これから住宅展示場を建設する工務店の皆さんへ

大手ハウスメーカーやパワービルダーは、当たり前のように住宅展示場を構えて集客を図っています。

しかし展示場の出店費用はもちろんのこと、その維持費も当然必要ですので、思いつきで出すわけにはいけません。

住宅展示場のメリットはたくさんありますが、問題はそれでペイするかどうかなのです。

ハウスメーカーは莫大な費用をかけて展示場出店していますが、もちろんそれは全て住宅の価格に跳ね返っています。

お客さんもその辺りは十二分に承知なのですが「保険料の一種だよね」と考える人も少なくなく、それなりにやっていけるのが現状です。

しかし、お客さんは大手ハウスメーカーや住宅フランチャイズの展示場だけではなく、地元に根を張った地場の工務店の住宅展示場も見学したいとの考えを持っています。

今現在住宅展示場を出店しようと計画している工務店さんや、頭の片隅でもいいので出店を考えてる方へ向けてのコラムを今日は書いていきましょう。

来春オープン予定の展示場作りに関わっています

関東地方にある工務店。業績がなかなか好調なので、ついに一棟目となる展示場を出します。

社長とは20年来の付き合いだったこともあり「ちょっと手伝ってよ」という軽い感じの誘いがきっかけで、1年間関わることになりました。

地場工務店の展示場はみんなが見たがっているが問題点も

ハウスメーカーなどの展示場の家は簡単に見ることができるのですが、地元の工務店の家を見る機会はほとんどないのが実情でしょう。

私は積水ハウスに勤務していましたが、今でもその当時のことはよく覚えています。

展示場の事務所に詰めていると、来店を知らせるチャイムが鳴ります。

営業マンは順番で出て行くのですが、私の記憶では接客した方の70%はハウスメーカーではなく、地元のパワービルダーや工務店で家を建ててるはずです。

その原因はいろいろあります。

ハウスメーカーでは値段が高すぎて手が出ない、という理由で断念する方が多いこともあるでしょう。

ただ意外にこのような理由もあるのです。

①ハウスメーカーではやる気はないがとりあえず来てみた
②地場工務店でやると決めているが展示場がないのでとりあえず来てみた

このようなお客さんは半分近くいると私は踏んでいます。

地域性はあるかと思いますが、そんなに大きな誤差はないでしょう。

つまり、お客さんは地元の工務店が建てた家を見学したいという希望を持っているのです。

しかし運営上の問題も当然発生します。

地場の工務店が住宅展示場を建てた場合、総合住宅展示場に入ることはできませんので、おそらくは自社で土地を買ったり借りたりしてそこに単独展示場を建てることになります。

単独展示場で問題なのは集客。

総合住宅展示場の良いところは、他社メーカーがたくさん建っているので、お客さんは気軽にそのエリア内に行ってくるのです。

ところが単独展示場というのは、そもそも入りにくいという問題があります。

敷地内の駐車場に入った瞬間に、事務所内からロックオンされるわけですから、なんとなくふらっとは行きづらいと考えるのが普通です。

その逆に単独展示場に行ってくるお客さんは、どこのメーカーにするかは分からないものの真剣度は高いのです。

また、単独展示場を建てる場合には立地や間取りはもちろんですが、 展示場内の装飾をどうするかなどを含めて入念に準備をするのが必須となります。

関わり始めた工務店は展示場オープンの8ヶ月前からお手伝いをしています

どうしてもこのぐらいはかかると思ってください。

地場工務店が展示場を建てることはかなりの冒険です。

私が社長であればなかなか踏ん切りがつかないでしょう。

この会社で8か月間で私がやることを書いてみます。

① 展示場マニュアル作成

私はこれを必須としています。

マニュアルと聞くとなんだと無味乾燥なつまらないものを想像されそうですが、これに関してはピンキリだとお考えください。

ありきたりの説明だけに重点を置いたマニュアルではあまりに面白くないです。

もちろん説明というのも重要ですから、入っているキッチンがどこのメーカー製であるとか、標準の天井高が何〇〇mであるとか、リビングダイニングが何畳あるとか、といったことはマニュアルには当然入れます。

それ以外に私が重視するのは、お客さんの生活状況をいかに自然に聞き取るかというトーク、お客さんから出てくるかもしれない突発的な質問にどう答えるかという返答方法、家とはまるっきり関係のない雑談、などについて細かく作成していきます。

②営業マン教育

営業マンがいると仮定しますが、展示場マニュアルも使いながらロールプレイングを徹底してやります。

ロールプレイングを軽視している経営者が非常に多いのが気にかかるのですが、頭で理解しているのと実際にお客さんに話しかけるように説明するのとではまったく事情が異なるのです。

例えば、お客さんから「おたくの会社はどんなアフターサービス体制になっているのですか?」と聞かれたとしましょう。

これを棒読みで話すのと、目の前のお客さんにわかりやすく説明するのとでは全く違うことは、皆さんもお分かりだと思います。

私は住宅営業マン研修でもロープレを必ずやるのですが、簡単な内容であっても、実際に言葉に出させると詰まる営業が続出するのが実態です。

ロープレ以外にも様々な営業ノウハウを私から伝えますが、このような座学も極めて重要だとお考えください。

③展示場設営

展示場を作るからには中のディスプレイをどうするかという問題が発生します。

あまりに安っぽい家具を並べても駄目ですし、ローコストの住宅を作っているのにやたらと高価な調度品を並べるのも何かちぐはぐな気がします。

また、住宅展示場はお客さんに着座をしてもらい、ゆっくりと話し込む仕掛けが必要になります。

そのため、見学途中で足を止めるように写真を貼ったり、座って話ができるようなスペースを複数設けるなど、それなりの仕掛けと工夫が重要なのです。

例えば建物の外観だけを写した写真を、たくさん並べて展示場のあちこちに掲載します。

実際に展示場を23年間見てきた私ですから自信を持っているのですが、展示場の中を歩きながら見学するお客さんの多くが、外観の写真が複数貼ってあるイーゼルの前などに差し掛かると立ち止まってみるケースが非常に多いのです。

そして、その外観をご夫婦で見ながら「私はこの白いのがいい」「この屋根瓦はあまり好きではない」「もっと可愛い色がでないと」などと意見を言い合う光景が散見されます。

このように上げていくとキリがないのですが、入念に案を練り準備をしていくとかなりの時間がかかるのです。

色をしっかり決めた展示場作りを

私が関わり始めた会社も、この問題ではずいぶん悩んだようです。

何の特色もない一般的な展示場では勝ち目はありません。

また、新築が減るということを考えると、ついついローコスト住宅にも目が行きがちですが、この方針には私は反対です。

中高級路線で攻めるか、もしくは北欧調など明らかに他のメーカーとは違うような色を出すことです。

ハウスメーカーに向こうを張って数多くの集客数を狙う必要はありません。

「こんな家に住みたかったんだ!」

という特異性を出せばいいのです。

ユニークな宣伝で有名になったRIZAPを皆さんご存知だと思います。

しかし、RIZAPが住宅事業に乗り出していたことを知っている人はほぼいないでしょう。

今は手を引いてしまったのですが、かつて運営していた住宅会社は、非常に特徴のあるユニークな住宅を展開していました。

RIZAPの経営自体がいろいろあったので住宅協会からも手を引いてしまったのですが、狙いそのものは全く問題がなかったと私は思っています。

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積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。

コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。

今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。

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