私はこうして競合に勝った⑥・・・ 相手が自滅

相手が勝手に自滅して受注が転がり込む。

これは最高の勝ち方だと思いませんか。

もちろん、こちらも様々なプラン提案や、デザインの提案をして注文住宅の新規受注を取りに行くわけですが、受注や失注の分析をすると、実は相手の自責点によるダメージによって、自ら脱落していくこともかなり多いことがわかるのです。

お客さんの言うことを聞いていない、営業マンのデリカシーが欠如している、約束を守らない、他社の悪口を言うなどさまざまですが、このような事例を今日はご紹介していきます。

内容を読むと「なんでこんなことが分からないのだろうか?」と首をかしげたくなる事例も多いのですが、あちらこちらで耳にすることですので、皆さんの会社でも同じことが起こっている可能性は充分にあると推測できます。

営業マンAさんの競合勝ち話

今日も実際にあった事例を取り上げていきましょう。

名古屋在住のAさんの体験談です。

Aさんは小規模の設計事務所に勤務する営業兼設計を担当する中年男性ですが、3年ほど前に競合した全国区大手ハウスメーカーに競合勝ちした経験を話してくれました。

Aさん「私は競合に勝つとお客さんに対してどうして自分を選んでくれたかを必ず聞くことにしています」
私  「では、そのときも理由を聞いたわけですね。お客さんはどう答えていましたか?」
Aさん「結論を先に話すと敵会社の完全自滅です(笑)にわかには信じられないようなことお客さんが言っていたのですが、大手ハウスメーカーの30代らしいですから、入りたての新人というわけでもないんですけどもね」

ここからの話は私がまとめます

Aさんに色々と話を聞いたのですが、相手が自滅した主な原因は次の3点だったようです。

自滅ポイント①

営業マン,下向き矢印

奥様と営業がなんとなく波長が合わなかったというのが一番大きな原因だったのです。

「営業さんとは生理的に合わなかったです」

これを言ったらおしまいなのですが、奥様は生理的に合わなかったとはっきりと話したとのこと。

この領域に入ると、具体的に何が悪いというよりは、言葉遣いや物の喋り方あるいは物腰という次元の話になります。

事実、奥様に具体的な話を聞いても、本人も何て言ったらいいかわからないけれども、なんとなく嫌だったのですという答えしか返ってこなかったそうです。

ただ、ごく普通に対応していればここまで言われることは通常はないので、若干癖のある営業だったと推測できますね。

自滅ポイント②

これも奥さんの意見ですが、敵営業マンの服装のセンスなどを含めて「かなりダサかった」とも強調していたそうです。

写真はありませんし、相手会社の営業と顔を合わせたわけでもないので推測の域は出ないのですが、奥さんの話を総合すると、大手ハウスメーカーで、デザイン性の高さにも期待をもって折衝に臨んだのに、少し寄れた安っぽいスーツに曲がったネクタイをして、おしゃれにはあまり気を使ってない雰囲気がどうしても癪に触ったとのこと。

ハウスメーカーならば、営業マンもおしゃれなスーツで決めて商談に臨むのは当然だと指摘していたそうです。

この話を聞いて私も昔を思い出しました。

新入社員研修の時でしたが、清潔感のある服装をすることがいかに重要かということを、研修担当者が口を酸っぱくして話していました。

もちろん新入社員ですから、10万円もするようなスーツは買えませんし着る必要もありません。

しかし、安いスーツでも清潔感を出すことは営業マンの意識次第で充分にできるでしょう。

「可能であればポケットチーフをしなさい」

研修担当者は当時ここまで指示をだしていましたが、さすがにポケットチーフをして営業をする新卒者はほぼいなかったと記憶しています。

でも、今思えばポケットチーフをして、ビシッとお客さんに対応すると、特に奥さんには好感触を与えられたのではないかなと今は思っています。

ただし、これには異論もあるでしょうし、現実問題どちらが良いとは言えません。

つい最近取材したお客さんが「〇〇ホーム(全国区有名メーカー) さんも良かったのですけども、営業の方がホテルマンのような対応するので疲れちゃったんですよね。それに比べて〇〇さんはラフな感じで話しやすくてとても良かったです」と答えていました。

結論としては、清潔感のある服装で身だしなみをパリッとすれば大丈夫、ということでしょう。

自滅ポイント③

お客さんの要望をあまり聞いてなかったらしいことが、自滅ポイントの3番目になります。

端的に言えば、営業のレベルが低いと言わざるを得ないでしょう。

お客さんが夢を持ってあれやこれやと営業に要望を伝えるわけですが、 出てきた図面がその内容からかなりかけ離れたものだったそうです。

これだけ聞くと「そんなばかなことはあるだろうか」と思われるかもしれませんが、コンサルティングの仕事をしてお客さん取材を重ねていると、意外にも上位に食い込んでくる敗退原因だと考えください。

このケースでもいろいろ話をされていたようですが、最も大きな理由がリビングの広さにあったそうです。

20畳のリビングの確保は、ほかの間取りを犠牲にしても最低限確保したいというのが、ご主人と奥様共通の強い要望でした。

ですから、営業としてはこの線だけは死守した上で、ほかの部分で予算に合わせるよう、間取りを削るプランニングをするのが普通でしょう。

ところが、予算がオーバーすることを盾にして、20畳のリビングのはずが16畳に抑えられていたそうです。

お客さんは当然このことを指摘するわけですが、営業マンは平然と「予算が足りないのでここは抑えさせていただきました」と答えたらしいのです。

さすがにこれでは、商談を継続する気にはならないでしょう。

お客さんにすれば、あれほど強くリビングの広さだけは念押しをしたのに、予算の関係上の一言だけでプランを変更してくる営業の態度が信じられなかったのでしょう。

敵会社の営業に断りを入れたところ

こうした経緯でお客さんは、この会社に断りの電話を入れたそうですが、相手の営業マンはその断りを全く予期していなかったらしく、電話越しでずいぶん粘ったとのことでした。

ただ、ここからが問題です。

電話口でこのお客さんは何かしらの断り文句を伝えるわけですが、今上げた自滅ポイントの3点は全く相手に伝えなかったのです。

「〇〇ハウスさんが400万円の値引きをしてくれました」

このような事実はなかったのですが、相手が絶対に食いついてこないように、とんでもない嘘をご主人が付いたのです。

さすが、400万円の値引きをしたと言えば、相手も諦めるだろうと思っていたらしいのですが、この言葉を相手営業が真にうけて400万円を上回る500万円の値引きを提案してきたら「そうしたら向こうにいったと思います(笑)」笑っていたとのこと。

しかし、現実には400万円値引きには対抗できずに引き下がったわけです。

このように競合負けするときは、お客様に何かしらの理由を言われて断られるわけですが、その理由が本当かどうかは極めて怪しいと考えた方が無難でしょう。

特に値引きはその最筆頭格です。

相手が大きく値引きをしたとお客さんが言った場合は、半分以上嘘だと考えた方がよろしいかと思います。

まとめ

今回の内容はいかがでしたか。

こちらの提案力が優っていたとか営業の人間性が素晴らしかったという理由ではありませんでした。

明らかに相手会社の自滅による受注なのです。

今回はこれで良かったわけですが、読者のみなさんにご忠告したいのは、自分の会社の営業社員がこのような行動を取っていないかということでしょう。

今一度、チェックするようお勧めします。

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