繁忙期真っ只中である。
今年の繁忙期は、コロナ禍ということもあり、例年とは人の動きが異なるようだ。
また不動産会社によっても忙しさが異なる傾向が見られる。
少しずつ仲介会社も二極化が進んでいるかもしれない。
しかし、そうは言えどもやはり引っ越しシーズンであるが故に、全体の反響数は増加傾向にある。
企業によって違いこそあれ、やはり忙しい時期であることは間違いない。
繁忙期のこの時期、業務を推進するうえで一番頭が痛いのは、クレームやリクエストである。
精緻な戦略を組み、物件反響の獲得施策や営業体制を見直しても、ひとつの大きなクレームが発生すると多くの業務が遅延してしまう。
特に優秀な営業メンバーが大きなクレームを発生させてしまうと、営業数字にかなりわかりやすく悪い影響を与えてしまう。
さらに店長まで対応を始めるとなると、店舗全体に悪影響を与えてしまう。
クレームというのは、ゼロにすることは難しいかもしれないが、ある程度の事前策を打てばかなり軽減できる。今回はその軽減方法を少し紹介したいと思う。
賃貸仲介業務のよくあるクレーム例
まず、賃貸仲介業ではどのようなクレームが発生するだろうか。
いくつか羅列してみると、
- 問い合わせしたが、仲介会社からの返信が遅く不信感が生まれるケース
- 紹介の際、ユーザーが問い合わせした物件が終了していたケース
- 案内時に、鍵が行方不明、さらに管理会社に連絡しても繋がらないケース
- 申込をしようとユーザーが仲介会社に連絡したが、既に物件に申込みが入ってしまっているケース
- ユーザーが申込をしたが、担当者からその後の連絡が滞り始め、不信感が生まれるケース
- 契約金で事前にユーザーが「聞いていない」金額が盛り込まれ、不信感が生まれるケース
- 引き渡し時期がズレてしまい、引っ越しが間に合わなくなってしまうケース
ざっと思いつくものを挙げてみたが、上記以外にもありそうな気がする。
しかしいずれにしても、仲介業務を経験したことがあるかたなら、いくつか思い当たるものがあるのではないだろうか。
多くのクレームは2つの対策で軽減可能
では、このようなクレームを防ぐためにはどのような対策を打つべきだろうか。
繰り返すが、ゼロにはならないが、対策を打つことで多少の軽減はできるかと思う。
1.返信漏れ、対応遅れを防ぐ仕組みを構築する
現在、ユーザーと担当者が直接LINEやチャット機能でやりとりするケースが増えてきている。
そうしたケースの場合、かなり大きな炎上状態のクレームになり、はじめて上司に相談するケースが増えていると聞く。
これは、連絡の滞りがかなりの大半を占めているようだ。
どうしてもクローズドのやり取りだと、上司は気付きにくい。
できれば、顧客とのチャットを可視化できるようにしておくこと。
また、決まった時間に上長が未返信、未対応のものがないか確認する仕組みを構築しておくことが重要だ。
たとえば、出社、昼過ぎ、夕方、終業間際で確認するようにしておけば問題はない。
もし、対応数が多い店舗は、2人1組などにチームを組成し、確認し合うようにしておくのもひとつの方法だ。
仲介業務において返信遅れ、対応漏れを防ぐだけで、かなりの割合のクレームが軽減できるのではと感じる。
2.ユーザーの「思い込み」とコチラの「思い込み」の差を解消する
たとえば、ユーザーが物件を問い合わせした際に、当然、この問い合わせ物件は「空室である」とユーザーが思い込んでいるケース。
または、ユーザーが、気軽に口頭で物件の取り置きができると思い込んでいるケース。
このような思い込みは、勿論、ユーザーが悪いわけではない。
引っ越しは、数年に一度だ。どのような仕組みで物件情報が市場に流れ、どのような手続きを踏んで、引き渡しができるかを理解しているユーザーのほうが珍しい。
また、不動産会社からしても、長年業務を行っていると自分たちの業務がユーザーも当たり前に知っていると思い込んでしまう。
平気でユーザーに「これから物確しますねー」と言ってしまうケース。
当然、ユーザーは、物確が何のことだか理解してはいない。
しかし、このようなケースもある意味、致し方ないかもしれない。
なかなか思い込みを無くして、業務を続けるのは難しいものだ。
このような思い込みは、「バイアス」と言われる。
バイアスがあると、お互いのコミュケーションに齟齬が生まれやすい。
逆にバイアスを外してしまえば、円滑なコミュケーションになりうる。
ユーザーの致し方ない「思い込み」は、事前のしっかりとした不動産会社側からの説明で、大部分は解消できる。
- 物件は、申込先着順のため、物件をおさえるためには、申込書記入が必要
- 上記の理由のため、物件が無くなってしまうことも多々ある。とくに都心部だと、スグに申込みになってしまう
- 申し込み時に、管理会社に初期費用と必要書類の確認を行う。ユーザーにも費用に関して不明点がないか確認する
- 契約のスケジュールを事前にユーザーに共有しておく。意外と日程がタイトなことを事前に伝えておく。
このような事前に伝えることを、なるべく「定型文に挿入」、もしくは「業務フローで構築すること」が重要だ。
必要以上に細かく事前に説明をする、という意識ぐらいでも丁度良いかもしれない。
まとめ
いずれにしても、クレームは、「スピードのある対応」と、「事前にユーザーにとって不安なところをしっかりと伝える」という基本中の基本の対応で大きく減らすことができる。
重要なところは、責任者が上記のような取組の重要性を軽視して、メンバーにこの対応を丸投げしないことだ。
しっかりと店舗で仕組みとして対応することを忘れてはならない。
クレームを減少させることを注力していくと、サービス力の向上にも繋がる。
是非、試してみてほしい。
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