賃貸仲介における売上維持の秘訣は「キャンセル数」の抑止にアリ

紹介スタッフの賃貸仲介売上を上げる秘訣を聞かれることが多い。

勿論、この方法論は、時代によって変わってきている。

たとえば、接客の方法は、このコロナ禍においては、日々進化しているし、売上向上のための反響数増加の施策も時代によって大きく変化している。

売上の原則は、「売上単価」×「数量」

しかしながら、結局のところ、売上の原則は、「売上単価」×「数量」でしかない。

いかに、「売上単価」を上げ、どのように「数量」を増やしていくか、という基本原則はいつの時代でも共通である。

つまりどのように「単価」を上げるのか、どのように「数量」を増やすのか、という本質からは逃れられないのである。

ちなみにこの売上というものを「年間」で見るのか、「四半期」で見るのか、それとも「月」で見るのか、で少し売上向上の方法が異なる。

たとえば月単位で売上を上げようとすると、かなり接客数を増やさなければいけないのと、即入居の物件を優先的に紹介しなければいけない。

しかし、これを毎月続けることは、かなり至難の技である。

単月トップよりも安定的な達成力

実際のところ、華やかに月の売上トップ賞を獲得する紹介スタッフの年間数字を紐解いて見ると、意外と数字が「並よりも少し上」のスタッフであるケースが多い。

管理職からすると、こういったスタッフというのは、マネジメントが非常に難しい。

まるでホームランを量産する時期と不振に喘ぐ時期が交互に襲ってくる野球選手のようだ。

現実的にこうしたスタッフは、数値の見込みがなかなか立てにくいのが現状である。

また逆に、短期的な月売上では、大きく目立った売上を上げられなくても、年間で見るとトップランクに食い込んでくるスタッフもいる。

これは、平均的に売上を高く維持し、そして大きな売上未達の月がないスタッフがそうであろう。

本来ならば、このようなスタッフこそが称賛されるべきだが、どうしても月毎にスポットを当ててしまうと目立たなくなってしまう。

しかしながら、事業として賃貸仲介売上をいかに伸ばすかは、前者のような月毎で売上が上下するスタッフを育成するよりも、後者のような高い水準で安定的な売上を維持するスタッフのほうが重要だ。

経営的にも、このような安定的な売上を獲得するスタッフを抱えるほうが、予算を組みやすい。

売上維持の秘訣はキャンセルの少なさ

では、このようなスタッフになるため、安定的に高い売上を維持する秘訣は、何であろうか?

そこには「キャンセル率」が非常に大きく関係していると個人的には感じる。

私の経験上、安定的に売上を獲得する紹介スタッフは、キャンセルが驚くほど少ない。

きちんとユーザーのやり取りを日々細かく行い、契約までしっかり繋げる。

当たり前の話かもしれないが、これがなかなかできないスタッフが意外と多いのも現実だ。

また、逆に売上が上下するスタッフは、とにかくキャンセルが多い。

申込はかなりの高確率で獲得するものの、その後のユーザーへのフォローがなく、キャンセルになってしまい、売上がいっきに崩れるケースがそうである。

よくあるキャンセル事例

物件を申し込みした後に、契約まで締結する期間はおよそ2週間程度である。

この2週間のうちに審査を通し、必要書類を案内し、契約金を入金頂いて重要事項説明を行い、契約締結を完了させる。

不動産業界の常識で考えると、これは当たり前のスケジュール感だが、世の中の一般ユーザーからすれば、かなりタイトである。

なにせ仕事をしながら必要書類を集めたり、契約手続きをするのは、なかなかのストレスだ。

ましてや、このようなタイトなスケジュールにも関わらず、不動産会社の担当スタッフから連絡がない場合、次第にユーザーは不安になるだろう。

ユーザーが、スタッフに対して持っていた信頼感は、不信感に徐々に変わり、キャンセルになってしまう。

また確認ミスでのキャンセルも多い。

たとえば、駐輪場の空きの有無やネット環境などがそうである。

ここもすぐ管理会社に確認して、連絡すれば良いのだが、ズルズルと後回しにしてしまい、契約手続きだけが進んでしまう。

そうすると、契約直前になり、懸念点の払拭ができないまま、キャンセルになるケースが多い。

徹底すべき3つのキャンセル防止策

一般的にキャンセルを防止する方法は、3つしかない。

1つ目は、「こまめに連絡をする」ことだ。

たとえば審査が長引いた場合、管理会社からの連絡が来るまでユーザーへの連絡をしないのではなく、「まだ審査が通っておりません。引き継ぎ管理会社さんに確認します」というメッセージを入れる。

そうすることでユーザーの不信感は払拭される。

「進捗がなくても、一報する」ということが非常に重要である。

2つ目は、「申込時の確認をしっかり行い、懸念点や質問事項は最速で回答する」ことだ。

申込時に初期費用の概算を伝えているか、周辺環境は問題ないか、設備に問題はないかなどを確認する。

また、先に述べたような懸念点もすぐに確認する。

申込時に細かいチェック表などを作成し、抜け漏れがないかを確認するなどの対策などを立てることも、有効になるだろう。

最後のポイントは、「申込時にユーザーとスケジュールの認識合わせをする」ことだ。

申込の際にユーザーと契約予定日の認識を擦り合わることや、書類がいつまでに必要なのか、などを伝えておく。

これにより、ユーザーもある程度の契約の流れや、自分のスケジュールを調整することができる。

できれば、申込時に、ユーザーのカレンダーに契約予定等を入力してもらうぐらいまでアテンドしたほうが良いだろう。

これにより、ユーザー自身も契約までの意識がいっきに高まるので、キャンセル率はぐっと下がる。

往々にして、売上数値が安定しているスタッフは、この上記3点を徹底している。

申込時に、確認すべきところは確認し、懸念点をすぐ解決し、スケジュールを擦り合わせる。

また契約までこまめに連絡することで、ユーザーの信頼感をキープする。

まとめ

もし売上げ数値が上下することが課題であれば、まずはキャンセルを減らすことに重点を置いて欲しい。

このような取り組みは、1日のほんのわずかな時間でできることだ。

始業時にまずこれらを取り組むことで、生産性は大いに高まる。

また世の中には、「獲得する」というノウハウは世の中に多くあるが、それを「維持し、ゴールまで到達する」ノウハウは、驚く程少ない。

どうしても見落としてしまいがちだが、キャンセルを減らすということは、結果的に売上増加の手取り早い方法なのである。

ユーザーからキャンセルのご連絡があると、当然落ち込むが、逆にキャンセルを減らすことは、大きなスキル向上の第一歩になる。

高い売上維持を目指すために、ぜひ取り組んでみてほしい。

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