【後継者不在】不動産会社の事業承継の成功例をご紹介

初めまして。株式会社地場総合研究所の本武育真と申します。

今回は自身の経験から後継者不在の不動産会社の事業承継というテーマでコラムを書かせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

自己紹介

まずは簡単に自己紹介をさせていただきます。

私は新卒入社した大手不動産会社に約5年ほど勤め、その後売買仲介メインの不動産会社を創業しました。そんな中、東京の下町で創業70年の不動産管理会社の後継者不在に悩むオーナーと偶然知り合い、結果的にお客様や既存社員をそのまま引き継ぐ形で事業承継を行いました。現在は、自らの経験を活かし、複数の不動産会社の事業承継サポートにも取り組んでいます。

不動産業界の後継者不在問題について

さて、近年中小企業の後継者不足は日本全体の課題としてよく語られています。
全国の中小企業約4500件に向けて日本政策公庫が行ったアンケートによると、後継者が既に決まっている決定企業は10.5%にとどまり、後継者未定企業、廃業予定企業を合わせると77.4%にものぼります。

その課題は不動産業界も例外ではなく、不動産業界における後継者の決定企業は12.8%、後継者未定企業、廃業予定企業を合わせると72.5%となっています。

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/sme_findings230323_1.pdf

実際に私の身近でも後継者がいない高齢の代表者一人でやっている不動産会社がありました。代表が突然体調不良で倒れ、管理物件のオーナーへの賃料送金が滞ってしまい、物件オーナー様が困って当社に相談にいらっしゃることがありました。

これまで長い間信頼を築き上げ大切な不動産を請けていたにも関わらず、そんな会社としての最期を迎えるのは本当に悲しく虚しいことだと胸が痛かったです。

私が経験した最初の事業承継

私が引き継いだ後継者不在の不動産会社のオーナーもまさに「今後、自分の会社をどうしていったらいいか」思い悩んでいました。

息子達には不動産業を継がないと言われ、社内にはオーナーより年上の20年一緒に働いてきた社員2人と奥様のみ。これから新しく若い子を採用してエネルギーもノウハウもないし、大手に会社を売ってしまうのもお客様や既存社員の顔を見てる裏切っているようで出来ない。

「このまま体の限界まで事業を続けて最後は廃業するしかないか。どうしようか。。」と毎日思い悩んでいたそうです。

そんな中で、偶然ではありますが、年齢が若く不動産業の経験がある私との出会いがあり、「事業を引き継ぐならこの機会しかないと思った」と言っています。

一般的には、第三者への事業承継を行う場合には大手M&A仲介会社が主導となって話を進めることが多いです。ただし、今回のような中小企業の事業承継においては、事業承継後に経営統合を行うことの難しさや譲渡価格に比較して仲介会社の提示する仲介手数料が割高となるケースも多く進んでいないのが現状です。

そのため、大手M&A仲介会社が行うのではない独自の方法をとる必要がありました。

その具体的な方法の一つは、代表交代前から時間をかけて引継ぎを行うことです。

一般的な事業承継では代表を交代後にお客様の引継ぎ等の経営統合を行います(これをPMI=Post Merger Integrationといいます)

ただ、人に仕事がついていることが多い中小企業では代表交代後の引継ぎだけでは不十分だと考えました。代表交代の前後にやるべきことを整理し、切り分けて考えることで、丁寧で効果的な経営統合を行っていきました。

一般的には事業承継が失敗しやすい原因として、以下の2点が挙げられます。

●お客様の引継ぎがうまくいかない

事業承継を行うことで昔からのお客様が離れてしまうことは最も不安視される部分です。特に不動産管理のお客様は現社長を信頼して任せたお客さんが多いため、事業承継後に代表交代のお知らせを出してもうまくお客様を引き継げない可能性があります。

●新社長と既存社員がうまくやっていけない

新たに就任した社長と既存社員は仕事のやり方や考え方に相違があることが多く、うまくいかない事例は多いです。とくに私は既存社員と年が30歳以上離れていました。父よりも年上かつ長年業務を行ってきた社員たちに対して、いきなり代表が変わると伝えるだけではうまくいかなかったと思います。

それぞれの困難な点に対して、事業承継前には新入社員として入社して業務プロセスを一通り経験した上で、社内外から信頼を得てから事業承継を行ったことは本当に良かったと思います。

事業承継が終わった現在は新たな人員の採用も行い、業務効率化と売り上げの向上に向けて経営改善を行っています。

今回の事業承継はお客様からも前経営者からも既存の社員からも「ありがとう」と感謝していただくことが多く、困難なことが多い事業承継において一つの良いモデルになったと考えています。

おわりに

私は、長年地域のために貢献してきた価値のある企業が後継者不在で廃業していくことは非常に悲しいことだと思っています。そんな企業にこそ第三者への事業承継は効果的な解決策であると確信しています。いま現在、後継者不在で悩みの方、事業承継を考えていらっしゃる方は是非一度ご相談ください。

また、今後も不動産会社の事業承継について情報発信をさせていただきますので、少しでも参考になれば幸いです。

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