人間の記憶というものは、曖昧である。
たとえば、以前に行ったことのある場所も、その場所に辿り着いてからようやく気付くことがある。
また、誰かと話した内容も、一晩経つとかなりの大部分を忘れてしまう。
このようなことはプライベートのみならず、仕事でもそうだ。
実際自分が経験した仕事でも、それが完了すると、安心感からか、その際の記憶が抜け落ちてしまうことがある。
仲介業務は、この数年でかなり業務データが整備されてきた。
相場の動きや、反響数の分析、成約データなど、それ相応のデータが集められ、多くの業務推進のプロダクトが生まれてきている。
ある部分では、このようなデータを頼りにして、仲介業務を行うことで、生産性を向上させることが可能となるだろう。
しかしながら、それらのデータが仲介業務の全てをカバーしているかと問われれば、けっしてそうではない。
まだまだデータ化されていない領域があることも忘れてはいけない。
「記憶」ではなく「記録」する
ある程度の長いキャリア、都心部で仲介業務を行なっていると、何度か同じ物件を内覧することがある。
また、同様に、同じ町内、エリアを案内することがある。
勿論、その際、この物件やエリアが記憶に残っているケースもあれば、たとえば、4.5年以上経過すると、その記憶が風化していることもある。
またあまり馴染みのないエリアだと、該当物件のある駅とその隣駅の記憶があやふやになることもある。
勿論、Googleマップなどで周辺エリアを確認するであったり、事前に下調べをしておくことが大事だが、本来ならば、このようなときにすぐに引き出せるような、記録しているモノがあれば、幾分かラクになるだろう。
管理会社ごとに異なる「やり方」
また、それとは別に、賃貸仲介の契約の形も近年、かなり統一化されてきている。
オンラインで申し込みができたり、契約の書式が少しずつ統一化されてきたりなど、以前に比べて契約の流れもかなりわかりやすくなっている。
しかしながら、まだまだ管理会社独自の基準で契約を進めなければならないのも現状だ。
たとえば、申込書の書式は、管理会社の書式でないといけないのか、またお部屋留めする基準は、どうなのか。
管理会社の使用する保証会社はどの会社なのか、また契約は先方の管理会社で行うのか、それとも仲介会社の店舗で行うのか、など。
このような管理会社の「やり方」も、何度か同じ管理会社で契約をしていたら、仲介会社の紹介メンバーは記憶に残っていく。
しかしよりベストなのは、「記録」に残していくことであろう。
「記憶」は曖昧
キャリアの長い紹介スタッフは、このようなデータにはない「知見」や「知恵」を駆使し、ユーザーの部屋紹介を行う。
ユーザーとしても、当然、知識のない紹介スタッフよりも、知識の多い紹介スタッフのほうが安心できる。
しかし、一番危険なこと、かつ、勿体ないのは、そのような「知見」や「知恵」が曖昧になることだ。
紹介業務というのは、元来、その場で物件を引き渡したら、大部分が完結する。
そして、不動産会社の特性として、次の「ユーザー」を獲得するために、新たな業務を行なっていく。
悲しいことに、以前のユーザーは、記憶に残っていないのかもしれない。
もし仮に記憶に残っていたとしても、その物件の内見時の感覚、また管理会社のコツなどは、数年も経過すると忘れてしまうのが現状だ。
「記録」はスキルアップへの近道
しかし、このような内見した物件、エリア、そして成約して取引した管理会社などを細かく「記録」することで、圧倒的にスキルアップができることを忘れてはならない。
言うならば、ひとつの簡単な業務の「復習」だ。
この10分も時間を有さない簡単な業務振り返りを行うことで、その紹介スタッフ独自の強みが生まれる。
1.内見終了後に、「内見メモ」を記録する
内見が終了し、たとえば移動して事務所に戻る際にでも、必ずその物件の特徴、感想などを記録しておく。
Aマンション 〇〇号室
住所:〇〇
共有部自己採点:
専有部自己採点:
物件の特徴:
気になったこと:
周辺環境:
このような項目を書き出し、ファイル化しておく。
ベストは、Excel、スプレッドシートにまとめておくと良いだろう。
図面やWEBページではわからない物件詳細を最低限記憶しておくことで、自分自身の内見データを作ることができる。
2.内見終了時に、マップに「ラベリング」しておく
内覧終了後に、Googleマップを開き、その場所をラベリングしておく。
このラベリングをしておくことで、自分が内見した物件が地図上でマッピングできるようになる。
ベストはラベリングの入力欄に内覧実施時間なども記載しておくと良いだろう。
キャリアを重ねるごとに、自分の内見した物件のコレクションが生まれてくる。
これにより、土地感や地理感覚なども他の紹介スタッフより早く身につけることができる。
内見メモと照らし合わせて、見るとかなり便利だ。
3.契約時に「管理会社メモ」を作成する
内覧方法:
申込方法:
申込必要書類:
審査確認方法:
使用保証会社:
保険会社:
必要書類:
契約場所:
鍵渡し場所:
付帯商品:
注意点:
広告料の支払いサイクル:
契約時、新人が戸惑うのは、管理会社によって上記の基準がバラバラだということだ。
このような管理会社メモを取っておくことで、申込みから契約までの流れが圧倒的に早く進めることができる。
勿論、管理会社も契約手続きについては、日々アップデートしているので、随時確認が必要だが、それでも契約業務の手助けになることは間違いない。
ちなみにこのデータは、当然個人で行うだけではなく、仲介会社としてデータベース化しておくと、なおベストだ。
「記録」を習慣化し、大きな飛躍を
以上のように、仲介業務でも、まだこのようなコアな業務内容に対しては、なかなかデータ化できていない。
しかしデータを貯めるということが、ひとつの業務の復習と位置付けることは、可能である。
「記憶」を確かな「記録」とすることで、大いに紹介スキルをアップさせることができる。
以前、とある仲介会社の新人スタッフで、これを徹底的に実施していたスタッフがいた。
当時は、同期と比べて、平均的な営業成績だったが、1年ほど経つと、圧倒的な成果を残すようになった。
彼の強みは、WEB上ではわからない自身の経験による物件知識と、しっかりとした契約手続きのフォローだった。
ひとつの業務を振り返る時間を作ることは、自分自身の大きな飛躍となり得る。是非、一度試してみて欲しい。
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