家賃滞納は、不動産賃貸の経営をする上で、大きな問題となります。
滞納することで、大家は毎月のキャッシュフローとなる家賃収入が入ってこなくなりますし、管理会社は通常の業務に加えて催促業務という負担が加わってくるからです。
また、滞納が続き債務不履行となった場合、最悪のケースになると裁判を行わなければなりませんし、貸主側に良い事がありません。
そこで考えたいのが滞納予防策です。
今回は滞納予防に着目した入居審査の改善方法について解説します。
家賃滞納を事前に防ぐ方法は?【結論:入居審査の質を高める】
入居審査では書類上の基本的な調査から、申込者と接した際に持つ印象で、誠実性などの人間性を把握できることもあります。
申込者が無意識に発する情報を敏感にキャッチできると、申込者の全体像が浮かびあがり、より適切な判断が可能になるのです。
入居審査はルーティンワークになりがちですが、すこし意識するだけで大きく変わるので、ぜひ実践してみてください。
基本的な属性調査が一番重要
家賃滞納トラブルを防ぐ方法として、まず「基本的な属性調査」を丁寧に行うことが挙げられます。
具体的には、入居希望者の年収、勤続年数、勤め先や雇用形態を中心に「継続的な家賃の支払いができるか」を見ていきましょう。下記でそれぞれの要素を見ていきます。
年収
年収に関しては、家賃が継続的に支払えるかを判断する際の最重要となる指標です。
手取り月収の30%を上限額の目安として、それ以上の割合になる場合は、支出の多い月に家賃支払いに手が回らなくなるケースが想定されます。
もちろん、住む家にお金をかけたい人もいるので、他の項目を厳しく精査し、怪しい部分がある場合は慎重に検討しましょう。
勤続年数
業界や年齢にもよりますが、勤続年数が1年未満だと、短期離職のリスクも高く、入居者が職を失った際や就職活動時は、家賃が支払えなくなる場合があります。入居審査は慎重に行いましょう。
反対に、1つの会社に長く務めているような場合は、入居後も安定した収入が見込めるため、家賃の滞納リスクは低いと想定出来ます。
勤め先や雇用形態
申込者が大手企業や有名企業勤務などの場合、一定の倍率を潜り抜けて入社した経歴が評価できます。社会的な信用度も高く、万が一お金で困っても融資が容易にできるので、それを家賃滞納の判断にも活用することが可能です。
一方、無名企業や零細企業でも、勤続年数が長く一定水準の年収があるなど、他の指標で問題がない場合は家賃滞納のリスクも低いと評価出来ます。
雇用形態に関しては、会社勤めの正社員は雇用が安定しているため、滞納リスクは低いです。
反対に、派遣社員やアルバイト等であると、雇用契約が切れた時に即収入がゼロになるリスクも高く、それが家賃滞納に直結します。
自営業者の場合は、経営がうまくいっているかにより大きく分かれるので、審査時に提出される収入証明書を確認して、安定した家賃支払いが可能そうかを判断していきましょう。
身なりや受け答えも重要な判断基準
以上では、申込者の客観的なデータを元に滞納しやすいかを判断する方法を検討しました。
一方で、人が第一印象で相手の人物像を直観的に理解できるように、見た目や印象から判断可能な場合も多くあります。
身なりが適当で信用出来なかったり、受け答えがしっかりしていない場合、その後家賃滞納を含めたトラブルに発展する可能性もあります。
審査時に何か引っかかる場合、対面でやり取りをした仲介業者も含めて申込者の人物像を探り、懸念点がある場合は慎重に判断されることをおすすめします。
学生は意外に安心だが、新社会人は要注意
最後に、職業・身分に関してですが、学生は一般的に滞納リスクが少なく、安定して家賃を払ってくれる事が多いです。
その理由として、基本的には親からの仕送りが見込める場合が多いからです。
親の連帯保証が必須なので、滞納があっても親御さんに支払ってもらうことが出来ます。家賃滞納で貸主に迷惑をかけたくないと考える人が多数です。
また、仕送りが少ない場合でも、低金利の奨学金を借りられる立場なので、ある意味安定した定期収入を持っている人が多く、家賃滞納までには至らないケースが多いです。4年間は引っ越しをしない大学生も多く、長期間の入居が期待できるのもプラスです。
一方、新社会人の場合は、会社員として身分は安定していますが、初めての一人暮らしという人も多く、家計のやりくりがうまくいかずに滞納するケースも多く存在します。人によりますが、その点を踏まえて慎重に検討していきましょう。
最後は入居審査の経験値が物を言う
最終的に重要になってくるのが、現場での経験です。
入退去のやり取りを繰り返すうちに、実際に滞納する人も出てきますが、そうしたやり取りを通じて「こういうタイプは危ない」などの経験値が貯まってきます。
滞納者が発生した段階で、審査時の情報・やり取りをした際の印象などをデータで取っておくことで「こういう懸念点がある人は実際に滞納する」というオリジナルデータを集めることが出来ます。日々経験値を積み上げて、審査時の人を見る目を養いましょう。
まとめ
以上では、入居審査方法を改善し家賃滞納を防ぐ方法について解説してきました。
上記で解説した点に留意した上で入居審査の経験を積み、滞納者を防ぎつつも物件の高稼働率を維持していけるようにしていきましょう。