不動産会社に〇〇力が加われば鬼に金棒

さまざまな分野のプロフェッショナルがこのコラムに寄稿していますが、サイト運営会社は【不動産会社のミカタ】さんです。

その名のとおり不動産会社の方が多くの読者を占めるサイトですが、私の専門は新築住宅やリフォームになります。

今日のテーマは、私が以前から常々思っていたことをお話ししましょう。

タイトルにもあるように、不動産会社に〇〇力が加われば鬼に金棒。

今日はこの〇〇に当たる部分のお話です。

自分のフィールドに居ると見えないことは多々あります。

私のように不動産専門ではない人間は、みなさんには見えないものが見えているかもしれません。

参考になるかならないかは皆さんでご判断いただければと思います。

〇〇力は注文住宅営業力

最初に答えを書きましょう。

不動産会社が力をつけるために、新築の注文住宅営業の視点をプラスアルファーすれば鬼に金棒ではないでしょうか。

私は30年以上前からこう考えていました。

積水ハウス時代から今に至るまで、不動産会社の皆さんとはいろいろな場面で交流がありましたし、積水ハウスの関連会社にも積和不動産があったので、日頃から色々とやり取りをしてきた人間の考えです。

福岡県のとある不動産会社(B社)での出来事

大昔の話をしても仕方がないので2年前にあった事例をご紹介しましょう。

この会社は福岡県内にある不動産会社ですが、ある全国の分譲メーカーの販売代理も積極的に行い、それなりの実績をあげている会社です。

あるとき、私の知人が県内の4戸建分譲地を見学したいので付き合ってくれないかとの電話がありました。

面白そうだったので二つ返事でOKした私は、当日福岡の小倉駅で待ち合わせをして、そのまま一緒に車で現場まで向かいました。

現地にはまったく同じ形をした長方形の建売が4棟建築されていましたが、狭いところに詰め込んだ建売なので、隣との外壁の間隔はほとんどないような住宅でした。

外で車を停めると担当営業が出てきて、挨拶もそこそこに室内の案内が始まりました。

「不動産会社の営業と注文住宅の営業では案内の仕方が全然違うなあ」

久々に話を聞いたのですが、私が抱いた感想はこうでした。

餅は餅屋と言いますが、やはり建物を案内するのは、注文住宅営業の方が奥深くまで突っ込める技を持っているような気がしてなりません。

具体的な会話でこの辺りをご説明しましょう。

主寝室でかわされたこんな会話

会話,男女

営業「こちらが主寝室ですね。8畳ぐらいありますので、ベッドも充分におけますし大きなクローゼットも付いていますので収納も申し分ないですよ。どうですか?」

友人「そうですね・・・確かに広いです。日当たりはどうなのですか。見た感じは問題なさそうですが」

営業「今日は曇っていますけども、南側には建物がないので燦燦と日の光が入ると思います。こんな条件のいい住宅が2,000万円を切って販売されることはまずありませんよ」

こんな感じで会話は進んでいきました。

言っていること自体に何か間違いがあるわけでもありませんし、嘘を言っているわけでもありません。

説明をもう少しだけ深掘させると大きく変わる

① 8畳あるから充分ですよ
② 大きなクローゼットもあります

基本的にはこの二つが説明のポイントだったのですが、私の友人にとっては、8畳が充分な広さなのかどうか不明なのですから、しっかり確認すべきでしょう。

注文住宅の営業であればこんな質問を加えるはずです。

・ 今は何畳の部屋で寝ているのか
・ 今はベッドか布団か
・ 夜勤のある仕事かどうか
( 昼間眠る必要がある場合は音と光の問題にも触れる)
・ 寝室の広さに対する要望はあるのか
・ 奥さんは寝室にどのような考えを持っているのか
・ 主寝室のウォークインクローゼットは どんなものを収納する予定でいるのか
・ 今の生活で収納に困っていることは何か

私であればこのようなことを話題にします。

これだけネタを放り込めば、話は相当広がることでしょう。

もちろん、お客さんから出た疑問や質問に対して納得できる回答をして「この建売は悪くないな・・・」と思わせる必要があります。

話のメインテーマは資金計画だった

建物の説明もそこそこに、メインテーマはお金の話になりました。

安い分譲住宅であるので、お金の話が中心になるのは私も否定しませんが、この時の会話には私はかなり驚きました。

営業「予算はだいたいを決めですか」

友人「細かく計算していませんけども、頭金も持できれば一円でも多く出したくないということもありますし、とにかく安く住宅を手に入れたいのですよ」

営業「車のローンはありますか」

友人「あと100万円ぐらい残っています」

営業「それ、うちがいったん立て替えますよ」

ここまでやるのかとびっくりしましたが、確かに魅力的な営業トークではあります。

いったん車のローンを帳消しにしてローンを通過させたのち、その中から立替分を支払ってもらうスキームです。

もちろん、こんなやり方はご法度なわけですが、私の目の前でこの営業はこういったのです。

友人は極めて予算がないという状況で、安い建売案件に来場していますから、営業がお金の話に集中すること自体は間違ってはいないでしょう。

ただ、私から言わせれば、お金の話に加えて建物自体を魅力的にアピールすれば、売れる確率は間違いなく高まると推測できるのです。

畑違いの私から見ると、この部分の力を不動産会社の営業マンが身につければ、確実に売上がアップすることは明白だと思いますがどうでしょうか。

この話とは逆に注文住宅を取り扱う営業マンは、不動産会社の営業マンから学びたいという気持ちがあります。

住宅営業は本来住宅を売るのが仕事なのですが、現実には来場者の7割が土地を求めているお客さんなので、家を売る前に土地を探さなくてはなりません。

土地を探したらそれをお客さんに紹介するのですが、これがなかなか決まらないという悩みを持っています。

まさにお互い様とはこのことで、これらが上手く補完し合えば、お互いに営業力が上がり売り上げも上がるでしょう。

注文住宅の手法を勉強するべき

いかがでしょうか。

外部講師を招いて注文住宅販売方法のポイント教えてもらってもいいですし、書籍やネットからネタを持ってきて、それをみんなで勉強するというのもあるでしょう。

とにかく、今回お話ししたことは、私が積水ハウスで戸建て営業をやっていた時から感じている違和感です。

その当時、積和不動産の人間と話をしたことがありますが、彼は不動産一筋なので注文住宅の感覚が全く分かりません。

土地同様に建物も一つの物件として捉えるわけですが、注文住宅メインで育った人間はそういう見方をしては駄目だと教わってきました。

おそらくは、そのあたりの違いでしょう。

前述しましたが、不動産業界と住宅業界ではお互いに交わらない部分がかなりあります。

不動産営業が建物を全く扱わずに地面だけで勝負するならいいのですが、分譲住宅や建売住宅など家を扱うのであれば早い機会に勉強することをお勧めしたいと思います。

まとめ

今回のテーマは以前からどこかで書きたいとずっと思っていたので、今回はずいぶんすっきりとしました。

なんといっても30年にわたって頭の片隅に引っかかっていたことだったからです。

文中に書いた不動産会社の営業マンの接客を受けて感じたのですが、不動産営業のテクニックに注文住宅の販売テクニックを加えれば、相当変わるはずです。

皆さんがこれをどう捉えるかわかりませんが、これが長年にわたりコンサルを行ってきた人間の偽らざる気持ちです。

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