賃貸保証会社・家賃債務保証業者登録制度について徹底解説

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賃貸借契約において保証人の代わりをする賃貸保証会社、すでに25年の歴史がありますが、国がすすめる住宅政策で重要な役割の一端を担うようになりました。

そのため、賃貸保証会社には一定の水準が求められるようになり、「家賃債務保証業者登録制度」が設けられています。

管理会社にとり賃貸保証会社の選択は、安定した賃貸経営を目差すうえで重要なものとなっています。

ここでは「家賃債務保証業者登録制度」と、国の施策である「住宅セーフティネット制度」を紹介し、賃貸保証会社に期待する役割について解説します。

家賃債務保証業者登録制度とは

家賃債務保証業者登録制度は、2017年(平成29年)10月に登録規定ができスタートした制度です。

賃借人の家賃滞納のさいに、保証人の立場で賃貸人に家賃の立て替え払いをおこなう、賃貸保証会社を対象とした登録制度であり、登録事業者数は71社(令和2年5月22日時点)あります。

参照:国土交通省「登録家賃債務保証業者一覧」

登録するには次のような基準があり、一定レベル以上の適正な業務をおこなうことの可能な企業に限られています。

・暴力団員等の関与がない
・安定的に業務を運営するための財産的基礎(純資産額1,000万円以上)
・法令等遵守のための研修の実施
・業務に関する基準を規定した内部規則・組織体制の整備
・求償権の行使方法が適切である
・相談又は苦情に応ずるための体制整備
・法人の場合、家賃債務保証業を5年以上継続していること又は常務に従事する役員のうちに、家賃債務保証業務に3年以上従事した経験がある
・使用人(事務所の代表者)について家賃債務保証業の経験が1年以上

出典:国土交通省「家賃債務保証業者の登録制度の概要」

以上の基準に加え、業務においては遵守すべきルールが決められています。

登録制度を導入したのには理由があり、次のような賃貸保証会社に対する苦情が増えたのです。

・滞納賃料の厳しい取立て
・不明な請求行為
・手数料の過大請求

国土交通省が賃貸保証会社の健全な育成を目差す背景には、このような苦情の解消に加え「住宅セーフティネット制度」の確立がありました。

住宅セーフティネット制度は低額所得者や高齢者など、住宅を確保することのむずかしい人たちの支援を目的としていますが、施策のなかには「保証人の確保」という課題があり、賃貸保証会社の育成は喫緊のテーマなのです。

家賃債務保証業者登録のメリット

登録制度は任意であり、登録しなくとも保証業をおこなうことに問題はありません。

しかしなんらかのインセンティブがなければ、業者にとって登録する意味はありません。

そこで登録保証会社の保証を受ける賃貸借契約について、自治体が保証料を補助するなどの施策がおこなわれています。

保証会社は登録することにより委託を受ける機会が増え、入居者にとっては費用負担の軽減になります。

そして管理会社にとっては、登録会社と非登録会社の選択において迷うことはなく、登録制度による賃貸保証スキームの信頼性が高まるといえるのです。

登録の有効期限は5年間であり、5年ごとに「安定的に業務を運営するための財産的基礎」に関する基準がチェックされると、賃貸保証制度の大きなリスクである「保証会社の倒産」防止に期待が持てるといえるでしょう。

住宅セーフティネットと賃貸保証

賃貸保証を利用する賃貸物件は、平成28年のデータで6割にのぼります。

一方、住宅セーフティネットが対象とする「住宅確保要配慮者」が、賃貸保証の審査落ちとなるケースは、以下のような割合で存在しています。

1. 代理納付のない生活保護受給者 24.5%
2. 外国人労働者 17.0%
3. 70代の高齢者 9.4%

出典:国土交通省住宅局「新たな住宅セーフティネット制度」

住宅セーフティネットとは、平成29年4月26日に公布された「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律」にもとづき制度化されたもので、平成19年に制定された「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」による “住宅セーフティネット” と区別するため、 “新たな住宅セーフティネット制度” と呼ばれています。

住宅確保要配慮者とは

  • 低額所得者(「公営住宅法に定める算定方法による月収が8万円(収入分位25%)以下の者」とする予定)
  • 被災者(発災後3年以内)
  • 高齢者
  • 障害者
  • 子ども(高校生相当の年齢以下)を養育している者
  • その他国土交通省令で定める者

以上のような、住宅を確保することが様々な理由でむずかしい人をいいます。

住宅セーフティネット制度の確立は、住宅確保要配慮者の入居に際し保証人要件をクリアしやすくなること、そして制度の登録住宅が増加することにかかっているといっても過言ではありません。

住宅セーフティネット登録住宅とは

住宅セーフティネットには、住宅確保要配慮者向けの賃貸住宅を登録することができます。

登録住宅には次の経済的支援を受けることができるようになっています。

・改修費の補助(国と地方公共団体から)
・住宅金融支援機構からの改修費融資
・家賃と家賃債務保証料の補助

登録できる住宅には基準があり以下のとおりです。

1. 耐震性能がある住宅
2. 床面積は25㎡以上
3. シェアハウスの場合は専用居室が9㎡以上あり、住宅全体面積が右の式以上あること(15㎡×居住人数+10㎡)
4. 台所、食事室、便所、浴室、洗面所等があること

登録した住宅は次のサイトで検索・閲覧ができるようになり、入居希望者からの問い合わせを直接受けることが可能になります。
セーフティネット住宅情報提供システム

物件登録や情報の変更は上記サイトの事業者管理サイトから、すべてオンラインでおこなうことが可能になっており、情報の新規登録や変更登録はすべて管理画面から可能です。

入力方法は一般的に普及しているCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)なので、むずかしくはありません。

パソコンが苦手な大家さんであっても、必要に応じフォローしてあげると出来るようになります。

場合によってはデータ入力の代行を管理会社でおこなうこともできるでしょう。

まとめ

賃貸管理会社と賃貸保証会社とは、良好な住環境の提供と円滑な事業運営を維持する役割を果たしています。

また、家賃債務保証業者登録制度と住宅セーフティネット制度にみるように、保証会社は住宅政策のなかで重要な役割を担うようになりました。

賃貸管理会社に対してはこのたび「賃貸住宅管理適正化法」が成立し、管理会社の登録義務化がスタートします。

賃貸管理業の適正化は “サブリース問題” が背景にありますが、これまで法規制のなかった賃貸管理業界にも、一定の社会的役割が求められるようになります。

賃貸管理と賃貸保証は、物件オーナーと入居者との間において、果たすべき役割がますます大きくなっていくといえるのでしょう。

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