入居審査は入居してもらうことを前提におこなう手続きです。
多少の問題があっても入居してもらおうとするのが自然ですが、ときには入居してもらうのはリスクが大きく、できれば断りたいというケースがあります。
入居を断られるのは申込者にとって、住まいを確保できないことを意味し切実な問題です。
簡単には納得を得られないかもしれません。
本記事では、トラブルとならないような断り方について考察していきます。
入居審査が通らない理由
入居審査において入居を断るケースには、次のようなものがあります。
・協調性がなく他の入居者との間でトラブルになる恐れがある
・転居理由が不自然
・保証人がいないか能力に疑問がある(遠方である・収入が低い)
・高齢者や外国人の単身者
・精神系の持病がある単身者
・保証会社の審査がとおらない
入居審査は申込みがあると管理会社で審査し、結果がでたら意見をつけてオーナーに報告、最終判断を仰いで認否の決定となるケースが多いでしょう。
保証会社を付ける場合は、まず保証会社の審査を通したうえで、管理会社で判断する流れになると思います。
あるいは管理会社での判断は「断る」方向ですが、参考までに保証会社の審査をしてみるケースもあります。
審査はさまざまなチェック項目を審査して判断します。
不安要素がひとつもないケースもあれば、複数の不安要素があるケースもあります。
不安要素がひとつだけの場合は、保証人の存在でカバーできるなど、できるだけ入居に結びつけるような判断になることが多いといえるでしょう。
入居を認めないと判断する場合は、不安要素が多くリスクを取れないときです。
管理会社がリスクを取れないとなれば、オーナーも同意することが多くなります。
入居申込を断る時の注意点
申込みを断るのは相手が申込み本人であっても、仲介会社であっても早くおこなうのが鉄則です。
申込みのあった翌日または翌々日には返事をしたいものです。
断り方は「申込みに感謝」することがまず大切で、そのうえで断る理由を簡潔に述べることが、相手にとっても受け入れやすくなるものです。
最近はSNSでいろいろなことが発信される時代です。
クレームに結びつくような断り方は禁物です。
お断りは断る方も心苦しいもので、あまりしたくはありません。
そこで年齢制限や保証人の条件などをあらかじめ明示しておき、入居希望者が申込の時点で申込みを控えるようにする工夫も大切です。
申込みする本人または仲介会社に対し、あらかじめ伝えておくと、条件を無視して申込みされても断りやすい流れにすることが可能です。
断ることにためらいがあり時間を延ばしてしまうと、断ったあとにクレームが発生することもあります。
直接ご本人に断る場合は自社だけの問題ですが、仲介会社をとおして断る場合は、申込者と仲介会社の関係が悪くなることもあります。
注意しなければなりません。
パターン別断り方
断る理由には大きく分けて次の2つがあります。
・管理会社あるいは大家の主観的な理由によるケース
客観的な理由には収入や保証人などのほか、健康状態や年齢といったことも該当し、断る理由を率直に伝えることが可能です。申込者も「もしかしたら断られるかもしれない」と、予想していることもあり、納得してもらえることも多いといえます。
納得してもらえないのが “主観的な理由” です。
断る相手には本人の場合と仲介会社の場合がありますが、主観的な理由による断りは、管理会社が直接申込みを受けた場合であり、仲介会社からの申込みの場合はほとんどが客観的に理由になります。
本人に断るケース
申込者本人に断る場合、断られる可能性をまったく感じていない申込者はむずかしいです。
・勤務先がよい
など属性のよい人は自身が断られるとはまったく予想していません。
このような方の例として、高飛車な態度で自我意識が強く、他の入居者とのトラブルが心配されるため断りたい・・・・・・こんなケースを考えてみます。
断りの文言としては次のようなものになります。
「このたびは申込みをいただき誠にありがとうございます。大家さんとも相談し検討いたしましたが、このたびは総合的判断により、入居をご遠慮いただきたくお願いいたします。」
ポイントは4つあります。
2. 大家とも相談済であることを強調する
3. 具体的な理由は述べず「総合的判断」とする
4. 入居拒否ではなく遠慮していただくことをお願いする
申込みに感謝するのは断り方の注意点でも述べたように当然のことです。
大家とも相談済を強調するのは、大家に直接交渉しても無駄であることを知らせる意味があります。
もっとも重要なポイントが、具体的な理由は述べず「総合的判断」とする部分です。
収入が低いなどの客観的な理由と違い、生活態度などを想像しての理由は差別と捉えられる可能性があるからです。
総合的判断とは、金融機関がローンの審査をした結果、お断りをするときのあの決め台詞です。
わかったようでわからない・・・断られた人はなんとなく納得してしまう不思議な言葉です。
この不思議な言葉は入居審査のお断りにも使えます。
最後の “遠慮をお願い” とするのは、あくまでもお願いとして、低姿勢さをアピールし相手の理解を期待する考え方です。
仲介会社に断るケース
仲介会社に断る場合は本人に断るよりプレッシャーはすくないです。
しかし仲介会社としては申込者への立場もあり、簡単に納得しない場合も考えられます。
客観的な理由を説明していきますが、仲介会社の担当者が共感できるかどうかがポイントになります。
仲介会社にも申込みを受けるにあたって内部基準があるはずですから、説明する内容によっては理解してもらえるでしょう。
ポイントは以下の4つです。
2. 大家とも相談済であることを強調する
3. 具体的な理由は簡潔に伝え共感を得るようにする
4. 断りに対する謝意を丁寧に伝える
仲介会社とは協力関係を継続させるのが当然なので、一方的な断りや上から目線での断りは禁物です。
まとめ
入居審査の結果、断ることになった場合は、まず相手の立場を考えて誠意をもって丁寧におこなうことが重要です。
そのうえで断り方のポイントは次の2つ。
2. 主観的な理由による場合は「総合的判断」と表現する
主観的な理由をくどくど述べても納得してもらえません。逆に「差別を受けた、偏見だ」などと反感を招くだけです。
「希望に添えず申し訳ありません」という気持ちを込めながら、「総合的判断」と表現する方が最善な場合が多いのです。