住宅展示場の営業テクニック【トイレ編】

展示場接客のメインともいえる場所はリビングでしょう。

玄関から入場したお客さんがまっすぐ向かうのがリビング。

そこをざっと見学してからそれぞれの場所に散っていくスタイルが一般的です。

そして、その接客途中に必ずトイレがあるのですが、トイレはほぼスルーするのが常道で、ここで長々と説明している場面にはまず遭遇しません。

しかし、家づくりにおいてトイレは極めて需要な空間です。

それにもかかわらず、その扱いは雑なものがあることに私は不満を持っています。

逆に言えばトイレの接客を上げれば、他社が対した接客をしないだけに、あなたのことがより印象に残りやすいともいえるでしょう。

トイレ接客のポイントは徹底した商品知識の習得から

自社展示場のトイレの商品説明をできますか?

質の高いトイレ接客を目指すには、営業マンがトイレに対する一定レベルの知識を持っているのが大前提。

ところが、営業マンを現場で長年見ていますが、トイレに関する知識をしっかり持っている営業マンはあまりいないのが現状です。

知っているのはトイレのメーカー名くらいではないでしょうか。

「このトイレはTOTO製ですね」で終わり。

いくらなんでもこれでは情けなさすぎ。

これ以上の説明ができないようでは、他社の勝つことなど到底できません。

節水型トイレに関する知識を身につけよう

1回水を流すのに昔は10リットル以上を使用していました。

ところが、最近は節水型の普及が進み4リットルを切るクラスのタイプが出てきています。

営業マンであればこのことをまずは知る必要があるのですが、若手の営業マンの中にはこの知識すら怪しい人間がかなりいます。

お客さんは【節約】という言葉には敏感になっているので、節水型トイレのことを知っている可能性もある程度あると考えられます。

トイレの接客においては節水型トイレの知識を身につけましょう。

そして、当然ですが、自社の展示場に取り付けてあるトイレが節水型か否かの確認は必須です。

節水型トイレはデメリット情報が幅を利かせている

この手の記事を書くときには、メリットを書いたのちにデメリットを書くものですが、節水型トイレに限ってはこの順番を逆になります。

調べてもらえればすぐにわかりますが、【節水型トイレ】とググってみると、変換予測キーワードが欠点、詰まる、使いにくいなどのマイナスキーワードが上位に来ます。

これから推測するに、節水型トイレを手放しに導入するには若干躊躇する要素がありそうです。

では、そのデメリットを考えていきましょう。

よく言われるのがトイレの詰まり。

調べてみればすぐにわかるのですが、この問題に言及したものが実に多く見受けられます。

メーカーサイトを見るとこれに関する記述はごくわずかで心配に当たらないようにも感じるのですが、実際のユーザーがこれだけ情報をあげているからには無視はできません。

お客さんと話す際には、このような事実を伝えましょう。

「詰まらない」とも言えないし「詰まりません」とも断定はできませんので「使い方に気を付けないと詰まることもあるようです」と答えるのが正解です。

詳しいことはネットにたくさん出ているので、ここでの詳説は避けますが、手放しで節水型トイレを称賛することができない事実があることだけは、しっかり頭の中に叩き込んでおきましょう。

トイレに窓は必要なのか不必要なのか?

この問題は古くて新しい問題ともいえますが、まずはこの写真を見てください。

これは福岡にある住宅会社の展示場ですが、1階にあるトイレの中を撮影したものです。

ご覧のように窓があるのですが、これはトイレ内の電気を落とした状態で撮影しました。

窓があると明るい!

当たり前の話ですが窓があると非常に明るい状態を作りだすことができます。

この窓がなければもちろん真っ暗。

「暗くても別に構わない」とういう人には関係ない話ですが、トイレの窓に関してはその重要性を皆さんには語ってほしいですね。

いちいち電気をつけなくてもいいし、自然光が入るトイレは何とも気持ちがいいものです。

窓があるから明るいのは当たり前ですが、筆者の営業現役時代には「今のトイレには窓がありますか?」と必ず聞いていました。

建て替えは除きますが、現在の住居が賃貸物件の場合は、高い確率でトイレに窓がありません。

それを前提にこう聞いたのです。

「窓はない」と答えたら「トイレに窓はあったほうがいろいろといいですよ」と雑談を振っていきました。

  1. 明るくて単純に気持ちがいい
  2. 臭気が自然に抜ける
  3. わずかばかりとはいえ電気代が節約できる
  4. 昼間であれば電気がなくても掃除がしやすい
  5. 家相的にも窓があったほうがいい

こんな話をしてみて下さい。他社営業マンはトイレの接客をまともにやらないのが現状ですから、あなたがトイレでちょっとした雑談ができれば有利だと言えます。

実際には窓がなくても大きな問題はない

こう書き進めてくると結論は「トイレには窓が必要ですと言いなさい」となりそうですが、現実的な話をすればトイレに窓がなくても問題はほぼ起こりません。

マンションを思い起こしてもれえればわかりますが、分譲マンションであってもトイレに窓がついてあるよう物件はまずありません。

しかも戸建ての場合、意図しなくても窓がつく設計になります。

逆に窓がついていないトイレを戸建てで見たことはありますか?皆無と言ってもいいですよね。

つまり、現実的には窓がついたトイレになるので、わざわざお客さんに「窓を付けるべきです」とアピールする必要はありません。

あくまでも他社営業マンとの差別化を図るために、引き出しをたくさん持ち多角的な話をしてほしいということです。

窓がないことによるメリットももちろんある

意図しなくても窓がついてしまうのが戸建てにおけるトイレです。

しかし、窓を付けないことによるメリットがあるのも事実ですので、参考までに覚えておきましょう。

防犯性は高まります。

面格子を付ければ問題はほぼ解決ですが、外側に面した場所の窓が一か所でも減れば、防犯性が増すのは事実です。

また、窃盗犯のニュースなどを見ていると「犯人はトイレの窓から侵入した模様です」というケースをたまに耳にします。

リビングの掃き出し窓や玄関など開口部の大きな場所は住人も気を付けるのですが、侵入口の小さなトイレの窓は意外な盲点で、鍵をかけ忘れると小柄な賊であれば面格子をうまく外して侵入されてしまうのです。

こう考えると、トイレに窓はないほうが良いとの結論もあり得ますね。

ただ、一般的には換気のスピードや明るさなどからくる清潔感などを考え合わせると、窓を付ける方が一般的で無理がないと筆者は感じます。

断熱性が高まる

これも当たり前の話ですが、窓がなければ断熱性は高まります。

問題なのは冬でしょう。

トイレのドアを開けるとひんやりした空気を肌で感じます。

若ければよいですが、年齢を重ねたときにひょっとするとヒートショックの一因ともなりえます。

この観点から考えるとトイレの窓を設置しないのも選択の一つになります。

また、窓を設ける縛りがなくなれば、設計する上で家のどこにでもトイレを設定できます。

間取りの自由性が高まるというメリットは確かに存在します。

ただし、家相には要注意。家の中心部にトイレを持ってくるのはダメですし、鬼門にトイレを持ってくるのもダメ。

ごくたまに家相や風水に重きを置くお客さんもいますので、その時は細心の注意を払って接客をしましょう。

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