住宅展示場に必ずあるのが子供部屋ですが、皆さんはどんな接客をしているでしょうか。
「将来のためにドアが2枚あり壁を取り払っています」という説明は定番中の定番ですが、もう少しだけ切り口を増やせば他社との差別化がより一層できると私は考えています。
しかし実際にはどうでしょうか。
子供部屋そのものがワクワクするような設計であれば話も弾むでしょうが、ごく一般的な造りの子供部屋であれば話もそこそこに終わってしまうのではないでしょうか。
「大きくなるまでは一つの部屋で」は基本中の基本
まずは基本中の基本を押さえましょう。
小さな子供が二人いる場合の家づくりでは、子供が大きくなるまでの間は二つの子供部屋を作るのではなく、壁を取っ払って二人で一部屋を使うケースがよくあります。
よくあるというよりは、住宅メーカー側が定番の話をとしてお客さんにするのですが、やはりしなくてはならない話ではあるでしょう。
お客さんにとっては初耳なこと
「大きくなったら二つに仕切って下さいと毎日言っていると、もうなんだか飽きちゃって面白くないですよね」
ある営業マンがこう言いました。
私も営業出身ですからこの気持ちはよくわかります。
しかし、これが営業マンの盲点の一つ。
営業マンですから毎日同じことを話すわけですが、毎日のように「仕切りは大きくなってからつけて下さい」と話しているうちに「お客さんはこんなこと知っているのではないか?」と思うようになるのです。
しかし、これは違います。
営業マンは毎日言っているので当たり前になっていますが、お客さんは毎日変わるのです。
だから、あなたにとっては飽き飽きした内容であっても、お客さんには熱意を持って伝えなくてはいけません。
ドアが二つある子供部屋の写真を貼っておく
子供部屋における接客で子供が小さなときは壁を作らない手もある、との話は鉄板ネタですが、展示場自体がこの仕様になっている会社は少ないはずです。
やはり展示場として見栄えはあまりよくないですからね。
ですから、子供部屋を接客する際にはあらかじめ子供部屋を仕切る前の実例写真を貼ってください。
九州のある住宅展示場ですが、ここは子供部屋が実にワクワクするつくりになっていて、部屋に入った瞬間「わぁ、かわいい~」と半分程度の奥さんが口にするくらいの可愛さ。
広さとしては10畳ほどでロフトが設定してあります。
奥さんのテンションが上がっているところで営業マンが「この写真をご覧下さい。こうしてお子さんが小さなときは壁を作らずにこうして・・・」とその実例写真を説明するのです。
子育て住宅思想に感化されていないかをチェック
まずは子育て住宅について説明しなくてはいけません。
知らない人のためにお話ししますが、私の知る限りでは2006年ころから出てきた発想で、これも推測にはなりますが四十万(しじま)さんという方が「東大に入った200人を調査したら多くが子供時代に子供部屋がなくテレビがついたリビングで勉強をしていた」という発表をしたことに始まります。
もちろん賛否両論あるわけですが、その当時はこの考え方がウケてテレビにも取り上げられたこともあり一気にブームに。
四十万さんもテレビ番組に出て認知度を広めていきました。
子供部屋が必要ないという話をしていないか?
私は少し極端だと思いますが、こんな話をしていないかをチェックしてください。
実際に子供部屋を作らない人はまずいないのですが、この話や発想を少しでも持っていればこの思想を持っていると推測できます。
接客していればわかりますが、小さな子供がいるのに子供部屋不要論を唱える人は普通いません。
それゆえに子供部屋を作らない選択肢もありというような話をしているお客さんは要注意です。
リビングには大きなコミュニケーションボード
これも子育て住宅好きな人の特徴的な項目です。
家族みんなが集うリビングにお互いにメッセージを書けるような大きめのホワイトボードを設置しよう、とうのが子育て住宅思想にはあります。
基本的にはこのボードで連絡をしあうというものですが、ちょっとした計算をするのにも使えますし、子供が黒板代わりにして勉強することも想定しています。
なぜ子育て住宅感化チェックが必要なのか?
これ以外にもユニークなものや首をかしげたくなるような発想もあるのですが、とにかく子供部屋を接客するときには、子育て住宅思想に感化されていないかを探る必要があるのです。
その理由は単純明快。
もし感化されていれば、子供部屋は当然ですが家全体の設計に大きな影響が出るからにほかなりません。
「子供部屋は作った方が良いですよ」とあなたが無理に勧めると「その考え方は私たちには合わない」となりかねないからです。
また、特に注意してほしいのは教育熱心な家庭。
もう10年前の話ですが、福岡に本社がある西部ガス主催で四十万先生の講演会をした時に集まった人は荒天にも関わらず400人。
講演の中で「東大に合格できるような子は・・・」などのキーワードが飛ぶと多くのお母さんが一斉にメモを取り始めるのです。
その場に私はいましたので「この思想に共鳴する人は教育熱心な何だな」ということがすぐにわかりました。
つまり、ここでメモを熱心にとった人が展示場にお客さんとしてやってきたら、間違いなく子供の教育には熱心であるわけです。
子供部屋の接客はもちろんですが、家づくりの話をしながら「弊社はお子さんの成長と学力向上に寄与するような家づくりを考えています」というニュアンスを出した方が効果が出ると判断できるのです。
子供に対する教育熱心度合いを探る
私が営業時代には、このことに注意をしていました。
子供に対する教育熱心の度合いを探ったのです。
塾の話や学校区の話をすればすぐにわかりますが、子供の教育に熱心だと分かれば必ずこんな話をした記憶があります。
「私は勉強をしやすい環境の子供部屋の設計は重要だと思う」
この2点を意識して話しました。
ただ、勉強をしやすい子供部屋といっても限界があります。
勉強をするのは子供本人ですから、間取りを良くしたから東大に合格するなどということは考えられません(笑)
ただ、照明やクロスの工夫などの話は積極的にしました。
たとえば照明に関しては、あまり刺激的な強さはいけないので柔らかな色合いと適度な照度の話をしましたし、クロスについても真っ白ではなく落ち着いた色目を提案したりしました。
内容としてはたいそうな話をしているわけではないのですが「私はお子さんの教育環境は大事だと思っています」というアピールが大事なのです。
私もお客さんに直接確認したわけではないので推測に過ぎないのですが、こうしてはっきりと意思表示をしたときのお客さんの表情は明らかに好意的でしたし、話も盛り上がったのも事実でした。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
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