コロナ禍以降、工務店集客において、競合他社の動きや市況の変化により、ますますスピード感が求められています。
特に、2023年度以降の住宅業界は2022年度から続く、資材の高騰や金利優遇の引き締め、人口減少による新築着工数の低迷などが逆風となっており、より厳しい戦いを強いられています。
今回は2023年度の工務店集客を成功させるための欠かせない重要なポイントや、社内で内制化すべきマーケティング施策や外注すべきことについて解説をしていきます。
【まずは基本をおさらい】マーケティングとは?
まずはじめに基本的な用語についてのおさらいです。
概念的な事はなんとなく理解されていると思いますが、改めて「マーケティング」という言葉について確認してみましょう。
マーケティングとは簡潔にお伝えすると、「商品やサービスの売れる仕組みづくり」をすることです。
つまり工務店の場合は、お客様に対して住宅を効率的に販売する仕組みを作ることになります。
年間10棟未満の工務店であれば、社長が営業を兼ねていることが多く、社長のスキルで受注が取れる仕組みとなっています。
そして社長が直接、営業マンを育てようとしても社長のマネをしようとしてもなかなかできず、ほとんどの人が挫折してしまうことが多いと思います。
現在受注棟数が少ない工務店でも、属人的な売り方に頼らないマーケティングによる売れる仕組みや商品があれば自然に受注が取れるようになるのです。
マーケティングを自社で行う場合の心得として、単に住宅を販売するだけではなく、「どんな暮らしを実現したいか」「どうしたら快適に過ごせるか」というお客様の視点に立つことも重要です。
集客においてマーケティングが重要な理由
では、なぜ工務店が集客をする際にマーケティングが重要になるのかについて深掘りしていきます。
その理由としては、工務店は限られた地域の中で地域密着型の経営を行っているからとなります。
地域密着の工務店は、会社の立地によって自ずと施工エリアが決まります。
また、施工エリアを拡大するために支店などを作ります。
施工エリアが決まると人口規模や住環境によって着工数がおおよそ目処がつき、その中で各社競い合い、着工数のパイを奪い合うことになります。
大手住宅会社やハウスメーカーは全国的に販売基盤を持っており、受注活動のための広告も広い範囲で展開ができます。
そのため、広告を出すことにより、集中的に集客をすることも見込めます。
一方、工務店は地域密着型の仕事をしているため、無作為に広告を出しても集客につなげることは難しいのです。
効率的に住宅を販売するためにもその地域ならではのお客様のニーズと、自社の特長・強みを理解しながら、受注活動を行う必要があります。
地域に合った効率的な受注活動を行うためのマーケティングをしっかりと行うことが、重要だとお分かりいただけたのではないでしょうか。
次の章から、集客の際に抑えておくべきポイントについて説明をしていきます。
集客の際に抑えておくべきマーケティングのポイント
では、集客の仕組みを作る際に重要視するべきマーケティングのポイントを説明していきます。
ここでは下記の3点について深掘りしていきます。
● 自社の強みやコンセプトを理解する
● ターゲット層・ペルソナを設定する
お客様の検索意図を考える
今の住宅を検討するお客様は、まずは一通りネットやSNSで情報収集をし、自分たちの好きなテイストや間取り、価格などを広く浅く調べていきます。
気になる工務店には資料請求や来店して実際に目で確かめて、数社に絞り込みます。
初めの出会いを勝ち取るためには、お客様が何を考えて、どんな情報を求めているのか?それが自社の商品やサービスで訴求できるのか?という禅問答を繰り返す必要があるのです。
ウェブ上でのお客様はどんなキーワードで検索するのか?など検索意図を考えることから始めてみるのがおすすめです。
例えば、「〇〇市 高性能住宅」、「平屋住宅 〇〇市」など、お客様が具体的に建てたいエリアでどんな住宅テイストを建てたいイメージがあるでしょう。
それらを事前に知っておくことで、お客様にどのようなニーズがあるのかを学ぶことができ、そのニーズに対して適切なアプローチをすることが可能です。
そのため、まずはお客様が住宅を建てる際にどのような意図があってキーワード検索をしているのか考えるようにしましょう。
自社の強みやコンセプトを理解する
次に重要になるのが、自社の強みやコンセプトを理解することです。
企業には理念やビジョン、ミッションがあります。それを具現化したものが提供する住宅に表されているはずです。
上記の検索意図を知ったうえで、お客様に対して住宅の訴求をするのであれば自社の強み=提供する住宅やサービスを再認識する必要があります。
折角強い商品があっても、その理念やコンセプトが理解されていなければ、お客様に魅力を伝えることができません。
社員一人一人が自社の強みやコンセプトをしっかりと理解する教育が重要と言えます。
また、強みを理解することによってその地域で他の工務店との差別化を図ることが可能です。
特に営業マンにとって競合相手に勝つためには重要な要素です。
強みを理解しておらず特徴のない住宅であれば、他の工務店の中に埋もれてしまいます。
そして、お客様の選択肢から外れてしまう恐れがあります。
地域の工務店の中でも、どのような特徴があり、他社との違いはどこなのかを考えるようにしましょう。
ターゲット層・ペルソナを設定する
そして最後に、自社の住宅を購入するターゲット層やペルソナを設定する必要があります。
ペルソナとは「仮面」や「人格」という意味がありますが、マーケティングにおいては自社の製品やサービスを利用する人物像を表しています。
工務店の場合は、住宅を購入するお客様の具体的な人物像になります。
例えば、「31歳男性」「会社員」「土日休み」「妻と息子2人の4人家族」「キャンプなどのアウトドアが趣味」などの人物設定になります。
ターゲット層とペルソナを設定することによって、集客するお客様を絞ることができ、効率的に行動に移すことが可能です。
ターゲット層とペルソナの設定ができていなければ、自社のコンセプトや強みを生かすことができないため、お客様とのマッチも難しくなるでしょう。
そのため、より具体的に設定をしておくことをおすすめします。
活用すべきおすすめの対策3選
ここまでは集客をする際に、どのようなポイントを抑えておくべきかお伝えをしました。
それを踏まえたうえで、集客の際に活用するべき対策の解説をします。
今回は大きく分けて下記の3つになります。
● ホームページ(SEO対策)
● グーグルマップ(MEO対策)
● SNS
自社ホームページ(SEO対策)
まず1つ目は、自社のホームページを充実させることです。
自社ホームページを充実させることで、継続的な問い合わせを獲得することができ、WEB上の資産とすることができます。
充実化させる手法として、内部発信的対策とSEO対策の2つの対策があります。
1つ目の対策として、内部発信的対策です。社内の雰囲気や社員の声、現在進捗中の現場のブログなど、お客様が来店しやすい状況をつくることに有効です。
実際に社員が持ち回りでブログを更新している工務店さんや社長が毎日日記のように更新していたりと、やり方は様々ですが、来店しようかどうかの判断の重要な要素になることは間違いありません。
2つ目の対策として、SEO対策です。
SEOとは「Search Engine Optimizatio」の略であり、検索エンジン最適化という意味になります。
簡単に説明すると、特定のキーワードで検索をされた際に、自社のホームページを上位に表示させることになります。
お客様も数ある工務店の中から選択をします。
そのため、「〇〇市 工務店」などのキーワードで検索をした際に上位に表示されていれば、目に留まり、クリックされる回数も多くなります。
SEO対策については、競合他社も同じように狙っているキーワードがあるため、緻密に設計された対策で上位化を狙う必要があります。
社内で専門的な知識をもった人がいないと難しい対策となるため、外部に委託して行うことが一般的です。
また、SEO対策はオウンドメディアという位置付けで「受け身」の対策となり、効果がでるまで少し時間がかかります。
おすすめは並行してWEB広告を入れることです。
同じように対策キーワードを設定することで、狙ったキーワードで広告を表示させ、クリックしてもらうように促します。
月の予算をあまりかけられない場合は、1クリック単価をなるべく低く設定し、競合があまり狙わないキーワード(ロングテールキーワード)で出稿するとよいでしょう。
Googleマップ(MEO対策)
続いて、GoogleマップもSEO対策と非常に相性がよく、地域密着工務店にとって活用するべきツールになります。
お客様は自宅の周辺に工務店がないか探すことがあります。とくにリフォームの場合は「地域名×リフォーム」で検索されやすいため、戦略的に対策しているリフォーム会社はGoogleマップから集客に成功しているところも多くあります。
最近ではウェブ上で情報を得る際に、スマホを使うお客様が多くなっており、約6〜7割のユーザーがスマホ検索で情報を取得している傾向があります。
そのため、視覚的な情報を与えるためにはGoogleマップはとても便利なツールになります。
また、検索をした際にウェブページの検索結果よりも上に、Googleマップの表示がされます。
マップの下に3つの企業情報が表示されることでクリックがされやすくなるので、なるべく3位以内に入ることを目標として対策すると良いでしょう。
SEO対策とMEO対策はお互いに相乗効果をもたらすと言われているため、どちらかを対策するよりかは、同時に対策した方が早くユーザーに自社を認知させることになり、結果的に集客に結びつきやすくなります。
SNS
そして最後にSNSも積極的に活用する必要があります。
お客様にとってはウェブ検索と同様にSNSから情報を得ることも多くなっています。
住宅については専門用語などお客様にとって分かりにくいことが多々あります。
しかし、SNSであれば写真や動画が多く使われているため、感覚的に理解をすることが可能です。
SNSの中でも特にInstagramやtiktokであればお客様のニーズに合わせて、おすすめの情報を届けることも可能です。
Instagramをメインで使用している30〜40代の女性はまさに家づくり検討層となり、ダイレクトに視覚に訴えることが可能となっています。
Google検索よりもInstagramで検索することがメインのユーザーに認知させるためにはInstagramは外せないものとなっています。
また、コミュニケーションツールとしてLINEを活用することにより、気軽に日常のやり取りをすることができます。
LINEはInstagramと違って、1対1のクローズド化されたコミュニケーションツールなので、よりプライベートな話も可能となります。
まだ、取り入れていないのであれば実験的に行うのも良いでしょう。
まとめ
今回は、工務店が集客をする際のマーケティングの重要性と活用すべき対策について解説しました。
2023年以降はますます集客をすることが難しくなる住宅市場において、戦略的に地域マーケティングを行い、ターゲットユーザーに刺さるコンテンツを発信しないと、認知されずに終わってしまいます。
また、新築着工数の減少など、需要が年々厳しくなる状況もあるため、しっかりとやるべきことを行うことが重要となります。
今後のWEBを中心とした集客の方向性について、時代のニーズとお客様の行動を把握し、自社に合った最適な方法の一役に立てればと思います。