物件調査では売主からの聞き取りが非常に大切。聞き取り項目をご紹介

物件調査には現地での調査、役所関係での調査などがありますが、はじめに売主からある程度情報を得ておくとその後の調査がスムーズに進むことがあります。

そこで今回は、物件調査にあたり売主に聞き取りをしておくとよい項目についてご紹介します。後々買主とトラブルにならないよう、聞き取りを疎かにしないようにしましょう。

売主に聞き取りする項目

ここでは、売主に聞き取りする項目についてご紹介します。

※ここに記載した項目以外にも気になる点があれば、物件や売主の事情に応じて確認しましょう。

売主の本人確認

売主が真の所有者であることと売主本人であることの確認を行いましょう。

登記識別情報や登記済権利証を保有しているか、運転免許証などの本人確認書類を確認するなどを行います。

登記名義人と所有者が異なる場合は、事情を確認しましょう。

相続の場合、何代も遡って相続登記が行われていない可能性があります。

この場合、相続登記にあたり相続人全員の協力が必要となりますので、売却までに時間がかかることが予想されます。

また、所有者が複数人いる場合は売却にあたり所有者全員の同意が必要です。所有者全員の売却意思を確認しましょう。

物件の現状を確認する

売主自身が居住している、空き家状態である、貸家として貸し出している、土地を畑として貸しているなど、物件の現在の状況を確認しましょう。

居住している場合は売却後の住まいをどのように考えているのか、空き家の場合はいつから空き家であるのかなどを確認します。

そのほか、ペットを飼育しているかどうかなど、買主が気にする項目も聞いておくとよいでしょう。

物件を賃貸している場合は、家賃・共益費・借地料・敷金など、引き渡し時に精算しなければならない項目も確認します。

借り入れについて

住宅ローンやアパートローン、その他の借り入れがあるか確認しておきましょう。

ローンの種類によっては抵当権の設定がない場合がありますが、売却資金をローンの返済に充てる可能性があります。売却の目的を確認しておきましょう。

金融機関などからの借り入れをしている場合、借入残高を必ず確認しましょう。

買主への引き渡しにあたり、抵当権抹消の手続きを行う必要があるからです。

抵当権が設定されたままでも売却はできますが、売主の返済が滞れば競売となる可能性のある物件を購入しようという人は通常では考えられません。抵当権の抹消を行うには、ローンの完済が必須です。

売却するにあたり、抵当権を設定している金融機関などの許可が必要ですので、まずは売主に状況を確認することをおすすめします。

多くの場合は不動産の売却代金から返済に充てますので、売主の預貯金の状況なども考慮して売却金額を設定する必要があるでしょう。

未払金について

分譲マンションでは特に、管理費・修繕積立金の支払い状況を確認しておきましょう。

管理費や修繕積立金を滞納している状態でマンションを相続したり、売買で取得したりした場合には、滞納分が新しい所有者にも請求されることになります。

そのため、買主が滞納の事実を知らずに購入した場合はトラブルとなってしまう可能性があるのです。

滞納が1か月~2か月程度であれば少額で済みますが、何年も長期に渡っている場合は滞納金額が高額になっているケースがあります。

このようなケースでは、売主・管理組合(管理会社)・買主と相談が必要になるでしょう。

そのほか、税金の滞納がないかも確認しておきましょう。

税金を滞納したまま放置していると、不動産を差し押さえされてしまう恐れがあります。売却にあたり、清算しなければならない未払金の有無を売主に聞き取りしましょう。

物件状況確認書・付帯設備表の内容を確認する

不動産売買契約の際に付属する書類である「物件状況確認書(告知書)」と「付帯設備表」。

物件状況確認書は、土地・建物の現在の状況や過去の情報、周辺情報などを売主が記入する書類。

付帯設備表は、建物に付帯する設備・故障の有無を確認する書類です。書類の作成自体は売買契約時で問題ありませんが、内容は事前に確認しておくとよいでしょう。

気になることがあれば追加で調査をする

上記で解説したような項目以外でも、気になる点があれば追加で聞き取りを行いましょう。

また、売主が正しく事実を認識していない場合、売主自身は嘘をついているつもりはないけれど、結果的に真実と異なる供述をしていることがあります

。売主へ聞き取りを行った情報をすべて鵜呑みにするのではなく、気になること・不審に感じる点があれば追加で調査を行うことが大切です。

周辺環境や告知事項については、近隣住民に話を聞くのも1つの手でしょう。

相続で取得した場合など、売主自身が物件や周囲の情報を知らないことがあるからです。

売主自身は知らなくても、近隣住民への聞き込みで重大な事故・事件があったことが発覚する可能性があります。

買主との後々のトラブルを防ぐためにも、売主への聞き込みだけでは足りないと思われる情報については追加で調査を行いましょう。

買主の意思決定に影響を及ぼす項目を確認する

購入を検討する人が現れたときには、買主の意思決定に影響を及ぼす可能性のある項目を確認するとよいでしょう。

私がこれまで見聞きした事例に、「ペットの飼育」が問題になったことがありました。

売買契約の締結が終わったあとに、対象物件の室内でペットを飼育されていた事実を知った買主が「ペットを飼育していた事実を知っていたら、購入しなかった」と不動産会社の担当者に伝えてトラブルに発展。

売主は、不動産会社の担当者から質問されなかったので特別告げなかったということです。

今回のような「ペット飼育の有無」は、すべての購入検討者に影響を与える項目ではないかもしれません。

しかし、買主とのトラブルを防ぐためには、買主へのヒアリングをきちんと行い、必要に応じて売主へ確認することが大切でしょう。

物件調査では売主への聞き取りが大切

物件調査では、物件を知るための現地調査・役所調査などが欠かせません。

しかし、売主に直接確認した方がよい項目や、売主しか知り得ない情報も多く存在しています。物件調査にあたり、現地調査・役所調査だけでなく売主への聞き取りも大切だといえるでしょう。後々のトラブルを防ぐためにも、売主への聞き取りをきちんと行いましょう。

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