工務店の安定した集客にはブランディングが重要なことについて

今後の工務店の集客において重要な要素としてブランディングがあります。

ブランディングのゴール地点として、自社の強みであるポイントで「この商品と言えば…」や「この特徴と言えば・・・」と顧客が思い浮かべる際の一番手になることがあります。

自社の強みであるアピールポイントにおいて、顧客の選択肢の一番手になることができれば、集客、契約、売上の全てにおいて継続して安定させることが可能です。ブランディングを確立させるには長い時間がかかりますが、自社の強みに合わせたターゲットユーザーを絞り込むと効率的に進めていくことが可能です。

今回は、ブランディングについて自社で取り組む流れやポイントについて解説します。

【基本をおさらい】ブランディングとは

ブランディングを正しく行うことにより、低迷した経営がV字回復することが見込めます。しかし、ブランディングについての知識や意識を正しく理解することから始めることが重要です。

ブランディングとは、他社との違いを明確にすることや自社のコンセプトを明確にすることによって顧客へブランドイメージを浸透させることです。

ブランドイメージを維持するためには、顧客に対する活動と社内における活動の両方を統一して行う必要があります。

また、ブランド=高級品とイメージされがちですが、決して高級品ということではなく、多くの人が連想される商品やサービスを結びつけることそのものがブランドとなります。

一般社団法人ブランドマネージャー認定協会の説明によると、ブランドイメージは一度浸透してしまうと簡単に覆すことは難しいため、ブランドイメージを正しく見込顧客に浸透させるためには、マーケティングと一体となったブランド戦略を、ブランド・マネジメントやブランド戦略を体系的に学び、精通した人財と、共に取り組むことが重要です。

引用:一般社団法人 ブランドマネージャー認定協会

なぜブランディングが重要なのか

地域内に競合他社が複数ある場合、価格競争に飲み込まれる可能性が高くなります。

価格競争に飲み込まれる原因として、自社でも他社でも手に入れることのできる価値はほぼ同じか、価格優位性のあるところを選択するしかない状態になっていることが想定されます。

しかし、ブランディングを行うことによって、競合との価格競争に巻き込まれることなく長期的に安定した集客を手に入れることができます。

なぜならば、その工務店でしか手に入れることができない住宅や暮らしがあり、それを手に入れたいと思わせるようにするのが、ブランドだからです。

誰もが望むものではなく、特定のニーズを持った一部の顧客にとっての一番手を目指すことで売れ続ける仕組みを作り出すことができます。

ブランディングが浸透すると顧客心理が変わる

住宅は「一生に一度の買い物」なので、購入を決断するまでに時間を要する商品です。

絶対に失敗できないと誰もが考えているため、家づくりにおいて、会社のコンセプトやこだわりを持った企業を選びたいという心理が強く現れます。

一貫性を保ったまま続いているブランドイメージは、顧客に安心感を与えることができます。

社内の目的意識統一

ブランディングは、最も身近である社員の意識を統一することから始めます。

社内の企業理念の理解や意識の統一は、会社の発展に欠かせないものです。

私がお手伝いさせていただいているビルダー様もリブランディングを機に、社員の活気を取り戻すことに期待を寄せたり、新たな人材を獲得するための採用強化に用いたりと、様々な場面で活用することができます。

知名度アップ

企業のイメージや信頼度は工務店決定の大きな判断材料となります。

国土交通省の調査結果においても、住宅選択理由の第一位は「信頼できる住宅メーカー/不動産業者だったから」と出ています。

名前を聞いたことのない知らない会社よりも知名度のある会社を選びたいと考える顧客が大半のため、まずは知名度を高める必要があります。

国土交通省 令和3年度 住宅市場動向調査報告書

ブランディングのメリット

ブランディングの重要性についてお分かりいただけたかと思います。次にブランディングによって得られるメリットについてお伝えいたします。

価格競争の回避・顧客単価アップ

ブランディングが成功すると、お客様に「この会社のこの商品をどうしても手に入れたい」と思ってもらい、自然と受注に結びつきやすくなります。この欲求は価格によってぶれることが少ないため、競合他社との価格競争に巻き込まれることなく、先行して商談を進めることができます。

また、こちらで価格を決めやすいという利点があり、資材高騰や円安の影響で価格が上げざる負えない状況下でも、難なく受け入れられやすいというメリットもあります。

マーケティング効率アップ

ブランディングが成功すると、知名度や自社への信頼度も上がるため集客活動を含むマーケティングにおいて多くの反響が望めるようになります。

ブランディングは初めは社内や対外的にも認知や普及させるための労力は大変苦労するところではありますが、軌道に乗ることで、あとは自動的に成長路線に入るので、自動的に集客できるようになります。

人材確保がしやすくなる

家づくりを検討しているお客様だけでなく、企業の理念に共感した良質な人材が集まりやすくなるメリットもあります。

特に自社のYouTubeチャンネルを開設し、会社紹介や企業理念、商品紹介や社員紹介などできるだけ細切れに動画を投稿し、発信をすることでファン化に結びつきやすくなります。

ブランディング戦略の流れ

次に具体的なブランディング戦略についてポイントを解説します。この部分については、外部コンサルタントが受け持つことが多いところとなりますが、社内でもある程度理解しておくことが大切です。

① 市場調査し、ターゲットとする市場を細かく設定
顧客のニーズや市場を調査し、同時に自社の強みについても再確認します。調査結果により、狙う市場を決定します。

② 市場に合わせてターゲットユーザーを設定
より深くターゲットについて考察するためにターゲットユーザーとなるペルソナを設定します。

③ 競合よりも有利となるポイントをユーザー視点で分析する
設定したペルソナに届けたいブランドイメージ、ペルソナにとっての重視したいポイントは何かを考察し、それに合致した自社のアピールポイントは何かを分析します。

④ ターゲットに合わせてブランディングの方向性を決定
ペルソナに最も効果的なアピールポイントを軸として、自社のイメージを決定します。たった一人の誰かに向けた施策を考えることで、方向性が明確になりやすいです。伝えるべきポイントはできる限りシンプルでわかりやすく、できれば一点に絞るようにしましょう。

⑤ ブランディングに合わせた具体的な戦略を考案
広告宣伝や戦略について、ペルソナに最も届きやすい方法を考案します。

⑥ 広告宣伝活動で自社商品への信頼の蓄積
社名とアピールポイントをセットでの知名度アップを目指します。

⑦ 反応確認、分析、修正
顧客の反応から間違ったブラインドイメージで伝わっていないかを確認し、ペルソナ設定や戦略の見直しを定期的に継続して行います。

ブランディングの注意点

ブランディングを行う際に、社内の情報共有や周知をしておかないと、ブランド構築は難しくなってしまいます。ここでブランディングを行う際の注意点について解説します。

イメージ定着までには時間がかかるので、今すぐの効果は見込みづらい

家づくり検討客へイメージが伝わるまでには時間がかかります。

自社のイメージを統一して全社員に徹底したイメージ作りを進めること自体にも時間がかかる上、顧客へのイメージ定着はさらに長期戦となります。

年単位での長期の取組として日々の継続が必須となります。

全てに一貫したイメージを保たないと効果が出づらい

社内の意識改革が一番大変な部分となります。

全社員の共通認識を図り、各部署で取組む広告宣伝、接客対応など、自社から発信する情報全てにおいてブランドイメージと乖離させないことが大切です。

路線変更が難しい

一度ブランディングに成功すると、方針転換が難しいということも頭にいれておかなくてはなりません。

無理に変えようとすると今まで築いてきた顧客との関係性を一気に失う危険性もあります。ブランディングイメージの決定は、徹底した市場調査と検討を慎重に行う必要があります。

一度マイナスイメージがつくと、払拭が難しい

ブランディングを行って認知度が上がると、それだけマイナスイメージも広がりやすくなります。

何気ない投稿に配慮が足りず、SNSで炎上してしまうこともあります。会社の公式WEBサイトだけでなく、従業員の個人アカウントから企業が特定されることもありますので注意が必要です。

不祥事が発覚した場合の対応によっては積み上げてきたブランディングがあっという間に、崩壊してしまうこともあります。

ブランディングを生かした集客施策

ブランディングを成功に導くためには、内側からの発信方法が重要となります。
また、全ての活動においてブランドイメージを保つことに注意しましょう。各発信の方法ごとに注意すべき点を解説します。

見学会、展示会開催

見学会イベントは自社のアピールポイントについて、顧客に直接伝えることのできる機会です。

性能や特徴の説明も重要ですが、社名とアピールポイントが顧客の印象に残ることが最も大切です。

ブランドカラーや覚えやすいキャッチコピーを設定するなどの工夫も必要です。展示内容や接客態度もブランディングイメージと合わせるよう配慮しましょう。

地域イベントへの協賛・地元のイベントへ参加、出展

地域のお祭りやイベントの協賛や、実際に出店することは地域密着型の工務店にとって効果的な施策です。

会社名やスタッフの名前や顔を地域住民に周知することで警戒心を解き、住宅検討のタイミングで顧客から声掛けされやすい環境をつくることができます。

地元エリアでのブランディングの成功は、紹介獲得につながる可能性も高いのでとても重要です。

SNS活用

情報収集の手段として、隙間時間にスマホを利用することが一般的です。

SNSで気軽に閲覧できる情報として、外観写真やインテリアの画像を高頻度で発信することが効果的です。アピールポイントが伝わるような工夫とブランディングに沿った写真の撮り方が大切です。

フォロワーや「いいね!」が増えてくると拡散力が強まり、WEBサイトの閲覧数や資料請求数の増加へつなげることができます。

新聞広告、バス停や社内の広告

地域を絞って広告活動ができるオフライン広告も、地元でのブランディングに効果的です。

ブランディング周知のための広告では、内容はアピールポイントに絞りブランディングイメージにあったものとすることが大切です。

QRコードを記載して、詳しい内容については自社のWEBサイトやSNSに誘導して確認させるような仕掛けを作りましょう。

テレビCM

宣伝費用は高額となりますが、テレビCMを行うことで、社会的な信用を得やすくなります。

ストーリー性のあるCMやインパクトのあるCMを作成することができれば、大きなブランディング効果が見込めます。

ただし、ターゲットとなる年齢層は、オンタイムでテレビを視聴する習慣が少ない世代のため、採用には検討が必要です。

集客施策の成功事例

ブランディングによる集客の成功事例です。実際の施策を考える際の参考としてご覧ください。

サンプロ建築設計事務所 デザイン+性能+自然素材の注文住宅

まとめ

今回は、ブランディングのメリットや注意点、ブランディングを生かした集客について解説しました。

ブランディングとは、顧客の信頼を得ることで集客に結びつけることだけではなく、社内の体制や社員の意識改革によってイキイキとした社風に生まれ変わらせることができます。

また、家づくり検討をしている人にとっても、自社を信頼をしてもらい、価格にもスペックにも縛られることなく、自社の商品を手に入れたいと思わせることができます。

工務店においては、明確なブランディングが確立していない競合他社がまだまだ多く、差別化の第一歩として長期的なブランディング施策に取り組むことがこれからの集客に最も重要な施策となるはずです

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