【住宅展示場】先日来場した想定外のお客さん

関西地方のある住宅会社。

この半年ばかり毎月のように訪問を続けていますが、先月面白いお客さんが展示場に来場しました。

30前後のご夫婦ですが、ご主人が几帳面というかなんというか、とにかくまじめだけどちょっとクセを感じる御仁。

その反面、奥さんは最後まで話すことがほぼなかったという印象でした。

とにかくこんなありふれたごく普通のご夫婦だったのですが、この折衝を事務所のカメラで見ていた私は折衝の一部始終をかぶりつきで観察することに。

とにかく、想定外なご夫婦だったのです。

最初の15分は褒め殺し

接客スタート時から15分程度はやたらめったら展示場を褒めまくるのです。

そこまで褒める必要もないだろうと思ったのですが、とにかく異常なほどに褒めまくるのです。

「素敵ですね~」「こんな家に住みたい!」くらいのことはよく耳にしますが、このご主人は常軌を逸した褒めまくり状態。

「偶然ネットで見つけたのですが運命の出会いかもしれません」
「こんな秀逸なデザインがあったのですね」
「経営者の方も素晴らしいではないですか」
「どうしたらこんなハイセンスな設計ができるのですか」

高いテンションでこう言い続けるのです。

いつもは私だけがモニターを覗き込んでいるのですが、この時は音ぞろぞろと近くにいたほかの営業マンも寄ってきて「なんすかこれ!なんでこんなに褒めるの?(笑)」と大盛り上がり。

一条工務店の登場で空気は一変

不動産専門の方はピンと来ないかもしれませんが、新築住宅部門において一条工務店の営業力はつとに有名。

「おたくのC値はいくつですか?」
「サッシはどんな素材を使ってますか?」

こんな質問が飛んで来たら「一条工務店に行って洗脳されたな」と反射的に思ってしまうほど、彼らはすごいと私も思っています。

このお客さんもまさにこのパターンでしたが、完全に洗脳されてきたのがありありで営業マンもたじたじの状態に。

いくら説明してもわかってもらえない

「一条工務店では気密性が弊社は日本一と言っていましたが、妻は極度の寒がりなのであれはいいと思ったんですよ。おたくのC値はかなり劣っているのですか?」

もし正確に比較すればやはり一条工務店の数字は日本一でしょう。

ただ、現実論を言えばあそこまで高くなくても問題あるとは思えません。

しかし、このように一条工務店を絶賛するお客さんが多いのは事実ですから、一条工務店はマーケティングというかうまくオペレーションされていると思います。

こんな状態ですから、このお客さんに対して営業マンがあれやこれやと説明をして「一条さんは素晴らしいですが弊社で建てても住み心地で不満に感じることはないともいます」とやるのですが、とにかくいくら説明してもわかってもらえません。

ローコストに対するあからさまな不信感をぶつけてくる

この会社はローコスト。

ローコストですから全国区ハウスメーカーのような高い仕様を標準装備とはしていませんし、そもそもそれに対抗しようとは考えていません。

ところがこのお客さんは絡みまくります。

「ローコストというと安い分だけどこかで手を抜いていないと筋が通らないと思うのですよね」

遠回しに言うお客さんはたまにいますが、手を抜いてくるという直接的な表現を使ってくるのは初めて聞いて驚きました。

ローコストメーカーの営業マンも読者にいるかもしれませんが、皆さんはどのように説明をしていますか?

とうとう壁をたたき出した・・・

この接客の様子を私を含めて4人で見ていたのですが、お客さんはやおら椅子から立ち上がると壁をたたき始めたのです。

軽くですが「コンコン・・」という感じです。

そしてはっきりした大きな声で「なんだか軽い音がしますね。中はどうなっているのですか?」と畳みかけてきました。

中はどうなっているのか?って、ごく一般的な仕様なんですけどね(笑)

しかも外壁ではなく室内の界壁です。

そもそもコンコンと叩いて何がわかるのだろうか・・・と私も思いましたが、そのお客さんは納得できない様子でした。

保証期間は今どき60年でしょ?

ハウスメーカーの保証期間合戦に巻き込まれる

これはハウスメーカーの大きな罪だと私は確信しているのですが、20年前と比較すると各メーカーの住宅に対する保証期間が大幅に伸びています。

そもそも10年という話が20年、30年となり60年保証を謳う会社がごく一般的に。

なかには100年保証を叫ぶ会社まであるようですが、100年間の保証などほぼ有名無実。意味がないですよね。

「60年間の保証は当たり前だと思います。ローコストだからといってもそれはおかしいと思いますがね」

ここまで突っ込んでくるお客さんは初めてです。

接客した営業マンも「まいったな~ 勘弁してよ~」と接客終了後には愚痴を言いながら事務所に帰ってきましたが、とにかくさんざんだったようです。

そもそも60年先などわかるのか?

皆さんもそう思いませんか。

60年保証と謳うある住宅会社は創業したのが25年前。

社歴の倍以上を保証するといわれても・・・ですよ。

ところがお客さんはこの保証期間が長いと「なんだかすごーい」となってしまうのですよね。

私は60年などというのはナンセンスだと思うのですが、そこは大手のハウスメーカーです。

知名度というか看板の力で信頼させるわけですね。

誤解のないように言っておきますが、60年保証を謳うメーカーを「そんなの嘘だ」と糾弾しているわけではありません。

ただ、そんんな長期間の保証が実際に履行されるのかな・・・という漠然たる不安感があるのです。

「弊社も50年保証にするかどうかを検討している最中です」

実はこのローコストメーカーでも、周囲の環境からやむを得ず50年保証にするかどうかを検討中でした。

あとは社長の判断なのですが、あまりにも現場でこのことをお客さんから突っつかれるのでやむを得ず動き出しました。

この原稿を書いている段階ではまだ決定していませんが、おそらくは50年保証体制を打ち出すと感じています。

「この写真を見てください」

ここまでくると病的だと言わざるを得ないのですが、このローコストメーカーが8年前に建築した住宅の写真を取り出して営業マンに見せたのです。
今度はどんなダメ出しをするのだろうかとカメラにかぶりつきになると

「白い外壁だと思うのですが北側に緑のコケらしきものがへばりついて見るも無残な状態になっています。これから新築してもこうなるということですよね?」

これにはまいりました。

事実ですから言い返しようがありません。

その写真を私は直接見ていませんが、営業マンに聞くとかなり緑がかったコケがビッチリとついていて、物件自体も間違いなく自社のものだったのです。

場所が川の隣であり、しかもそれが北側だったことも影響しているのでしょう。

湿気が原因なのは明らかですが、そうとはいえそんなに汚くなるのは論外。

カメラ越しにも営業マンが答えに窮してしどろもどろになっているのがわかりました。

文句を言ってすっきりと帰っていった

このほかにもまだまだ面白いシーンはあったのですが、誌面の都合上ここまでにしておきます。

それにしても変わったお客さんはいるものですね。

最初からけんか腰ならまだわかるのですが、最初はけっきょくのところ褒め殺しだったのでしょうか。

15分間ひたすら褒めておいてそのあとはケチをつけまくって留飲を下げる。

とにかく意図的に持ち上げて叩きまくるというストーリーを描いていたとしか思えません。

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