度向上やブランディング、イベントの告知などに役立つ。
ファンを獲得できればフォローしてもらい、定期的にアプローチできる |
ただし、情報発信するだけでは問い合わせにつながりません。
相談会やイベントの告知も積極的に行い、お客様が今すぐ行動する理由を作りましょう。
アナログとデジタルを組み合わせる
集客においてはアナログ・デジタルの両方を活用しましょう。
確かに、オンライン集客の方が多くのターゲットに見られるため、効率的に集客できるかもしれません。
しかし、ネット上には同じようなことを考えている競合他社が無数にいるため、差別化しながら集客するにはどうしても時間がかかります。
地域に根ざしたチラシやポスティング、交通広告なら競合が少なく、見られやすい傾向にあるため、いち早く認知度を高められます。
直近の施策はオフライン集客で行い、長期的・継続的に集客していくなら、オンラインも組み合わせていきましょう。
人材を育成する
集客だけでなく、人材の育成にも目を向けましょう。
建設業界は人材不足に陥っており、どの工務店も優秀な人材を欲しがっている状態です。
人材育成に力を入れて優秀なスタッフを揃えられれば、受けられる仕事の量や質が高まり売り上げも拡大していくはずです。
どうしても人材確保が難しい場合、アウトソーシングを活用するのも手です。
アウトソーシングなら人材不足にも対応できますし、ネットワークを広げられれば紹介で仕事を獲得できるチャンスにもなります。
集客だけでなく、質の高い仕事をこなせるように人材育成にも力を入れていきましょう。
工務店集客で閑散期に注意したいポイント
閑散期でなかなか仕事が取れない場合でも、単価を落として安請け合いするのは避けるべきです。
確かに、単価を下げたりなんでも引き受けたりすれば、仕事を取りやすくなるかもしれません。
しかし、工務店集客において理想的なのは「この工務店が良いと思ったから」と選んでもらうことです。
価格だけしか見ていない顧客を取っても、利益率が下がる上にクレームも多くなってしまいます。
ホームページやブログ、SNSなどでブランディングし、あなたの工務店だから良いと思ってくれるお客様と付き合うべきです。
まとめ
今回は、閑散期における工務店集客の方法について解説しました。
繁忙期以外の月は新規受注が難しくなるため、ただ待っているだけでなく、工務店側から施策を打つことが重要です。
局所的な対策にとどまらず、普段からホームページやブログ、SNS(特にInstagram)などのオンライン集客に力を入れ、閑散期になっても安定的に集客できるよう心がけることが生き残る手段の一つとなります。