不動産売買の仲介業は「売りたい人」と「買いたい人」を結びつけることが仕事。どちらの人も大切ですが、より重要なのが「売りたい人」です。
売主さんをいかに集客するかが仲介ビジネス成長の鍵と言っても言い過ぎではありません。
売主の集客にはいくつか広告を活用した方法があり、古くからおこなわれていた方法から最近の新しい方法もあります。
ここでは代表的な5つ集客方法について、メリット・デメリットや注意したいポイントをみていきましょう。
不動産売主集客の広告手法5選一覧
- ポスティング
- 折り込みチラシ
- 一括査定
- WEB広告
- 紹介
1.ポスティング
ビジネスはモノを売るかサービスを売るかのどちらかです。
不動産売買仲介業は「不動産物件の媒介」がメインの仕事、つまりサービス業にあたります。不動産を売りたい人を見つけることが仕事の第一歩です。
「ポスティング」は郵便受けに印刷したチラシを入れる集客方法で、次の2つのやり方があります。
- 自社のスタッフがおこなう
- ポスティング専門業者に依頼する
自社スタッフでおこなう場合、目に見える費用はチラシの作成費だけですが、ポスティング作業に費やす人件費を考慮すると費用対効果に疑問があります。
新人研修などのメニューとしておこなうケースはありますが、一般的に不動産会社は専門業者に依頼することが多いでしょう。
ポスティングのメリット・デメリット
メリット
- 戸建とマンションを区分しターゲットをしぼれる
- 投函する住宅を選別できる
- 新聞購読してない世帯にも届く
- たくさんのチラシに紛れ込むことがない
デメリット
- 内容を見ないで捨てられることが多い
- 新聞折込より単価が高い
- マンションからクレームが来ることもある
2.折り込みチラシ
新聞に折り込んでチラシを配布するので「折り込みチラシ」と言います。
メリット
- 関心の高いチラシといっしょに配布されると見てもらえる確率が高い
ポスティングより単価が安い
デメリット
- 若い世代の新聞購読率が低い
新聞購読率が下がっており全世帯を網羅することがむずかしいことが問題点です。
最近は人口10万人程度の地方都市でも “フリーペーパー” が浸透しており、新聞折り込みよりもフリーペーパーの広告や折り込みのほうが、反応率がよいと答える不動産業者が多くなっています。
新聞は毎日刊行されますがフリーペーパーは週刊や隔週が多く、情報内容は地域に密着したものなので熱心な読者もおり、積極的に活用したい広告媒体です。
3.一括査定
一括査定サイトの利用は売却希望のお客様情報を集める有力な方法です。
【一括査定サイトの利用フロー】
売却したい不動産の情報を入力する
⇓
所在地を営業エリアとする不動産会社がリストアップ
⇓
査定を依頼したい不動産会社を選択
⇓
一括査定の申込(利用者は無料)
⇓
一括査定サイトからメールでお客様情報が送付される
(この時点で登録された不動産会社にシステム使用料金が課金)
⇓
査定業務開始
⇓
査定結果をお客様に報告
このような流れで不動産所有者が、複数の不動産会社から査定金額を提出してもらえるWebサービスが「一括査定サイト」です。
依頼するユーザーにとって非常に手軽に査定依頼できるので、利用者が多くなっています。
不動産会社が支払う利用料金は1件の査定依頼につき1万円が目安です。数社このようなサービスをやっており料金に若干の違いはあるかもしれません。
便利なサービスですが不動産会社として注意したい点があります。
- 査定をおこなっても媒介契約に至らないケースが多い
- 市街化調整区域や山林の査定依頼もくる
- 離婚協議中の財産分与計算を目的とした査定依頼がくる
- 媒介契約締結優先の競合社が不当に高い査定額を提示する傾向がある
仮に月間10件の査定依頼が来ると約10万円の費用になり、ポスティング費用に換算すると25,000部~12,000部です。ポスティング反応率との比較検討が必要でしょう。
4.WEB広告
WEB広告は「Google広告」や「Yahoo!プロモーション広告」を利用して自社サイトにアクセスを集める方法です。
調べたいことがありキーワード検索をすると、一般的には10個のページが検索結果に表示されます。
下図はグーグル検索で「不動産売却」と検索したページのキャプチャーですが、10個の検索結果の上下には「広告」と表示されているウェブページが掲載され、これがWEB広告です。見たことがあるのではないでしょうか。
WEB広告は検索ページばかりでなく、ニュースサイトや個人ブログなどさまざまなサイトに表示することも可能で、閲覧しているページの記事内容に関係のある商品やサービスの広告が掲載されるのです。
- 不動産に関して調べているユーザーのブラウザには不動産に関する広告が表示
- 化粧品についてのページを閲覧している場合は化粧品に関する広告が表示
広告料金は表示された広告をインターネットユーザーがクリックすると課金されるシステムです。一般的に1クリック数十円~数千円の範囲で単価設定がおこなわれます。
単価設定は広告主=スポンサーが自由に設定できるようになっており、単価が高ければ検索結果の上位ページ(1ページ目や2ページ目)に掲載できますが、単価が低いと下位ページ(4ページ目以降など)にしか掲載されません。
広告がクリックされないと自社サイトへのアクセスはありませんので、費用はかかりませんがアクセスもない! こんな結果になってしまいます。
広告費用とアクセス数とのコストパフォーマンスや、ウェブサイト経由の査定依頼や問い合わせ数(コンバージョン)などの分析をしっかりやらないと、無駄な広告費を支出することにもなりかねません。
5.紹介
売れる営業マンは紹介が多いものです。
以前ご縁のあったお客様からの紹介は、媒介契約につながりやすい “固いお客様” 。個人のかたが “不動産売買” をおこなうことは、人生のなかで多いものではありません。そのうえ大きな金額の取り引きです。
売主さんにしても買主さんにしても、担当したスタッフを頼りにして媒介を依頼します。無事取引が終わるとホッとするとともに、トラブルもなく順調に進めてくれたことに感謝してくれます。
引渡しから1年目など節目のときに「その後不具合などありませんか? 」と買主さんを訪ねるのも、紹介をいただけるいいタイミングです。
ハウスメーカーなどは顧客サービスに力を入れ、紹介受注率を全社的にアップさせる社内キャンペーンをおこなったり、お客様感謝イベントを毎年おこなうなど参考にしたい例も見うけます。
ぜひ紹介をもらえる営業マンを目差してください。
まとめ
売主さんの情報を集める5つの方法について説明しました。
費用がかかる方法やかからない方法があります。費用をかければかけるほど効果は出ますが、収益とのバランスも考えなければなりません。
広告はその成果を検証し改善点をみつけ、次の広告に反映させる「PDCA」の繰り返しが必要です。試行錯誤の積み重ねにより、やがて効果の高い広告戦略を編みだせるようになるでしょう。