変人営業マン列伝

優秀な営業マンを育てるのが私の仕事。

しかし、優秀な営業マンを育てる過程では、でたらめな営業マンにもたくさん会います。

単に売れない営業マンならいくらでもいますが、変わった営業マンやどうしようない営業マンがいるのも事実。

今日のコラムはそんな妙な営業マンを3人紹介したいと思います。

ただ、断っておきますが、『変人営業マン=売れない営業マン』ではありません。

売れないし変だしもいれば、売れるけど変だしもいます。

とにかく変わった人はいるものですよ。

変人スーパー営業マンAさん

まさに昭和の化石

どう見ても化石。

古いやり方が悪いとは一概に言いませんが、とにかくどうしようもならない化石燃料のようなAさん。

やることなすこと古いので、部下はもちろんのこと総務や経理のも迷惑をかけているとのこと。

「俺は昭和のおじさんだ!文句あっか?」が口癖らしいのですが、直属の部下に当たる若手営業マンから洗いざらい聞いたことを書いていきましょう。

「めちゃくちゃ売るんですよ」

Aさんの成績はすごいの一言。

この会社は自社分譲も常に抱えているので、注文だけの会社よりは数字は伸びる傾向にあります。

ただ、それを含んでも、年間25棟~30棟の受注はすごいの一言。

毎月2棟平均ですが、この会社は契約後の色決めなどもぜんぶ営業が立ち会うことになっているので、受注を上げるとフォローにどうしても時間を取られます。

そんな営業体制にもかかわらずこの数字。

ひとまず営業力に関してはピカ一と言っていいでしょう。

長時間労働をさせないと気が済まない

近年の働き方改革で住宅業界も変革が訪れてるのは事実。

私が営業マン時代は毎日が午前様という状況でしたので、それと比較すると雲泥の差です。

ところがこのAさん。

意味不明な宿題を営業マンに課すとのこと。

事務所にダラダラと居残らせるわけにはいかないので、家に帰っても仕事を無理矢理やらせるのが目的らしく、その宿題内容もまったくもって意味不明なものばかりとのこと。

「長く働かせないと気が済まないとしか思えない」と彼は憤るのですが、不思議なのはこのことを社長もうすうす知っていること。

私が社長であれば即刻止めさせる事案ですが、おそらく社長の頭には「Aは売っているからな。へそでも曲げられて転職されたら大きな損失になる。まぁ、見なかったことにしておこう」という思いがあるのではないかと私は思っています。

私の上司にも同じような人間がいました

時代は『24時間戦えますか?』の平成初期。

時任三郎が出演する栄養ドリンクのCMソングがヒット曲になる時代でした。

そんな私の新人時代にもとんでもない上司がいたのです。

なんとこの上司は、午後に寝ぼけた顔で出社するのです。

ちょっと信じられないかもしれませんが、これが通用したのです。

もちろん直属の店長も支店長も知っていたこと。

ところが、彼の営業力はすごかったので、何とはなしに黙認という形になっていました。

私たち部下が帰宅するのは毎日午前様。

当の本人は体力が有り余っているので夜中まで延々とダラダラするわけです。

とくに夜の11時、12時などは目が覚めているピークだったと思います(笑)

変人女好き変態Bさん

今も現役でやっている営業マンですよ。

社内で若手の女子社員をとろんとした目で追う習性があるBさん。

だれも注意はしませんが、女子社員を中心に陰では「気持ち悪~い」となるのは当然の話。

この手の人は皆さんもこれまでの人生で出会ったことがあるのではないですか?

私も高校の同級生、大学の先輩、そして就職してからの合計で3人の該当者がいました。

ところがBさんは住宅営業マン。

つまり、折衝相手の奥さんと接点ができるわけです。

私は現場を見たわけではありませんが、お客さん夫婦が事務所や展示場へきて打ち合わせをするとき、奥さんが美人だったりすると周囲がひやひやするそうです。

さすがに襲い掛かることはありえませんが、瞬間的にいやらしい目線が出現するとのこと。

もちろん奥さんや旦那さんも気づくのでしょうね。

折衝途中で話が破断することが非常に多いのがBさんの常。

私はBさんを直接知らないし見たこともないのですが、機会があったらその現場を是が非でも見たいと心に誓っています。

モテモテ営業マンH君

H君は変人でもなければ女好きの変態でもありません。

その手の営業マンとは真逆で高身長の超イケメン。

コラムの趣旨とは違う余談になるのですが、H君はあるとき折衝中のお客さんである奥さんから昼に来てほしいとの連絡を受けました。

「話が進展しそうだ!」と喜んで自宅に向かったH君がドアのチャイムを押すと、奥から出てきたのはネグリジェをまとった奥さん。

目が点になり動転するH君に奥さんは「上がってちょうだい・・・」

「これはやばい!」と直感したH君は這う這うの体で逃げ帰ったそうですが、こんな話もあるんですよね(笑)

変人金ピカ営業マンCさん

とにかく金ピカ

50代、60代の方はわかると思いますが、今から35年ほど前の代々木ゼミナールに、全身金ピカで名を馳せた英語担当の佐藤先生という名物の方がいました。

晩年は生活保護を受けながら小さな木造アパートの一室で亡くなったとの報道があり、栄枯盛衰を感じざるを得ませんでした。

そんな金ピカ営業マンが住宅の世界にもいたのです。

今は引退していますが、営業車は黒塗りのベンツ。

エンブレムはもちろん金。

靴は白いエナメルで時計も金のロレックス。

このいで立ちでとどめはパンチパーマです。

ところがこのCさんが売るんですよね。

表題にした“変人”というニュアンスは少し違うような気もしますが、普通の営業マンとは明らかに異なるということで登場いただきました。

「俺は展示場接客なんてしないよ」

あっけにとられるお言葉。

私にこう言ったのですが、Cさんの営業スタイルを再現してみましょう。

Cさん「いらっしゃいませ。さぁ、どうぞご自由にご覧下さい」
お客様「はい、ありがとうございます」
Cさん「私は玄関におりますのでご夫婦だけでのんびりと見学してください。営業マンに付かれると嫌でしょう?(笑)」
お客様「あっ・・・そうですか・・・」
Cさん「ただお願いがあるのですが、見学した後に感想だけお聞きしたいのでこちらのテーブルにお越しいただけますか?」

ものすごいロジックでしょう。

こうやられたら帰り際に着座せざるを得ないのです。

つまりCさんは接客という労力を一切使わずに来場客を着座させてしまうのです。

そして、座ったらなんだかんだと話は長引き、Cさんの話術もあいまって具体的な商談へと発展していくそうです。

この話をCさん本人から聞きましたが、間違いなくダントツのトップ営業マンでした。

絶対に人がマネできないという意味では、変人営業マンと言ってもいいかもしれません。

番外編

女性なのですが接客をすべて和服で行うという社長とも会ったことがあります。

お客さんにとってはインパクト大でしょう。

住宅展示場だと思って中に入ったら、和服で社長がお出迎えするわけですから。

しかも、玄関ホールで正座をして「ようこそお越しいただきました」と三つ指をついて頭を下げるのです(笑)

番外編と書きましたが、十分に主力選手ですよね。

この方も強く印象に残っています。

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