顧客取材歴が長い私ですが、いつも想定通りの穏やかな取材だけではありません。
なかにはいきなり不満をぶつけるお客さんもいました。
しかも、取材前の段階では全くそのような情報はなし。
取材アポイントは担当営業マンが取るわけですから、怒っていればそもそも取材など受けないでしょう。
今日ご紹介するのは、取材を受ける段階では何も問題がなかったのに、あることをきっかけに着火してしまった奥さんの話です。
【住宅営業】不満を持った顧客への取材は効果的
契約直後の取材に応じてくれたK子さん
30代のかわいらしい感じの奥さんでした。
K子さんとしておきましょう。
K子さんは地域の有力会社と契約をし、契約金として100万円を期日までに入金してくれました。
このまま問題なく着工して引き渡しを迎えるはずのお客さんでしたが、複数の競合会社を勝ち抜いた案件だったので、私が営業マンに頼んでビデオ取材を受けてもらうことになったのです。
「いいですよ~と快く引き受けてくれました」と担当営業マンのH君から聞いた私は、取材場所であるこの会社の支店でスタンバイ。
程なくしてK子さんが一人で支店にやってきたのです。
和やかな空気はすぐに一変
最初は和やかな空気
いつもそうですが、取材の最初は和やかそのもの。
ただ、事前に了解を得ていたものの、撮影用のビデオをセッティングすると、若干の緊張した顔をK子さんも見せました。
私が神戸在住であることを告げると「私は大阪出身なんですよ~同じ関西ですね!」といい感じ。
どうでもいいような話をした後に本論に入っていきました。
「今回は4社競合ということでしたが、最終的にはこちらの○○ホームさんに決めたわけです。一番の決定要因を教えてくれませんか?」
こんな感じでは話を切り出して、当たり障りのない受け答えをしてくれたK子さんでしたが・・・
いきなりプッツン!
たしか取材開始から3分も経っていなかった記憶がありますが、いきなりK子さんの怒りのスイッチがONになりました。
「あっ・・・一点だけ言わせていただきたいことがあるのですが・・・いいですか?しゃべらせてもらって」
いきなり表情が変わったので驚いたのですが、その時の会話を再現してみましょう。
筆 者「あっ、はい、どうぞ」
K子さん「今日はこうしてお茶が出ていますね。ただ、契約をこの前しましたが、その時はちゃんとお茶が出たものの、契約してからの後日に行った打ち合わせではお茶が出なかったんですよ。だから今日もどうせお茶は出ないだろうと思って・・・ほら・・・こうしてペットボトルのお茶を持参しました」
筆 者「あっ・・・そうなんですか・・・私は社外の人間ですので事情は分かりませんが、たしかに気分悪いですよね」
いきなりこんなことを切り出されたのは初めての経験。
本来聞きたかった営業手法や競合相手とのやり取りとは全く違う内容だったからです。
しかし、私に取材依頼をした会社としては非常に参考となる内容だと思い、あえて話を切らずにK子さんの話に合わせてそのまま聞き続けたのです。
K子さんがプッツンしたのはこの3点
①契約済みの客に対するふざけた姿勢を感じる
既述の話は結局こういう事です。
契約前の段階では、客に気を使ってお茶でもコーヒーでも出すのに、いざ契約を終了させたらお茶を出すのももったいないからやめるのか?ということ。
これは言うまでもないのですが、会社側にそんな意図はあるわけありません。
打ち合わせの日は通常の営業日だったのですが、何かの手違いで事務の女性社員が出し忘れただけでした。
しかし、そうであれば担当の営業マンがすぐに気づくべきでしょう。
問題はそこにあったということです。
K子さんも「お茶を出すのもケチっているのでしょう」と本気で思っているとは考えられません、気分を害したので嫌味半分で答えたと推測するのが妥当だと私は思います。
K子さんはこんな興味深い話もしていました。
いずれにしても、単純ミスとはいえ大きな失態です。
この会社ではこの後に顧客へのお茶出しを忘れるということがないように、その日の当番を明確に決めました。
②打ち合わせ部屋のグレードがショボい!
K子さんは次から次へとパンチを打ってきました。
写真を掲載できないのは残念ですが、この指摘は当たっているのです。
言われてみれば、その格差は歴然で、楽しいはずの打ち合わせを何だか倉庫のような薄暗い部屋でしたわけです。
人によっては言いがかりととらえるかもしれない指摘ですが、的確に問題点を付いているのも事実です。
これに関してもすぐに是正をして、当該の部屋は接客や打ち合わせでは使用しない旨をこの会社では決めました。
③契約後に営業マンの動きが明らかに鈍ってきた
この問題は多くの会社で起こっている問題です。
筆者も営業出身ですからよくわかりますが、建築請負契約を締結するまでは必死に動くものの、ひとたび契約を済ませれば意欲がいったん落ちるのはやむを得ません。
もちろん、これではだめだと頭ではわかっていますが、営業マンであるからには仕方がないと思います。
住宅営業マンとして大事なのは、契約締結後に意欲が衰えたとお客さんに察知されてはならないということなのです。
これは騙すとかそういうことではありません。
とにかく気づかれないように行動すべきなのです。
K子さんはこの担当営業マンのテンション低下を肌で感じたのでしょう。
そして、ぶち切れたのです。
K子さんの営業担当であるH君
この取材の顛末を担当営業マンであるH君に伝えました。
H君は明らかに意外であるとの表情を浮かべていました。
たしかにそうでしょう。
取材を受けてくれたわけですから、その時にこんな話をされるとは夢にも思っていなかったはずです。
ただ、H君の上司である店長は「Hはたしかにそういうルーズな部分があるんですよ。ですから、契約済み客への対応は注意をして見てはいました」とのこと。
この取材ビデオは後日の研修でH君にも見てもらいましたが、どうにもこうにも納得していない表情。
でも、K子さんはこう感じて強い不満を持っていたのです。
K子さんは取材の最後に「契約金を放棄しても構わないので契約をキャンセルする可能性もありますのでよろしく!」と競合会社であった○○ホームの名前を出して去っていきました。
結果的には契約破棄はされずに済みましたが、契約金の100万円を捨ててもいいと思わせるほどに怒っていたということです。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。