初回の「渋谷エリア」以降、前回まで東急東横線を扱ってきましたが今回からお隣の東急線、「田園都市線」にエリアを移してご紹介していきます。
※可読性を重視し各社の呼称には敬称を用いず表記させていただきます。
▼過去回はこちらから
多少の順位変動はありつつも東横線ではやはり「東急強し」という状況でした。
同じ東急線であり城南エリアのご近所である田園都市線ではどのような数字になっているのか、今回は池尻大橋・三軒茶屋の2エリアの実績をみていきます。
売出件数ランキングについて
- 集計期間:2021/1/1~2023/12/31の間に売出を開始した案件
- エリア:田園都市線(池尻大橋駅・三軒茶屋駅)
- 単位:各社法人単位ではなく支店ごとに計上
池尻大橋エリア
2021年には三井のリハウス 三軒茶屋センターが1位、僅差で東急リバブル 渋谷センターが2位でしたが、翌年以降はリバブル渋谷が単独首位を奪取し、独占率も唯一2桁台をキープしています。やはりここでも自社沿線においては「東急強し」と言えそうです。
池尻大橋は大手各社の出店がなく、周辺を渋谷・三軒茶屋・中目黒と市場規模の大きい駅に囲まれているため、これら3駅の勢力が牽制し合う緩衝地帯のようになっている印象です。
また、隣接している3駅とさほど離れていませんのでエリアそのものが狭く、必然的に総売出件数が周辺エリアよりも少なくなっています。
このように、そもそもの母数が少ないこともあって3位以下については売出件数が例年3~6件に収まるため順位変動が激しいのもエリア特性と言えそうです。
ちなみに「目黒川沿い」や「東山学区」など局所的に圧倒的な人気を誇るゾーンがあるのですが、このあたりを筆頭に築年数の古いマンションが多いので、リノベーションを得意とする企業がランキングに登場しやすくなっているようです。
オークラヤ住宅、ツクルバ、など御三家以外の企業がTOP3に食い込んでくるのはこうした影響があるのではないかと思われます。
最後に、あくまで個人的な所感ですが「池尻大橋エリア」は単独で扱うには周辺3駅の影響が大きすぎるので、すこし見方を変えてみるのもいいかもしれません。
マスタービューレジデンスやプリズムタワー、クロスエアタワーなど、超有名な大規模ブランドマンションが複数ありますので、地域全体のランキングというよりも大規模マンション内でのシェア争いのほうが話題としては面白くなるかもしれません。
三軒茶屋エリア
池尻大橋とはうってかわって、大手各社がガッチリ拠点を構えバッチバチの激戦区の様相。
とはいえやはり東急が不動の1位。沿線の旗艦店としてチャンピオンの座を防衛しています。
ちなみに、TOP3はやはり御三家が押さえているものの、独占率をみていくと他エリア以上に4位以下の突き上げが激しくなっているようです。
▼上位3社の独占率合計
2021年 40.66%
2022年 35.52%
2023年 27.80%
2021年の段階では実にエリア全体の4割をTOP3で独占していましたが、徐々に削られていき2023年の段階で20%台まで落ち込んでいます。
売出件数を細かく見ていくと、東急は年々微減、住友は3年間通してほぼ横ばい、三井が2022→2023年で13件減と大幅ダウンという状況なので、リハウスの落ち込みが特に目立っています。
この時期のトピックとしては近隣のリハウス中目黒が閉鎖していますが、その影響があったのか、一時的な落ち込みなのか・・・来年以降の推移が非常に気になります。
もう一点気になるところでいうと、2023年時点の東急の数字について、それまでランキングに登場していなかった近隣店舗(渋谷・二子玉川)がいきなり登場しています。
三軒茶屋のみでみると徐々に数字を落としていますが、何かしらの理由で「三軒茶屋の数字が近隣店舗に割譲された」といったことがあるとすると「東急全体としては数字を落としていない」ということがありえるかもしれません。
まあ、完全にたまたまかもしれませんが・・・無理矢理ありえそうなことを考えるならば「エリア制度が改正された(エリアごとに担当する支店が厳密に決まり、越境して担当することができなくなった)」とか、「異動時に担当が物件を抱えたまま異動した」とか、でしょうか?そういった事情があれば、ちょうどこんな数字変動をするかもしれません。
もしご事情をご存知な方がいらっしゃったらこっそり教えていただけると嬉しいです!
番外編
最後にランキングにのった各社が、直近3年間(2021~2023年)に売出開始および掲載終了した案件について、平均の値下率と売出期間を集計したデータを以下に示します。
全ての売主様には個別事情がありますので、本データのみから読み取れることは非常に少ないですが参考までにご参照ください。
「平均値下率」
・売出開始時点の価格と掲載終了時点の価格の変動率
・売出価格2億以上は集計対象外(極端な価格変動事例を除外するため)
「平均売出期間」
・売出開始日を起点に掲載終了日までの日数
・売止、媒介業者の切り替え等による掲載終了等も含む