工務店であれハウスメーカーであれ、競合なくして受注を取ることはほぼないと言ってもいいでしょう。
どんな折衝案件であっても、大なり小なり競合会社が現れるので、 彼らを意識した折衝にならざるをえません。
私がかつて在籍した積水ハウスの店長は「競合なんか気にするなよ!!」と常々話しており、私もそれなりにこの指導を受け入れていましたが、結論としては、競合を意識した動きをしないと受注が減ると私は思います。
競合に振り回されるのは得策ではありませんが、ちょっとした知恵と工夫で折衝を有利にできるならば、積極的に検討すべきではないでしょうか。
外構の提案をする
あなたの住宅会社では、お客さんにプラン提案をするときに外構も同時に提案するでしょうか。
多くの会社では、おそらくやっていないはずです。
理由は明快で、外構提案をしても、受注できないケースが圧倒的に多いですし、そもそも工務店の本業とは違う分野だからです。
営業や設計にたまたま外構に明るい人間がいれば、知識もありますしそれなりの提案もできるでしょう。
しかし、一般的にはそのような人材はいないので、外構提案をする場合には、外部の専門業者に丸投げをして見積もりを出してもらうことが大半だと思います。
受注率が低いから手間なだけ
丸投げしたとしても、受注さえできればそれなりの手数料も稼げますので提案する意味はあるのですが、住宅営業現場の現実を見ると受注率は低いので単なる手間でしかないのです。
簡単に言うと、面倒くさいということです。
私の現役時代もそうでしたが、お客さんから外構の見積り取って欲しいと言われない限りは、自ら積極的に見積りをとることは皆無でした。
しかし、見積もりまで出さなくても、外構の図面を添えるだけで、受注率が上がることを私は経験上知っていたので、見積もりは出さないものの必ず外構提案をしていました
外構提案をするとなぜ受注率が上がるのか?
核心部分をお話しましょう。
ものすごく簡単な理屈なのですが、競合会社が建物のプランだけを提案したと仮定します。
これに対して、あなたはプランに加えて庭のプランも書いて提出したとします。
見積もりはつけなくてもかまいませんが、確かにその分の手間がかかるので一見すると無駄骨に感じるでしょう。
お客さんが楽しいと感じるのはどちらか
この質問にあなたはどう答えますか。
無味乾燥な建物の間取りだけを書いた図面よりも、それにプラスアルファして庭の絵が書いてあった方が楽しいに決まっているではないですか。
これが私の結論です。
見栄えがするし、お客さんもワクワク感が高まりますし、その外構プランを題材にして営業とお客さんで話ができます。
これ以上の説明は不要でしょう。
外構の知識をつけよう
しかし、外構についてある程度の知識がなくては、話を膨らましようがありません。
①シンボルツリー
新築と同時に庭のどこかにシンボルツリーを植える提案をしてみたいところです。
ここで必要なのは木の種類ということでしょう。
「どんな種類でもいいからシンボルツリーを植えてみませんか?」
これでは格好がつかないですよね。
栗の木でも樫の木でもいいのですが、具体的な品種の名前を出して、 それぞれの特徴を簡単に説明できる程度に理論武装をしましょう。
②芝生
庭と言えば芝生です。
芝生にもいろいろ種類がありますが、覚えてほしいポイントは、芝生の根付かせ方やメンテナンスの話です。
芝生の問題点やよくあるトラブルは、新築時に芝生を綺麗に貼ったものの、うまく落ち着かずに結果的に枯れてしまうことです。
このあたりの話ができると商談が盛り上がります。
③カーポート
駐車場全般の知識があると、さらにいいですね。
庭をしっかり作り込むと、お金がかなりかかりますが、駐車場だけは最低限作るケースが圧倒的に多いです。
カーポートの屋根だけとっても、片足、両足がありますし、その素材や質感なども多岐にわたっています。
それぞれの利点欠点を覚えておけば、ほかの話同様に盛り上がることは間違いありません。
余談ですが、台風などの災害でカーポートが壊れた場合には、火災保険が一般的には適用されますので、そのあたりの知識も身につけておきたいところです。
④ウッドデッキ
これは鉄板ネタです。
ウッドデッキをつけるかどうかに関しては、多くのお客さんが悩むところでしょう。
私が今から家を建てるのであれば、たとえ庭が狭くてもウットデッキを作ります。
また、ベランピング、庭ンピングという言葉を聞いたことはあるでしょうか。
二つとも造語になりますが、アウトドアブームを受けて、にわかに注目されてきたキーワードです。
注目されてきたキーワードですから、お客さんにこの言葉をぶつければ、盛り上がる可能性が充分にあると推測できます。
特に注目して欲しいのは、アウトドアブームでしょう。
アウトドアというと、郊外に出かけてキャンプをするなどというイメージがありますが、そこまでいかなくても、自分の庭でアウトドア を実現することに注目が集まっているのです。
ベランピング、庭ンピングなる言葉をご紹介しましたが、これらの言葉に関するちょっとした裏話をしましょう。
私は住宅営業関連記事はもちろんですが、エンドユーザー向けのウェブ記事の多数書いています。
不動産会社のミカタさんで書いているコラムは、テーマ選定や内容はすべて私が決めて行っているのですが、エンドユーザー向けの記事では、先方さんからテーマや記事内容を指定されることが結構多いのです。
今から3~4年前になりますが、ある会社から連絡があり「ベランピングについて記事を複数書いてください」との依頼を受けたのです。
この会社だけではありません。
同じような内容を書いて欲しいと、複数社から連絡がありました。
このような言葉は初耳だったのですが「アウトドアブームを先取りして、新築一戸建ての庭でアウトドアを体感するブームを作り出そうとしているな」とすぐに分かりました。
何でもそうですが、これらの広告媒体はブームを先取りして先に発信する手法を取ります。
私にはこれらの情報が集まりますので、アウトドアブームの波をある程度予期していたのです。
まとめ
今回は外構、平たく言えば庭ですが、見積もりをする必要はないので図面を描いてお客さんに提案することをお勧めする記事でした。
私自身も経験していますし、今のコンサルティング先でも積極的に推進するよう指導しています。
その上で、芝生やベランピングなどの言葉にも精通し、お客さんの前で話をしてもらえれば、商談が盛り上がって和やかな空気で進む確率が高まるのです。
知っていても無駄な知識ではないので、暇を見つけて情報収集をするよう努力をしてください。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。