要除却認定マンションの基準の拡充によりマンション建替えが促進

分譲マンションの建替えを促進させる施策のひとつとして、2020年6月「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」が改正され、2021年12月に施行が予定されています。
改正法では「要除却認定」の対象となるマンションの類型を拡充し、敷地売却の対象や容積率緩和の対象が拡大します。そのため要除却認定の基準について、国土交通省は専門チームを組織し検討中となっています。
検討会は2021年5月13日に第1回が開催され、6月7日に第2回が開催されました。8月には基準案が公表される予定です。
以下に現在までの検討内容と基準案の内容について、公表されている範囲で概要を確認していきます。

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要除却認定が適用されるマンションの類型

要除却認定を受けることができるマンションの類型は以下の5つになります。

1.地震に対する安全上の耐震関係基準に適合しないもの(現在の基準)
2.建築基準法の防火と避難規定に適合しておらず、簡易な修繕で適合させることができないもの
3.鉄筋に沿った浮きやひび割れがあり、外壁の剥落が起こる恐れのあるもの
4.スラブ下配管方式の場合の排水管に複数の漏水が発生しているもの
5.マンションに設ける集会室または各住戸への経路でバリアフリー基準に適合しないもの

出典:国土交通省「要除却認定基準の概要」

1番~3番については容積率緩和と敷地売却事業の対象となり、4番と5番は容積率の緩和のみ対象となります。
また1番についてはこれまでの規定ですが、2番~5番が改正により追加される規定になります。
これら4つの基準についてさらに詳しくみていきます。

建築基準法の防火と避難規定に適合しないもの

防火区画が不適合である、2以上の直通階段がない、非常用昇降機がないなどのマンションが該当します。
防火・避難に関する建築基準法の改正は昭和31年から昭和48年の期間でおこなわれており、築年数の古いマンションほど規定に適合せず、適合させるための費用は過大になると思われます。
調査資格者は以下の3つのいずれかに該当する者になります。

1. 建築基準適合判定資格者(以前の建築主事資格)
2. 建物の構造・規模に応じた建築士資格
3. 上記と同等以上の知識・経験を有する者

外壁の剥落が起こる恐れのあるもの

目視検査により劣化グレードと調査箇所数との関係式から、危険と判断されたマンションが該当します。
構造は鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造が該当し、鉄骨造や木造は目視による判定ができないため対象外となります。
老朽化の状況は全体ではなく、外壁の4面ごとに判定することになり、1面だけでも剥落の危険性が高いマンションも該当します。
調査資格者は以下の3つのいずれかに該当する者になります。

1. 一級建築士または二級建築士
2. 建築物調査員資格証の交付を受けた者
3. 上記と同等以上の知識・経験を有する者

スラブ下配管方式の場合の排水管に複数の漏水が発生しているもの

建築時期の古いマンションでは、汚水や雑排水の排水管がスラブを貫通して階下の住戸の天井裏に配管しているケースがあります。
修繕にあたっては階下の住戸に立ち入る必要があり、広範囲に天井を解体する必要もでてきます。
すでに漏水事故が複数発生しているマンションが該当します。
調査資格者は以下の3つのいずれかに該当する者になります。

1. 一級建築士または二級建築士
2. 建築物調査員資格証の交付を受けた者
3. 上記と同等以上の知識・経験を有する者

バリアフリー基準に適合しないもの

次のすべての基準に適合するマンション以外のマンションが該当します。

・エレベーターや傾斜路を設けた場合を除外し、階段や段を設けない
・出入口の幅は80センチ以上、住戸の玄関は75センチ以上
・廊下の幅が120センチ以上
・傾斜路の幅が120センチ以上、階段併設の場合は90センチ以上
・傾斜路の勾配が1/12以下
・エレベーターのかご及び昇降路の出入口の幅が80センチ以上
・エレベーターの乗降ロビーの幅および奥行きが150センチ以上

調査資格者は以下の3つのいずれかに該当する者になります。

1. 建築基準適合判定資格者(以前の建築主事資格)
2. 建物の構造・規模に応じた建築士資格
3. 上記と同等以上の知識・経験を有する者

マンション再生の可能性が高くなる

外壁の剥落危険性やバリアフリーの基準については、新耐震基準によるマンションであっても該当するケースがあります。
この改正により建て替えに関しては容積率緩和を受けられるマンションが増え、さらに建替えがむずかしい場合に敷地売却が区分所有者の4/5の賛成により可能になります。
敷地売却決議が為されるとデベロッパーが敷地を購入し、マンションを再建する場合には再度入居することも可能になりなす。
つまり管理組合として建替えできなかった場合でも、実質的に建替えを可能にする方法であり、マンション再生の選択肢を増やすことになるのです。

マンション建替え事業は資金的な支援策も必要になります。
国は「優良建築物等整備事業」をおこなっており、マンション建替タイプは老朽化したマンションを建替えする場合に補助金を支給する制度です。地方公共団体との連携によるもので、三大都市圏の既成市街地や地方拠点都市地域など、対象地域は広く設定されています。
また東京都ではマンション建替え等に伴う助成制度(都市居住再生促進事業)を実施しており、以下の3つの事業タイプについて支援をおこなっています。

1. 共同化タイプ:200万円/戸
2. マンション建替タイプ:100万円/戸
3. 既存ストック再生タイプ:100万円/戸

これまでに15プロジェクトが終了し、マンション建替タイプは5プロジェクト1,789戸が実施されています。
マンションの老朽化と建替えは地方自治体にとっても大きな課題であり、建替え時期が到来してもまったく手つかずのマンションは、将来の空き家や廃墟問題の懸念となるのです。

まとめ

今般の「要除却認定」の拡充により建替え可能なマンションの増加が期待できますが、マンション建替え促進政策は管理組合が健全に運営されているケースでは有効ですが、空き家が増加し区分所有者不明などの問題を抱えるマンションでは話が違ってきます。
このようなケースでは建替え円滑化法でカバーできず、区分所有法とマンション管理適正化法に関わる問題を抱えています。あるいは民法で規定する「所有権」や「共有物」に関する部分の影響もあります。
マンション政策は数十年から百年という長い期間を見通した基盤が必要です。この改正によって建替えが促進するようであれば、次はより根本的な政策を求められるようになるでしょう。

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