工務店がまず取り掛かるべき3つの具体的なマーケティング戦略

工務店集客の課題は、大きく分けて次の3つです。

・マーケティング機能を持たない
・資料請求は多いけど来場する顧客が少ない
・顧客のリードタイムが長い

それぞれの課題を突破するには、

が効果的だと、これまで3つの記事でお伝えしてきました。

ただ、「具体的に」なにから取り掛かればいいのかわからない……と悩んでしまう工務店さんも多いのではないでしょうか?

結論からいえば、なにからすべきかは工務店ごとに異なります。

エリアや価格帯、強み、また今の状況によっても、効果が出やすいもの・出ないもの・長期的に出てくるものが変わってくるからです。

ただどの工務店さんでもやるべき施策、あるいは効果が出やすい戦略というのはいくつかあります。

本記事では、工務店がまず取り掛かるべき具体的なマーケティング戦略を3つに分けて解説します。

1.情報の蓄積

外注でも自社内でも、マーケティング戦略を確立するためには、まず「情報の蓄積」をしなければなりません。

マーケティングは「情報の蓄積」があってこそ成り立つ

マーケティングとは、「測定」「分析」「実施」の繰り返しです。

実施前の分析をするためには、情報の測定が必要です。

・いつ、どこで、どんな層に、どんな広告を打ったのか
・その結果、反響はどうだったのか
・来場がいつ何組来て、そのうちいつ何組成約が決まったのか

「情報」とは、上記のようなものです。

これらの情報から、そのエリアのターゲット層がどんな行動をとるのか?どんな集客方法が効果的なのか?を分析し、実施し、また測定結果を分析し……というのを繰り返して戦略を練るのがマーケティングです。

しかし、これまで自社集客してこなかった工務店さんは、「情報蓄積」がまるでされていないことがほとんど。

これでは、分析できず、具体的な施策も検討することができません。

蓄積方法は簡易的なものでもいい

「情報蓄積」というと、なんだかとても難しいことに感じるかもしれませんが、簡易的なもので構いません。

・具体的な施策:いつどこにどんな販促を仕掛けたか?
・その反響:いつ、問い合わせ・来場・成約が何件取れたか?
・反響のあった顧客の属性:アンケートなど実施して集計

エクセルでも紙でも、上記のような情報をまとめ保管しておくだけで、マーケティング戦略を始めるときの重要な指標となります。

販促活動の目的は、集客だけではありません。

マーケティングがうまくいっていない段階では、より効果的な販促をするために、顧客の声や行動、ニーズを探る目的も兼ねているのです。

2.サイトリニューアル

マーケティング戦略は、工務店さんの数だけあると思います。

ただ、どんな工務店さんでも投資対効率がいい傾向にあるのが、ホームページのリニューアルです。

ある程度、流入のあるサイトをお持ちの工務店さんは、サイトリニューアルによって儲かるスピードが加速します。

建築業界のホームページの成果率(コンバージョンレート)は、0.1%ほどといわれています。

非常に低い領域だといえるでしょう。

ただ「0.1」から「0.2」に上げるだけでも、成果率は2倍になるわけです。

「10」を「20」に上げるのは難しくても、「0.1」を「0.2」に上げることはそれほど難しいものではありません。

往々にして、工務店のホームページは古いです。

10年前、20年前に作ったサイトをそのまま使っている工務店さんも少なくないのではないでしょうか?

これを最新のデザイン、計算された導線にするだけで、成果が跳ね上がることもあります。

3.見せ方と訴求方法の転換

顧客が工務店を決定する上で重視するのは、「実例」と「価格」という統計がでています。

「うちのことを知ってもらおう」と思い、ホームページや販促物で、工法や技術、建材などを全面出したくなるお気持ちはわかります。

しかし、自社の見せ方や訴求方法についても、顧客のニーズを踏まえた戦略が必要です。

「ハード売り」から「ソフト売り」への転換

工務店集客では、従来より「ハード売り」が主流でした。

具体的には、以下のようなことで訴求している工務店さんが多いといえます。

・断熱材の効能
・耐震性の高さ
・設備のグレード

これまでは総合展示場がメインの集客の場でしたから、「ハード面=物」を見せて売り込むのは当然といえば当然でしょう。

しかし、実はこれから家を建てる顧客が求めているのは、ハード面が作り出す「ソフト面=暮らし」です。

地域によりますが、総合展示場の来場数は減少傾向にあり、来場の前にまず工務店の多くが振るいにかけられているのが現状です。

これは、情報化社会になったことが大きな要因の1つ。

ハード売りする以前に振るいにかけられてしまうという今の時代には、まずソフト売りで訴求していき、ハード面も見てもらえるところまで引き上げなければなりません。

最近、タピオカや映え(ばえ)スポットが流行っていますが、これは「タピオカドリンクが飲みたい」「そのスポットに行きたい」というよりは、「流行を追っている自分」や「インスタ映えする自分」が欲しいわけですよね。

家も同じです。顧客は、断熱材や耐震装置、建材ではなく、「暮らし」を買おうとしています。

その暮らしに、「安心」や「快適」を付帯させるものが「ハード」なわけですが、 “安心で快適な暮らし”という「ソフト面」で売っていくことが今の時代と合致しているといえるでしょう。

とはいえ、ハード面の提示が悪いということは決してありません。

金額が高く、長く住む家ですから、仕様が気になるのは当然です。

しかし、ハード面に優先させて「実例」を提示し、「暮らし」をイメージさせることが大切なのです。

価格表示のわかりやすさ

価格の見せ方についても、顧客目線を徹底しましょう。

坪単価や販売価格で価格開示している工務店さんが多いことと思いますが、ここをより具体的にすることをおすすめします。

要は、住宅ローンの毎月の支払額で提示するということです。

新築マンションや建売住宅などの販促では最近よく目にしますが、「月々〇円」という、より生活をイメージしやすい価格を開示してあげることで、顧客は今の生活との比較がしやすくなります。

注文住宅を建てる前は賃貸住宅に住んでいる方が多いですが、“「家賃〇円での暮らし」に対し、「毎月〇円のローン返済でこの暮らしができる」”ことに顧客は価値を見出します。

「2,000万円」「坪単価40万円」と言われても、顧客はいまいちピンとこず、暮らしが想像できません。

ここでも、注文住宅を建てた後の「暮らしをイメージさせる」ことが大切だということですね。

まとめ

これまでの工務店集客は、展示場や紹介で「なんとかなる」スキームが出来上がっていました。

中小の工務店の社長さんは現場に出ることが多く、「マーケティングの勘」のようなものを持っていらっしゃる方もいます。

しかし「勘」には、必ず頭打ちがあります。情報を蓄積し、分析することで、集客効果は2倍にも3倍にもなるのです。

世帯数が減少し、まずます情報化社会になる「時代の過渡期」の今こそ、これまでなにもしてこなかった工務店も、生き残りをかけ本格的にマーケティングに乗り出すとき。

「なにから始めればいいかわからない」という工務店さんは、マーケティング戦略の足掛かりとして、今回お伝えした3つの具体的な施策を実施してみてください。

するとしないでは、半年後、1年後、その先が大きく変わります。

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