私の所属する朝日リビングは、一都三県11営業所があり正社員は約120名、パートタイマーなど含めると300名規模の会社です。
私は2000年に入社してから、4年目で「トップセールス」となり、8年目で「所長」へ昇進しました。
ちなみに、所長になった後も営業マンとしての活動は継続しており、2017年と2020年には営業所としての成績1位もキープしながら、個人成績でもトップセールスを獲得しています。
チーム・個人問わず実績を積み上げ、現在は11営業所を任される「統括指導者」という立場になっております。
この『トップセールスへの道』というシリーズでは、業界歴20年の経験を活かし、ありがちな「過去の栄光にすがる指導者」ではなく、常に最前線で成績を上げ続けたノウハウを伝授してまいります。
入社して5年目、トップセールスになった翌年の挫折と、再度トップセールスを目指すために、行った事柄を話していきたいと思います。
※前回記事はコチラから
1.ストレスから十二指腸潰瘍に
前年比2倍の動きで2倍の契約をこなしたので、肉体的な反動が次の年に訪れました。
十二指腸潰瘍を患ってしまったのです。
最初は夕方になると胃が痛くなり、気のせいかなと思っていたのですが、どんどん悪化。
病院に行く前は、昼の3時から腹痛で椅子に座れない状態になり、まったく仕事に手がつかなくなってしまったのです。
病院に行き、胃カメラにて十二指腸にぽっかり穴が開いているのを確認。
そして「ピロリ菌」の除去で経過観察をする事に。そうすると、みるみる内によくなりました。
悪さをしていたのは「ピロリ菌」だった様です。
胃がんの原因となるらしく、胃痛を患っている方は是非、ピロリ菌除去をお勧めしたいです。
2.さらにメニエール病に
上記の十二指腸潰瘍と併発して起こったのが、メニエール病です。
会社の廊下を歩いていると、まっすぐに歩けなくなくなり、まるで大地震が起きたかのような錯覚を起こしました。
この症状がメニエール病と診断され、これは完全にストレスや寝不足、過労により起こったものだと思います。
もう一度トップになるためにした4つの事
1.仕事量をそのままに時間を短縮(効率化)
5年目の出だしはまずまず良かったものの、病気になり2か月間契約0を経験しました。
今の仕事量だと過労死してしまうと思い、なんとか時間を短縮して仕事量を保てないかを模索しました。
そこでまず仕事のシステム化に着手。
業務の無駄を省き、パソコン(エクセル)を駆使しすべての業務がスムーズになるように構築したのです。
また仕事の内容も、決めることが出来る事は曖昧にせずに日時を確定していく事や、出来ることは前倒しで行うように心がけるようにしました。
具体的にいうと
②契約時に決済予定日を買主売主双方合意の上決めておく。
経験上9割ぐらいは最初に決めた決済予定日で決済できます。また、決めておくと清算金の算出が出来るので、決済に向けた仕事がしやすくなります。
③エクセルを活用し、一つのボタンで色々な書式を出せるような仕組みを作る
④一日の行動に計画性を持たせ、外出したら「ついで仕事」も行う。
例えば、14時にお客様宅に訪問ならば、近くのマンションにチラシをまいて空室も調査する。戻る途中で法務局により、空室調査と媒介依頼の調査も同時に行う。
⑤評価証明など決済で使用する書類は4月更新時にまとめて取得しておく。
⑥決済後に発生する問題をあらかじめ契約書類のファイルに入れておく。
例えば、インフラの連絡先書類や引っ越しに伴う郵便転送願い、国家資格の住所変更、銀行通帳の住所変更など、よく電話がくる書類をあらかじめ入れておく。
翌年の住宅ローン減税で確定申告に使用する書類一覧を入れておき、契約書の写しなどはこちらで用意できるのであらかじめ入れておく。
⑦マンションなので買主様が忘れがちな「組合員変更届け・入居届け」を決済時にコピーし、管理会社へFAXしておく。または決済後にすぐ郵送する。
⑧契約後に設備不良などでクレームが起きやすい場所を、あらかじめ説明しておく。
⑨メール反響など、すぐに返信できる様に署名欄に返信ひな形を入れておく。
⑩チラシや名刺などに携帯を入れて、お客様に余計な取次をしないようにする。営業所にかかった電話は、携帯を教えるか転送できるようにしておく。
まだあといくつかございますが、長文になってしまいそうなので、主だったものを取り上げてみました。
2.反響に対しての成約率を上げる
お客様に対して、ファーストインパクトを高めて成約率を上げる手法をとりました。
買主反響を集客する手法は、仕事量により一定数キープ出来ているので、次は成約率を上げるよう研究しました。
ご案内前にも購買意欲は高められる
まず反響があって案内日を設定します。
例えば5月5日に反響が入り、5月10日に現地案内の日程が決まったとします。
この反響のあった日にA3で拡大した間取り図を送り、「このように書いてください」といった見本もつけておきます。見本には、家具の配置や家族の部屋決めを書いておき、ご案内までに記入して現地へ持ってきてくださいと書き添えておくのです。
これにより、ご案内までの時間に家族で話し合う時間ができ、物件に対して夢を膨らませてから来るという状況を作り出すことが出来ます。
アマゾンなどのネット販売が今日では盛んですが、百貨店やデパートなどで小売店がなくならないのは、人の本質である「実物を見ると購買意欲が高まる」という所です。
実物を見る前に、少しでも購買意欲を高められれば初回案内での成約率がぐんと高まります。
ご案内した後の話
ご案内したときに「この物件の購入意欲は何パーセントぐらいですか?」と聞きます。
50%以上で答えたら、まずこの物件を気に入っているので、あとは残りのパーセンテージが埋まるよう営業すればよいのです。
購入者への営業は「納得」が基本です。中古物件を買いに来ているお客様は、新築ではないので妥協すべき点が出てきます。
この妥協を納得に変えるのが「営業マンの仕事」なのです。
さて次は50%より下回った場合です。
多分、ご案内した物件では買わないでしょう。
そこで、あらかじめ準備をしておきます。
準備するのは以下の物件
② ご案内した物件より築の浅い物件
③ マル秘物件
この場合、予め物件の資料を3つ用意しておきます。
大体が「広さがね~」「もう少し築年数が新しければ~」と言われるので事前に用意しておきます。
ここで用意するのは③のマル秘物件です。
2まで見せて反応を見ながら、事前に調べたお客様に最適そうな物件をもったいぶって出すのです。
そうすると、大体が③で決める事が出来ます。
3.こだわりを明確化し、やりぬく
一つのこだわりは成果として1%。
こだわりが100個あれば100%になり、一つの成果となる。
これは私の持論で優秀な社員とそうでない社員は、同じ作業も「質」が全然違うという事です。
他の人はおそらくここまで考えてやっていないだろうと思う事をやれば、それは他社との差別化につながります。
こだわりのいくつか事例を挙げてみたいと思います。
チラシやDM投函の際に、居住者の方にどう映るか考えながらチラシは投函しています。私の投函スタイルはチラシを折らない、丸めないがこだわりです。
②チラシには必ず地図を入れる。
私の義母がチラシをみて一戸建ての外観を見に行こうとしたら、結局わからず諦めたという話を聞いて、外観だけでも見たら中も見たくなって購入したのでは?という疑問を持ちました。
不動産の購入者は、よそからきて賃貸に住む夫婦などが主なので、その町の○○町〇丁目などの記載だけだとピンときません。私はチラシや図面には必ず地図を載せます。また不動産流通機構(レインズ)の図面も結局の他社仲介業者が帯を変えてお客様に送るのだから、その図面も手抜きせず、丁寧に作る様に心がけております。
③チラシの文言はメッセージになるような「言葉」を使用する。
不動産のチラシは、「日当たり良好、眺望良好」など見る側からしても見飽きた文言ばかりです。私は「人生をより良い方向へ一歩踏み出しませんか?」とか「引っ越しは新しい人生の第一歩」など広告を見た人で、問い合わせに踏み出してくれるように誘う文言を使用します。
④お礼状は手書きで行う。
出会ったお客様に「お礼状」を書くのですが、手書きで書くとより相手への自分の気持ちが伝わります。このお礼状は他社との差別化にもなり、追客が疎かになった場合のフォローツールにもなるのでとても有効です。
⑤出会ったお客様は必ず一つ褒める。
買主様も売主様も、必ず良いところを見て「褒める」というのを心がけております。人はお世辞でも褒められて悪い気がしません。またその発した「言葉」がよりよい方向へ向かうと私は信じておりますので、なるべくポジティブで前向きな発言も心がけております。
4.モチベーションコントロールを取り入れる
これはかなり私の持論ではあるのですが、モチベーションは60~70%で保つのが良いと思います。
社会人とは長い道のりです。
モチベーションが100になると反動がおき、次の瞬間に0に落ちてしまいます。
余力を残しつつ仕事をして、長く仕事をしていると「今」というタイミングが来ます。
そこで80~90%に引き上げればいいのです。
「3年に一度、数か月本気になる」
そこで、モチベーションを60~70%保つには、安定した契約とお客様、上司に褒められることです。
私の場合はお客様と会話するとストレスが解消されるので、よく訪問しておりました。
また上司に褒められるようなホウレンソウも行ってコミュニケーションを図っており、社内のストレスがないような計らいも心がけておりました。
この5年目は、前半病気で2か月契約0という状況から復活し、営業成績は2位。
再びトップになるまで「あと一歩」の所でございました。
おまけ『入社5年目で宅地建物取引士を合格したお話』
入社5年目に宅地建物取引士に合格したのですが、勉強したのは5日間で一日20時間、睡眠3時間という一夜漬けに近い感じで勉強しました。
民法・法令上の制限・業法の問題集6冊と過去10年の問題集で7冊を5周しただけです。
勉強法は、何故という疑問を外し、この問題はこれが答えなのだとシンプルに考えます。
あと集中して60時間ぐらい経過した時に、上のゾーンへ行けます。今まで1冊5時間で解いていたのが最終的には30分で解けるようになります。
今振り返るとアドレナリン放出状態だったのでしょう。
そのゾーンに入れば短期間でも合格できると思います。
宅建まで時間がないという方がいれば、ぜひ参考にしてみて下さい。