工務店の方にとっては聞き捨てならないタイトルだと思いますが、今回のコラムは私が見聞きしてきた事実を書き連ねていきたいと思います。
アイ工務店を皆さんご存知ですよね。
まさに飛ぶ鳥を落とす勢いとはこの会社のことで、日本経済新聞の調査によると、この10年間連続で伸び率ナンバーワンの住宅会社と認定されています。
カテゴリーとしてはハウスメーカーに分類されるはずですが、名前はアイ工務店ということで工務店という名前がついています。
この名前を私の妻に話した時の反応から、コラムを書き進めていきたいと思います。
「アイ工務店って知っている?」
1年以上前ですが、私の妻に何気なくこう聞きました。
そしてこの質問に「結構お洒落な会社なんだよね」と私は続けたのですが妻の反応は意外なものと言うか、ある意味予想通りとも言えたのです。
妻 「アイ工務店?聞いたことがないけどなんかダサそうな感じ。工務店でしょ?」
工務店の方は気を悪くしないでほしいのですが、一般の方にとってはこのイメージがあるのは否めません。
今でこそ一条工務店の躍進によって、そのイメージも変わりつつありますが、【工務店】の響きが街場の大工さんというイメージと直結するのです。
その大工から来るイメージが、腕はいいのだけどもオシャレとは言えないな、とつながってくるのです。
ですから〇〇ホームや〇〇ハウスといった名称をわざわざつけて、横文字効果で現代的な雰囲気を狙う工務店が出現するのは、ある意味当然とも言えるでしょう。
アイ工務店もそこはわかっている
アイ工務店の展示場は何回も私は見学したことがありますが、ちゃんとこの問題を説明しているパネルが存在します。
こんな感じなのですが、これはまさに一般の方が工務店というものに対する固定概念を持っていることに対してのメッセージです。
それなのに、あえて工務店という名前を社名につけ、〇〇ホームや〇〇ハウスという名称を意図的に避けているんだ、と主張しているのです。
竹中工務店、鹿島建設などがいい事例ですが、工務店という名前をつけたり、カタカナを一切使用していないこの二つの会社に対して、カッコ悪いとか技術が遅れてると思う人は日本人にはいないはずです。
こう話すと「アイ工務店のアイは何なんだ?」と言われてしまいそうですが(笑)それは横に置いときます。
もし、私が今から住宅会社を起こすとすれば、法人登記名は森工務店というベタベタな名前でいきますよ。
私は日本が大好きなので、安易な横文字は何としてでも避けたいと常日頃から考えているからです。
私が経営している会社は、森住宅コンサルタント株式会社ですが、社名にカタカナを入れてしまったことを、今でも大きく後悔してるぐらいです(笑)
野球のストライクをヨシ、ボールをダメ、とまではさすがに私も言いません。
これでは戦時中になってしまいますからね。
このように工務店という名称を絶対に復活させるべきだと私は強く思っているのですが、ただ現実としては一定数の方が私の妻のような考えを持っています。
ホームページなどは絶対におしゃれに作成するべき
今月の下旬ですが、岐阜県のある零細工務店に顔を出すことになっています。
20年来の知り合いなのですが、この工務店がまさに前述したイメージそのもの。
②建築に対する尋常ではない知識
③曲がった事が大嫌い
まるで絵に描いたような大工さんをイメージするかと思いますが、これは全て事実で、特に建築に対する知識などは、そのまま大学の建築学科で教鞭を取れるんじゃないかというぐらい、理論的に体系化して話をする社長です。
ところがこんな 問題を抱えています。
②建物のデザイン性は今一つ
③SNSなどは一切やらない
デザイン性が足りない事実はどうしようもならないのですが、少なくともホームページは工夫とある程度のお金をかければかなりのオシャレ感を出せるはずです。
しかし、私が見る限り、社長はそれに対して重要であるという認識が乏しいとしか言いようがありません。
社長には妹さんがいて、建築とは全く関係のない企業に勤めているのですが「私も常々兄には言っているんですよ。デザインの重要性をもっと認識しないと、若い人たちには工務店は見向きもされなくなるよ」とのこと。
私の妻の話をしましたが、工務店という名称に対してあまりよくわかってない人を目覚めさせるためにも、ホームページの作り込みは最低限おこなっていただきたいと思います。
「工務店っておしゃれなんだ!」と認識させることが重要なのです。
SNSもうまく活用してほしい
SNSも然りです。
Instagramにお洒落な写真を掲載すると、お客さんの目に留まりコンタクトが増えることはすでに実証済みです。
Twitterでも構いませんし、YouTubeでもいいでしょう。
とにかく食わず嫌いをやめてこれらの事にはどんどんとチャレンジをしてください。
ハウスメーカーが地場工務店と競合する時の戦略を話ししましょう
これは私の話になります。
一般的には積水ハウスとかミサワホームなどといった大手のハウスメーカーが、地元の大工さんなどと競合することは極めて少ないと思います。
しかし、まれに競合することはあり、この私も地域柄の影響はあったかもしれませんが、記憶にあるだけでも10回以上は競合したことがあります。
私の地場工務店競合対策
昔の話になりますので今のようなSNSとか、パソコンで綺麗にプレゼン図面を書くという時代ではありませんでした。
しかし、今でも十分に参考になる話ですのでお聞きください。
私が徹底的に突いたのはデザイン性と信用性。
長文になりましたが、私の言わんとすることはお分かりいただけたでしょうか。
つまり地域の地場工務店は振り幅が大きいということです。
匠の会社にお願いすれば素晴らしい家ができるでしょうが、見てくれはよくても内容がひどい工務店に依頼してしまったら取り返しのつかないことになるということです。
これに対してハウスメーカーであれば、その辺は担保されるでしょう。
匠の世界は無理ですが、普通の方が住むにあたっては、全く問題ないものができるということです。
ただそのぶん保証料に当たる分だけ値段が高いという説明をしていました。
また、こんな姑息なことを私は行っていました・・・
営業車で街を流している時に、地元の工務店で作ったと思われる新築の家が目に入ることがあります。
②首を傾げたくなるようなデザインの家
極論するとこの二つが存在します。
デザイン性に優れた家は無視、そのまま通過です。
しかし中には「この外観はさすがにないよな・・・」と感じる大工さんの建てた家があります。
こうした時、私はすかさず車から降りてその家の周囲を回ります。
色々な角度から観察した上で「どの角度から撮影したら一番格好悪いだろうか?」と考えて写真を撮りました。
このようにして地場工務店の写真集を作り上げたのです。
そして、 地場工務店と競合した時にお客さんにこの写真集を何気なく見せるわけですよね。
お客さんの反応は言うまでもありません。
当たり前です。
そう見えるような撮り方をしているわけですから必ずこうなるのです。
しかし、その当時の私の営業エリアには、デザイン性も優れた地元の有力な工務店が存在しました。
大工さんの腕が極めて高いことで有名で、その上インテリアコーディネーターを揃え、デザイン性も細かいところまでお施主さんの要望に応じる体制をとっていました。
時効だから話をしますが、この工務店との勝率は積水ハウスの完敗。
さほど規模の大きくない地場工務店でも、デザインをしっかり訴求していくと大手ハウスメーカーが敵ではなくなるのです。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。