アパートやマンションを選ぶポイントは、家賃や間取り・駅からの距離などさまざまですが、大事なのは安心・安全に住めること。
特に女性や子育て中のファミリーは、セキュリティがしっかりしていないと、本来ゆったり安らげるはずの居室が、心配で不安な空間に変質してしまうでしょう!
この記事では、空き巣に狙われやすい物件の原因とその対策を考えてみましょう。
まずは空き巣の侵入方法と侵入口を知る
侵入窃盗には、空き巣・忍び込み・居空きの3つがあります。
空き巣は不在の住宅を狙って侵入するもの、忍び込みは夜間就寝時に忍び込むもの、居空きは昼寝や食事中に侵入し金品を盗む手口を言います。
空き巣の侵入方法
警視庁によると、平成30年に起きた侵入窃盗発生件数は4,575件で、そのうち空き巣が1,784件で39.0%を占めています。
また全体の侵入窃盗のうち4階以上の共同住宅が4.1%なのに比べ3階建て以下の共同住宅は11.9%となっており、アパートの被害が多いことが分かります。
それでは空き巣はどんなところから、どんな方法で侵入するのでしょうか?
空き巣の侵入口
侵入口については、縁側やベランダなどの窓からが56.8%を占め、玄関などの出入り口が43.2%となっています。
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出典:警視庁
空き巣の侵入手段
空き巣の侵入手段としては、中高層住宅では鍵のかけ忘れた玄関や窓から侵入する手口が45.4%と半分近く、次いでドア錠を工具で開けて侵入する手口が31.6%、次いでガラス破りの順となっています。
(単位:%)
出典:警視庁
それでは具体的な侵入方法について説明しましょう。
ガラス破り
1階の居室は強化ガラスを付けて対策を行っている物件がありますが、2階以上は無防備な場合が多いです。2階のベランダは足場があれば侵入しやすく、窓を割り簡単に侵入されてしまいます。また浴室や洗面所などの面格子を外し、窓ガラスを破って侵入する例も。
無戸締り
「ちょっとそこまで」とわずかな時間を理由に、戸締りをせずに外出することはよくあることです。たとえ近所への用足しでも、きちんと戸締りをしないと、短時間でも空き巣に侵入されてしまいます。特に奥まったところに入口があったり、ブラインドとなるものがあると空き巣に狙われやすいことに…。
施錠開け・ドア錠破り
最近の賃貸住宅のカギは頑丈なものが多くなってきましたが、築年数の経つアパートのカギは簡単なシリンダー錠である場合が多いです。シリンダー錠は、特殊な工具で簡単に開錠されてしまいます。またドアの隙間を工具で壊し、侵入されるケースも…。
空き巣に狙われやすい物件とは?
それでは空き巣はいつどんな部屋を狙って侵入するのでしょうか。
マンションよりアパートの方が狙いやすい
一般的にマンションよりアパートの方が、セキュリティが甘く狙われやすいとされています。
それは下記に挙げる理由によります。
- 常駐の管理人がいないので、侵入しやすいこと
- オートロックや防犯カメラなどのセキュリティ設備が整備されていないこと
- 窓やドアが頑丈でない場合が多く、簡単に開けられてしまうこと
- 外階段を利用するため、各部屋に行きやすい作りであること
- 単身者の入居者が多いので、昼間は留守がちなこと
侵入されやすい時間帯
空き巣が狙う時間帯は、仕事などで部屋を空ける平日の午前10時頃~午後の4時頃。
昼間は騒音が侵入する際の音をかき消し、人がいてもあまり気にならないのも空き巣にとっては好都合です。
また夜間は灯りが付かない部屋は不在と分かり、人目につかない場所にあれば侵入しやすいことに。
どんな環境が狙われやすいのか
それでは、どんな環境の賃貸物件が狙われやすいのでしょうか。
- 賃貸物件の周辺に木や物が置いてありが多く、ブラインドになっている
- 道路から奥まった位置にあり、人の目につき難い
- 駅への距離が近く、人通りがあり逃げやすい
- 郵便受けに新聞やチラシ・手紙などが溜まっていて留守がわかる
- 配管やごみ箱などの足場があり、会場に上りやすい
- 周りに防犯カメラがない
- 単身女性が住んでいることが推測されるカーテンや・洗濯物・表札
空き巣対策
空き巣は侵入に時間がかかる場合には敬遠し、5分で侵入できなければ空き巣の7割があきらめるといわれています。
空き巣に対する対策は、入居者とオーナー・管理会社が連携を取って行わなければなりません。次にその対策について説明しましょう。
入居者ができる対策
空き巣は、鍵のかけ忘れた入り口や窓から侵入し、短い時間でも金品を盗み出します。入居者は、部屋を空けるときにはわずかな時間でも必ず鍵をかけるよう習慣づけましょう。
また居住者同士では、近隣の人と良いコミュニケーションを作り、連帯意識を強くすることも空き巣対策に繋がります。怪しげな人が部屋をうかがっていれば、声をかけるなどの方法で空き巣を追い払うことが可能です。
また郵便受けに手紙や新聞がたまっていると、留守であることが分かってしまいます。旅行などで留守にする際には、新聞の購読を一時ストップしましょう。
オーナー・管理会社が行う対策
居住者だけで、空き巣対策をしても十分な効果を得られないでしょう。オーナーと管理会社は侵入の対象となる設備を強化したり、賃貸物件に近づきにくくしたり、人の目が行き届く建物にすることも大事です。
侵入の対象となる設備の強化
オーナー・管理会社としてはできるだけ設備を強化し、空き巣の侵入を防がなければなりません。
下記に記載したものは、それほど費用も掛からないので是非設置するようにしましょう。
・補助錠の設置
玄関ドアや窓のサッシに、補助錠やロック付きクレセント錠などを付ければ簡単に侵入できません。また補助錠が付いているだけで、犯行をあきらめるでしょう。
・ドアに防犯対策を施す
オートロックは、ドアを閉めたらロックがかかり鍵の閉め忘れを防ぐことができます。またカメラ付ドアフォンを設置すれば、知らない人を締め出し防犯効果を高められます。
・ウィンドウフィルムの貼付
窓ガラスに防犯性の高いウィンドウフィルムをはれば、強度が増し叩き割ろうとすれば大きな音がするので空き巣は敬遠します。CPマーク認定の防犯フィルムを専門業者に依頼すれば、きれいに仕上げてくれます。
・CPマークのついた部品に交換する
CP部品とは警視庁および民間団体で結成する会議において防犯性があると認められた建物部品。ドアやガラス・サッシ面格子・錠・シャッター・ウィンドウフィルムなどにマークが付けられています。
賃貸物件に近づきにくくする方法
空き巣が物件に近寄れなければ、侵入はできません。物件に近づく方法を封じることで、空き巣被害を抑えられます。
賃貸物件と道路の境が明確でないと、空き巣は部屋に近づきやすくなります。境を塀やフェンスではっきり分け、侵入者が入り難くすることが大事です。
・物件周辺の環境を整備する
2階、3階だからといって安心し、窓のカギを締めない人もいます。足場があれば簡単に階上に登れるので、足場になりやすい脚立やごみ箱などは設置しないようにしましょう。
人の目が行き届く環境つくり
外から物件の様子が分からなければ、空き巣は簡単に侵入できます。外部の人が物件内を手に取るように分かれば空き巣は侵入をあきらめることでしょう。
物件の周りが暗いと不審者も目立ちません。防犯灯などを設置し、敷地の隅々まで良く見えるようにしましょう。
・敷地内の見通しをよくする
高い塀があると、外からは空き巣がいてもわかりません。透視性の高いフェンスに変えたり、植栽などは剪定し見通しをよくしましょう。
・防犯カメラの設置
防犯カメラがあるだけで、空き巣は敬遠し侵入の意欲をそぐ効果もあります。
まとめ
空き巣は、入居者の油断と賃貸物件の防犯対策の甘さから起こると言っても過言ではありません。入居者ができる対策もありますが、ハードの部分についてはオーナーと管理会社が責任をもって対策を打つ必要があります。
空き巣被害は、後で悔やんでも元には戻りません。入居者とオーナー・管理会社ががっちりスクラムを組んで対策を行うようにしましょう。