住宅展示場の営業テクニック【主寝室のWICの活用方法】

どんな住宅展示場であっても、主寝室に付随したWIC(ウォークインクローゼット)があるでしょう。

ごく一般的なものから、かなり工夫したウォークスルー型のものまでさまざまですが、最近はかなり凝ったものが散見されます。

ところが相変わらず何ら面白みもない収納の住宅会社も多く、さらにはそれを説明する営業マンも工夫もなく流すように接客しているケースが非常に多くなっていると私は感じています。

今回のコラムでは、どんなWICを創ったらいいのか?展示物はどうするのか?営業マンはどう接客するのか?などについて話を進めていきましょう。

ある大手ハウスメーカーはこんなWICを作っている

有名人を全面に出してのコラボで収納を作る

大手ハウスメーカーのJホーム。

ここの展示場を見ると一目瞭然なのですが、ある有名人(収納の世界では有名ということで一般的な知名度はありませんが)とコラボした収納を展開しています。

展示場内中の収納を監修しているのですが、特に主寝室内のWICはなかなか見ごたえがあります。

細かいところに仕掛けがあるのですが、その仕掛けに対する説明書きが全て書いてあり、それを読むと「なるほどね~こういう収納のコンセプトもあるんだ」と誰が見ても納得する仕掛けになっているのです。

ポイントは比較展示

写真を掲載できないので説明がしづらいのですが、この専門家が考案した収納と一般的な収納が並んで作ってあるのが特徴です。

実にわかりやすいのですが、私が見学したWICでは『ごく普通に服がかけられるように作ったWIC』と『同じ空間なのにほぼ1.5倍の洋服がかけられるように工夫したWIC』が並んでいました。

繰り返しになりますが、写真を使えないので申し訳ありません。

ただ、私の言いたいポイントは、通常の収納設備と工夫を凝らした収納空間を比較している点なのです。

この発想を元にしてもらえれば、あなたの会社の住宅展示場でも十分に対応できると私は思います。

主寝室WICに設置してあった○○に「なるほど!」

たいそうな話ではありませんが、主寝室にちょっとしたものを置いておくとお客さんの共感を得られるチャンスが増えるのではないでしょうか。

ルンバは絶対に準備しよう

ルンバをご自宅で使っている方はいますか?

その認知度は抜群の商品ですが、展示場来場者でこれを使っている方はほぼいないと言っていいでしょう。

一軒家を建てた際に購入することはあっても、賃貸物件に住んでいる状態で買うことはあまりないからでしょう。

主寝室WIC内の隅っこでいいので、ルンバの基地を作ってください。

ルンバを見たお客さんの反応がいいことに加えて、もし新居を建てた場合にはルンバを検討する方も多いからです。

ルンバを置くだけでお客さんとの会話が弾む可能性があるのです。

ちょっとしたことですが、こうした設営が大事になってきます。

壁付の姿見も鉄板アイテムだ

主寝室内のWICには外出着をたくさん掛けることになるはずです。

となれば、ちょっとした姿見が欲しいと考えるのが自然ではないでしょうか。

さきほどご紹介した大手ハウスメーカーのWICには、自立式の姿見と壁付の姿見が両方置いてありました。

最初は疑問に感じたのですが、しっかりとその理由が壁に書いてありました。

『姿見は絶対に壁の直付けを推奨します。ホームセンターなどで後から買ってくるタイプは室内で邪魔になります』

たしかに邪魔です。

これも比較展示手法。

つまり「弊社ではこういった細かいところまでも気を使った収納提案をしております」と言いたいのでしょう。

帽子置き場に強い反応を示す人もいる

帽子をたくさん持っている人は少ないでしょう。

しかし、アッパー層になればなるほどその保有率は増えていきます。

もちろん、帽子が好きな学生とかはたくさん持っているとは思いますが、ここでいう帽子とは“立派な帽子”のこと。

女性でいえば皇族方が頭に載せているようなレベルの帽子を指します。

アッパー層の奥様方の中には高級な帽子をたくさん持っているケースがよくあります。

そして、そのクラスの帽子は円筒状の帽子入れにおいて積み重ねるか、そのままの形で棚の上に置くかという保管方法が考えられえます。

ですから、展示場の主寝室にWICを作る場合は、ディスプレイとして帽子を数個置くのも面白いのです。

多くの見学者はスルーしますが、置いてある帽子を見て「帽子の置き場も欲しいのよね~」と反応する奥さんがたまに出てきます。

もし、こんな反応をしたら、そのお客さんは、アッパー層かどうかはわかりませんが、そこそこの生活レベルである可能性が高いと思いますね。

主寝室WICを営業マンはこう説明してほしい

「このスペースを適当に作ったら後悔しますよ」

わたしであればこう断言しますね。

想像してほしいのですが、多くの住宅展示場では、主寝室内のWICの造りが何の変哲もないものが多いのです。

だからこそあなたの住宅展示場では、多少でもよいので凝った造りをしたうえで、こんな営業トークでビシッと決めてください。

「適当に作ったらだめですよ」これでいいのです。

これを言うだけで、お客さんとしては「この住宅会社は素敵な収納提案力があるのだろうな」と期待を持ってくれるのです。

「今収納困っているものは何ですか?」とは聞かない

これは主寝室のWICだけに限らないのですが、収納に関するお客さんへの定番質問で「収納にお困りですか?」「どんなものの収納に困っていますか?」という質問があります。

しかし、私からすればこの質問は不可。

不可は言い過ぎかもしれませんが、正確にはこんな聞き方をしてほしいのです。

「眼鏡を複数お持ちですか?置き場所って困るんですよね」
「掃除機の収納場所に困る話は奥さんからよく聞きますね」

ポイントは具体性。

眼鏡、掃除機というように具体的なものを提示して「○○の置き場に困っていませんか?」と語り掛けるのがいいでしょう。

多くに人がそうだと思いますが、いきなり「どんなものの収納に困っていますか?」と大きな枠で突然聞かれても答えに窮してしまうのです。

しかし、このように対象物を絞って聞かれると答えやすいのです。

「眼鏡の置き場には困っていませんけど、掃除機の置き場所には確かに苦慮しています。とくにハンディタイプの掃除機の置き場には今でも悩みます」

こう具体的に聞ける可能性が高くなるのです。

できればウォークスルー形式のWICにリフォームを

営業マン個人で対応できる話ではありませんが、展示場に併設のWICは可能な限り通り抜けが可能なものに作り替えた方がいいですね。

その理由は簡単。

通り抜け型のWICを見学したお客さんの反応がすこぶるいいからです。

ですから、展示場をリフォームしたうえで、取りぬけ型の収納の良さを目いっぱいアピールしてください。

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