売上の基本は「単価×数量」と言われる。
不動産仲介業において、この数式を理解して事業を推進することはとても重要だ。
また営業メンバーにおいても、この単価と数量のバランスを考えて営業活動を行うだけでかなり効率的な動きができる。
この単価と数量を上げる方法のなかで「単価」を上げる方法は、賃貸仲介業務のなかでは「仲介手数料を満額受領する」、「広告料付の物件を成約する」、そして「賃料の高い物件を成約する」という3つの方法から構成される。
今回は、この賃料の高い物件、いわゆるグレードの高い高級賃貸物件の効果的な仲介方法を紹介したい。
都心部にある「高級賃貸物件」に対する仲介営業活動は、通常の物件に対する活動とは趣が異なる。
同じ賃貸仲介業でも日常的な業務自体に違いがあるようだ。
いきなり単価を上げるために高級賃貸物件をメインに事業を行ってもなかなか上手くいくことは少ないだろう。
しかし地道に時間をかけていけば、収益構造を変えていける可能性もある。
是非参考にして頂ければ幸いだ。
エリアと価格帯を決めて広告掲載を行う
都心部のエリアの高級物件に対して無計画に掲載を行い、自社の広告媒体の割合を一気に変えてしまうことはリスクのほうが大きい。
反響も減少してしまうし、売上も安定しないだろう。
高級賃貸物件を掲載ししっかりと成約数を取っていくためには「エリア」「賃料帯」を特定し、計画的に掲載していかなければならない。
自社の掲載物件、エリアのなかでどのような割合で高級賃貸物件を掲載していくのか、を考えなければなかなか軌道には乗ることは難しいだろう。
また基本的にハイグレードな物件で反響獲得するためには、写真や動画などの素材の充実も必須だ。
どの競合他社でも、このあたりの写真の内容、枚数、動画などのコンテンツ制作に力を入れている。
このあたりをおざなりにしてしまうと反響の獲得は難しい。
自社サイトで集客を行うか否かの方針
グレードの高い物件を求めるユーザーは、ポータルサイトで物件を検索する以外にGoogleなどで「物件名検索」を行う。
物件名検索で上位を取れる不動産会社は、このジャンルにおいて圧倒的な優位性がある。
今からゼロスタートでSEOによる反響獲得を目指す場合は、かなり難易度が高いのが現状だ。
それでもコツコツとコンテンツを貯めていきマーケティングコストを投下すれば、それなりに上位には上がることはできるかもしれない。
しかし、かなり時間を要する可能性が高いので、自社サイトで高級物件による集客を行う場合は充分に検討をしたほうが良い。
またSNS等での集客戦略もかなり地道に物件を掲載し続けなければいけない。
このあたりも成功する近道はない。
一番まずいケースはとりあえず高級賃貸物件サイトを作ったり、SNSアカウントを開設したものの「リアルタイムの更新ができない」「掲載数が少ない」「SEOが効いていない」「マーケティングコストを投下できない」場合だ。
ただそうはいえども、自社サイトを育て上げ、反響を獲得できることは大きな事業の武器になるので、ひとつの選択肢として考えてみてほしい。
とにかく新着情報の取得スピードが重要
高級賃貸物件を得意とする不動産会社は、なによりも「物件情報の取得スピード」が非常に早い。
各管理会社の業者間サイトのチェックのみならず、担当者ベースで仕入れた情報などを素早く取得し、掲載を行う。
このあたりのスピード感は、通常の賃貸物件のスピードよりはるかに早いイメージだ。
ユーザーも検討物件などをかなり感度が高く調べているので、情報取得が遅いと命取りになってしまう。
それなりの実績が出てくると管理会社の物件データとAPI連携などを行い、自社サイトにリアルタイムで物件情報を掲載することができるようになる。
しかし、そうした成功例はやはりまだ少ない。
個別での情報取得の活動が物件掲載においても、営業においても鍵を握っていくのだ。
営業メンバーは、「エリア」と「高級物件」のプロでなければならない
とある物件は、スポーツジムが充実している。
とある物件は、コンシェルジュの対応が良い。
とある物件は、3ナンバーの駐車場に空きがある。
このようなかなり具体的な物件情報を営業メンバーが理解しているかいないかで大きく売上に差が生まれる。
ユーザーが仲介会社を選ぶ際に、手数料以外では「営業マンの信頼度」が重要視される。
そして信頼度の大半を占めるのが「物件知識」である。
しっかりと検討しているユーザーに、適切な情報を過不足なく伝えられるかどうかが大きな鍵になるだろう。
逆に、物件知識、エリア知識が乏しいとなかなか、継続的に高い売上を維持するのは難しいだろう。
よく「高級賃貸物件を扱って売り上げを増やしたい」という相談を受けることがある。
しかし最低でも今回紹介した項目をクリアしなければ、なかなか厳しいのではないかと感じている。
しかし一方で、上記を愚直に実行していけば、しっかりと事業として成立させることができる。
冒頭に述べたように高級賃貸物件を扱うと、大きく単価は向上することができるのだ。
是非、一度検討してみても良いのかもしれない。
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