住宅を購入するほとんどのお客様が住宅ローンを利用します。住宅ローンが利用できない場合は、購入をあきらめなければならないこともあり、住宅ローン申し込みは不動産売買仲介業務できわめて重要なステップ。
提携ローンの場合もあれば、お客様が申込される場合に相談を受けることもあります。住宅ローンに関する知識は営業マンにとって必須、ここでは住宅ローンに関する基本的なことを解説します。
住宅ローンの種類
住宅ローンは大きく分類すると以下のような3種類になります。
(リフォーム工事を対象とした広い意味の住宅融資を含みます。)
公的融資 | 財形住宅融資 |
地方自治体の住宅融資 | |
フラット35 | |
民間融資 | フラット35(保証型) |
銀行の住宅ローン | |
信用金庫・信用組合の住宅ローン | |
JA・労働金庫の住宅ローン | |
保険会社の住宅ローン | |
ネットバンクの住宅ローン | |
ノンバンク系の住宅ローン | |
その他の融資 | 社内住宅融資 |
共済組合住宅融資 |
公的融資
公的融資として分類されるのが3種類の住宅ローン。
- 財形住宅融資
- 地方自治体の住宅融資
- フラット35
3種類とも「独立行政法人住宅金融支援機構」が大きく関係する融資制度。
ただし「財形住宅融資」には「財形住宅金融株式会社」が融資をおこなうものや、地方自治体独自の財政によりおこなわれる住宅融資もあります。
「財形住宅融資」は勤務先が財形貯蓄制度に加入していることが必要なので、個人事業や勤務先が制度に加入していない場合は利用できません。
「フラット35」は審査が民間より緩い傾向があり、金利などの条件がよい民間融資がむずかしい自営業者・企業経営者など幅広いかたが利用者する特徴があります。
民間融資
住宅ローンに占める「民間融資」のシェアは非常に高くなっています。
下表が2018年4月~9月の期間で、住宅金融支援機構が調査した結果から、フラット35の利用割合を算出したものです。
変動型 | 57.0% |
固定期間選択型 | 25.3% |
固定型 | 17.7% |
出典:『住宅金融支援機構』2018年度 民間住宅ローン利用者の実態調査【民間住宅ローン利用者編】(第1回)
公的融資に比べると次の特徴があります。
- 金利が公的融資より安い
- 金利タイプのバリエーションが多い
- 審査が早い
住宅メーカーや不動産会社は、融資手続きの簡便さからお客様に民間融資をすすめることが多く、これが利用率を高めている理由のひとつです。
その他の融資
代表的なものが “公務員” のかたが借入できる「共済組合住宅融資」です。
金利は民間融資より若干高い傾向がありますが、無担保による貸付なので「保証料」がかからず諸経費を安くすることができます。
民間融資の借入を希望しているかたが「返済比率」により、融資額が少なくなった場合の補填資金として利用するケースもあるようです。
元利均等返済と元金均等返済
住宅ローンの返済方法に2種類あります。
- 元利均等返済
- 元金均等返済
返済額を次の条件で比較した結果が下表です。
- 借入額:1,000万円
- 金利:1%
- 返済年数:35年
元利均等返済 | 元金均等返済 | |
年間返済額 | 34万円(35年間均等) | 38.6万円(初期)(35年目28.9万円) |
総返済額 | 1,190万円 | 1,180万円 |
住宅ローンは 負担感が少ない“元利均等返済” にするのが一般的です。
金利タイプ毎の特徴
住宅ローン商品は金利タイプによって区分します。
- 固定金利型
- 変動金利型
- 固定金利選択型
ポイント固定期間は、「3年、5年、7年、10年」あるいは「3年、5年、10年」から選択します。
年収から借入可能額を計算
金融機関が住宅ローン融資の審査をおこなう場合に、重要な審査基準としているのが「返済比率」です。
返済比率は次の式により計算します。
(*パーセントで表示します)
金融機関は年収に応じて返済比率の上限を決めており、上限を超えた融資額になることはありません。返済比率を例示すると以下の表です。(金融機関により異なるのであくまでも参考です)
年収 | 返済比率 |
300万円未満 | 25%以内 |
400万円未満 | 30%以内 |
600万円未満 | 35%以内 |
600万円以上 | 40%以内 |
注意しなければならないのが、年間返済額は住宅ローンの返済額だけではないことです。返済比率を計算するときは返済額に次のような金額を含みます。
- 住宅ローンの返済額
- 既存借入の返済額(車のローンなど)
- 借入可能なクレジットカードのキャッシング枠に見合う返済額(実際にキャッシング利用していなくても計算されます)
さらに注意したいのが返済額を計算するときの住宅ローン金利は、実際に借入する金利タイプの返済額ではありません。
固定金利の基準金利により計算しますので、実際に返済する金額よりも高い返済額になります。
まとめ
住宅ローンの基本的なことについて解説しましたが、住宅ローンは時代とともに変化しています。住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)全盛時代、民間金融機関が台頭しフラット35が登場、大きくみるとこのような変化がありました。
商品内容では “収入合算や連帯債務型” に加え “ペアローン” が生まれ、ライフスタイルに合わせた「借り方」を選べるようになりました。
また金利情勢は、大きな変化がないか注意が必要な重要ポイント。
お客様にとっても住宅ローンは最大関心事。つねに最新の情報をキャッチして、アドバイスできるようにしておくことが大切です。