スター・マイカ・ホールディングスの成り立ち
スター・マイカ・ホールディングス株式会社は、スター・マイカ株式会社以下グループ企業の完全親会社として2019年6月東京証券取引所第一部に上場しました。
同社の創業は1998年7月に設立した株式会社オフィス扇からスタートします。
代表者の水永政志氏はゴールドマンサックス証券退社後、2001年5月に株式会社扇インベストメントを設立し、中古マンションを買取り再販する事業に着手します。
2002年2月には株式会社扇インベストメントをスター・マイカ株式会社に商号変更し、2006年10月大阪証券取引所ヘラクレス市場の上場により事業基盤を確立することになりました。
2007年5月にはスター・マイカ・アセットマネジメント株式会社を設立、2008年5月にはスター・マイカ・レジデンス株式会社を設立し、業態を拡大していきます。
2013年には大阪に進出し、スター・マイカ株式会社は2015年11月東証二部に上場を果たします。
さらに2017年7月に一部指定となり、その後福岡、名古屋、仙台、札幌と全国主要都市にも拠点を開設し全国展開を図りました。
2018年11月には起点となった株式会社オフィス扇をスター・マイカ・ホールディングス株式会社に商号変更し持株会社体制の準備に入り、冒頭のグループ親会社として東証一部上場となったのです。
マンションのオーナーチェンジ物件を買取り、空室になった時点で一般個人にリノベーション後再販するという、市場転換により生まれる価格差から収益を生み出す「裁定取引」を主としたビジネスモデルが特徴です。
*参考文献
https://www.goodfind.jp/interviews/91
https://www.starmica-holdings.co.jp/ir/strategy/
スター・マイカ・ホールディングス全体の売上と利益
直近3期の売上高と営業利益は以下のとおりです。
2019期は売上が前年比11.3%アップですが、利益は5.5%落ち込みました。
原因はインベストメント事業物件の売却です。物件価格下落を予想し2019期中の処分をおこなっています。
2020期は順調に推移しており、主力の「リノベーションマンション事業」が2020期3Qでは前年同期比1.4倍の売上となり、インベストメント事業の消去分を補い、全体の売上を拡大させました。
通期予想は352.5億円とし前期比約10%程度の売上増を見込んでいます。
2020期3Qまでの四半期ごとの売上高と営業利益および利益率が下のグラフです。
四半期ごとの売上高では、2020期の各四半期とも前年および前々年を上回っていますが、利益率が低下しており、2020通期の結果が注目されるところです。
「スター・マイカ・ホールディングス」セグメントごとの売上
セグメントは次の3つの事業に分かれます。
2. インベストメント事業
3. アドバイザリー事業
各セグメントの売上高と売上総利益は下のとおりです。
2019期に前述のとおりインベストメント事業物件は売却しており、2020期においてはインベストメント事業にかかわる実績はありません。
2022年11月期までの5ヶ年経営計画3年目にあたる2020期は、リノベーションマンション事業の一層強化を目差しており、ほぼ計画が達成される模様です。
スター・マイカ・ホールディングス短期的な戦略
5ヶ年計画では2020期に4つの重点施策をかかげています。
2. エンドユーザー向けのブランディングへの積極投資
3. インベストメント事業再開へ向けた準備の開始
4. 地方主要都市の営業機能の拡充と再編
“自分でリノベ”事業では、リノベーション住宅流通プラットフォーム「cowcamo」を運営する株式会社ツクルバとの提携により、新規市場開拓を目差します。
エンドユーザー向けブランディングとしては「mamari」を運営するコネヒト株式会社との協働により、住まいコミュニティを開発しリノベーションマンション購入層の拡大も目差しています。
インベストメント事業の再開は市場環境の影響があり、本格的な事業スタートの見通しはまだ不明ですが、手元資金90億円および金融機関からの調達枠200億円が確保されており、資金面での準備はできていると考えられます。
また地方都市における戦略強化のため統括職を設置し、札幌営業所の支店化により全国の主要都市の営業網が確立します。
短期的にはまず、2020年11月期の決算結果が注目されますが、ITとの融合戦略はこれまでも行っており、2021期に「cowcamo」と「mamari」との連携による効果が生まれるのかが注目です。
スター・マイカ・ホールディングス長期的な戦略
長期的な見通しを分析するには、メインであるリノベーションマンション事業をもうすこし細かくみる必要があります。
リノベーションマンション事業は、売買による収益と賃貸による収益があり、ビジネスモデルとしては売買による収益性がメインとなります。
しかし利益率の高い安定したストック収入は経営基盤を強化し、売買・賃貸ともにバランスのとれた状態が望ましいといえるでしょう。
2012期からの売上総利益における、売買と賃貸の比率を表したのが下のグラフ。
売買・賃貸ともに伸びていますが、一方で、売買の比率が徐々に大きくなっていることもわかります。2020通期の結果がでると、その傾向がもっと明確になると思います。
来期からはここに「自分でリノベ」による請負事業が追加されることが予想され、2022期の売上500億円と販売用不動産残高1,000億円の達成が注目されるのです。
オーナーチェンジ物件の買取り、そしてリノベーション後の再販と、仲介会社としてもビジネスチャンスは多くあると考えられそうです。