こんにちは。
株式会社SHO-SANの高谷です。
今回は、マーケティングの「成功要因」を分解し、工務店の集客には何が重要なのかを解説します。
集客戦略、いわゆる「マーケティング」の成果を導き出すには、以下のような簡単な方程式があると言えるでしょう。
クリエイティブというのは、簡単にいえば「販促物のビジュアルやコピー面」です。
そして戦略性は、そのまま「集客戦略」のことです。
マーケティングで成果を出すためにはいずれも重要なのですが、工務店領域では前者の「クリエイティブ」があまり重要視されない傾向があるでしょう。
工務店における「クリエイティブ」の重要性
・ホームページで相談会の告知をしよう
・ポータルサイトにたくさんの実例を載せよう
このような集客戦略を立てたとしても、最終的に機能するかどうかはクリエイティブ要素、つまりは販促物のデザインやコピーライティング、写真などの素材にかかっています。
当たり前のことですが、いくら良い戦略(戦術)を立てても、販促物の「見栄え」次第で成果は上がりにくくなるものです。
工務店は特に「住まい」という多くの顧客にとって人生で最も高額となる商品を売るわけですから、「美しさ」や「洗練さ」は重視すべき領域だといえるでしょう。
高価なものほど顧客の購入に対する不安は大きくなりますから、その不安を取り除くためにもクリエイティブは非常に重要です。
例えばプロによるデザインやライティング、カメラマンによる写真撮影は、初心者によるものと大幅に仕上がりが異なります。
ポスター1つにしても、デザインの質やキャッチコピーの秀逸さによって集客効果はまるで違ってくるのです。
・良い家を作っていれば、顧客はおのずと分かってくれる
このように考える工務店さんもいらっしゃると思いますが、その思いが伝わるかどうかがクリエイティブに大きく依存しています。
写真撮影・ライティング・デザイン……いずれも、誰でもできるといえばできるものではありますが、ここに費用を割いて「プロ」に任せることで販促物のクオリティは一段も二段も上がり、結果として成果が上がりやすくなるでしょう。
適切な表現かはわかりませんが、クリエイティブにかける予算は生活費で言う「光熱費」のような固定費用だと割り切っても良いくらいだと私は考えています。
つまりは、「必要経費」であるということ。
プロに依頼する費用は決して安くないかもしれませんが、数千万円単位の商品を売る上で「見栄え」はそれだけ重視するべきなのではないでしょうか。
何となくそう思っているけど実際に行動に移せていない工務店さんが非常に多いと感じていますので、あえて当たり前のことを主張したいと思っています。
クリエイターを「内製化」するメリット
販促物のクリエイティブを突き詰めるにあたって、私は最終的にはクリエイターを内製化したほうが良いと考えています。
その理由は、外部のクリエイターにデザインやコピーを依頼する場合、以下の点が懸念されるためです。
・専門用語を理解していないことが多い
→結果として「コミュニケーションコスト」がかかる
「デザイン」する目的は「訴求」です。
いかに自社や商品の良さが「伝わるか」ですね。
伝わるためには、「わかりやすさ」や「目の引きやすさ」も求められるでしょう。
ここで大事なのは、「デザインが良い」ではなく「商品が良い」と思ってもらえるかどうか。
会社や商品の魅力を伝えるためのデザインに仕上げるには、当然ながらまずクリエイターがその「良さ」を理解しなければなりません。
しかし、工務店領域の訴求ポイントは構造や断熱、設備など専門性が高いため、外部の人間にはなかなかこちらが伝えたいことが伝わらないことが多いと思います。
広告代理店や制作会社にデザインやコピーを依頼するとなると、まず担当者に商品の良さを理解してもらい、なおかつそこからデザイナーやコピーライターにうまく伝達されなければ意図するクリエイティブは上がってきません。
クリエイターに正確に自社の意図が伝わるまでには、時間も労力もかかります。
さらに初稿で意図したクリエイティブが上がってこなければ、修正を依頼し、二校、三校……というやり取りも必要になるでしょう。
これが「コミュニケーションコスト」となって、集客効率が落ちてしまうことに繋がります。
一方、クリエイターを内製化できると、日々のコミュニケーションを乗り越えて会社の意図したデザインが上がってきやすく、なおかつPDCA(計画Plan・実行Do・検証Check・改善Action)が回りやくなります。
「雇う」はやはり敷居が高いかもしれませんが、工務店領域ではデザインやライティング要素が必要な局面が多いため、クリエイターを内製化できればかなり重宝するのではないでしょうか。
戦略性で重視すべきは「現場の肌感」
冒頭でお伝えしたとおり、マーケティングの成果要因を分解すると「クリエイティブ」と「戦略性」に分かれます。
ここまで「クリエイティブ」の部分についてお話してきましたが、最後に工務店が「戦略性」で重視すべきことをお伝えします。
マーケティングにおける「戦略性」をさらにある切り口から分解すると、以下のようになるでしょう。
この現場感=「現場の肌感・現場感覚」が非常に重要だと考えています。
工務店さんはコンサルタントに依頼していることも多いと思いますが、コンサルタントは数字的根拠、論理性をもとに展開することが多いです。
またコンサルタントというと「論理的」である方が良い、もっと言ってしまえば「ドライ」な方がいいという風潮がはびこっており、それはそれで一理あるのかもしれません。
しかし工務店や建築業界は、特にエリアの特性や価格帯によって成功への道筋が異なる領域だと思います。
他社の成功事例がそのまますべての工務店に当てはまるわけではない以上、特にマーケティング領域ではより一層現場のリアルな声は必ず考慮されるべき要素の1つだと言えるでしょう。
「住まいを買う」という大きな決断をさせるためには、顧客の心を動かさなければなりません。
顧客の心が動くポイントこそが、例えばエリアや価格帯によって微妙に変わってくるはずです。
つまり、数字的根拠等の論理性だけをもって集客戦略を立てていくと、「顧客の心が動くポイント」が置いてきぼりになってしまいかねません。
よって集客戦略を立てるときには、現場に対して「成功イメージがわくか?」と常にすり合わせていく作業が必要となります。
もし現場の成功イメージが湧かないとなれば、そこからエリアの特性であったり、顧客の潜在的なニーズであったり……これまで見落としてしまっていたものが見えてくるものです。
数字的根拠や論理性と共に、「現場のしっくり来るか」という感覚的な意見をもすり合わせた上で成果に導ける人こそが、本当に有能なコンサルタントだと私は考えています。
「クリエイティブ」「戦略性」はいずれもマーケティングの成功には不可欠な要素なのですが、工務店領域で重要であるはずのクリエイティブの部分は、やや後回しにされている傾向にあるように思います。
また、いくら実績のあるコンサルタントを入れていたとしても、現場とのすり合わせがうまくいっていないようでしたら、大事な「顧客の心が動くポイント」を無視した集客戦略になってしまっているかもしれません。
マーケティングの成功要因を分解すると、重視すべきことが見えてきやすくなるでしょう。
本記事が、「何に予算をかけるべきか?」「大事なことを忘れてしまっていないか?」と、今一度何かを前向きに見直すきっかけになりましたら幸いです。
それでは、工務店領域のマーケティング機能の発展を祈って。
株式会社SHO-SAN
代表取締役社長 高谷一起