ライバルより多くの新築受注を私ができた理由をお話しします③・・・興味のないことは話さない

「興味がないことは話さない」はさすがにオーバーな表現ですが、私が多くの契約を取れた原因の一つは、お客さんに話すことや伝えることをかなり選んでいたことも大きかったと自己分析しています。

営業職にある以上やむを得ないのですが、どうしてもぺらぺらぺらぺらと、自社のアピールをする営業マンが多いと思います。

私も営業でしたから気持ちはよく分かります。

少しでも多くのことをお客さんにお伝えしよう、自信があるポイントは声高に主張しよう、ついでにプライベートな自分もアピールして気に入ってもらおうと考えるのです。

しかし、その多くが空振りに終わってしまうことを考えると、話す内容を取捨選択することがいかに重要かということがわかるのです。

展示場接客を見ていた店長に怒られた私

営業の専門職であろうがなかろうが、経験の浅い時代にお客さんを接客した経験があれば、誰しもがさまざまな失敗をしたことでしょう。

私もいろいろな失敗をして成長したのですが、幸運だったのは直属の上司の指導力が極めて高かったことにあります。

接客を見ていた上司が私にひと言

いつものように展示場接客をしていた私でしたが、30分程接客をしたのち事務室に帰ると、その上司が私を捉まえてこう言うのです。

上司「今のお客さんの接客後ろでしばらく見てたんだけどさ」

私 「後ろにいたんですか?全然気づかなかったです」

上司「今のお前の顔色を見ると、なんとか充実感に溢れてんな」

私 「そんな風に見えますか(笑)まぁ、なかなか今の接客は力も入りましたし、お客さんも私の話をしっかり聞いてくれたと思います」

上司「違うな。お前の話の半分以上をあの人は聞いてなかったぞ。気づかなかったか?」

私は非常に意外と感じました。

明らかに私の話を熱心に聞いてくれましたし、ふと思い返せば私の目を見ながら何回も頷いていたことをはっきりと覚えています。

ところが、この上司の評価はまったく違っていて、今で言えば私の話は完全に滑ったと指摘するわけです。

壁中の構造の話はほぼ聞いてなかった

この後上司といろいろな話をしたのですが、上司が最もわたくしに強く指導した点は「壁の構造説明は聞いていなかった」ということでした。

確かに私は断熱性の説明を力説したのですが、お客さんは明らかに話を聞いていると私には見えたので、この意見には納得できませんでした。

細かいところは読者のみなさんが実際に接客シーンを見ていたわけではありませんので言葉では説明しようがないのですが、とにかく上司から見ると、お客さんは断熱材の話にはさほど興味がなかったのに私が熱弁するので、聞いているふりをしていたと指摘したのです。

これ以降接客のスタイルを変えた

商談,ビジネスマン

この指摘を受けてからの接客を私は大きく変えました。

次の話は今でも研修やコンサルティングで話すのですが、皆さんも是非参考にされてください。

お客さんの立場としては展示場を見させてもらっている、となるので、営業マンが自分たちにとってあまり有益ではなかったり関心のない説明をしても、露骨に嫌な顔をすることはほぼありません。

これが営業のキモなのです。

自宅に突如やってきた訪問販売員なら話は別です。

こちらの意思に反して勝手に押しかけてきたわけですから、興味や関心がなければ、うるさそうな顔をして追い返せばいいだけのことでしょう。

ところが展示場はこれとは違う枠組みなので、お客さんとしても営業の説明に付き合わざるを得ません。

先ほどの断熱材の話に戻りますが、お客さんから興味を持って断熱材の話を聞かせてくれといわれたわけではなく、積水ハウスの断熱構造を私がアピールしたくてしかたがなかったのです。

ですから、話の流れを無視していきなり断熱材の話を、トップスピードで私は説明し始めたのです。

当時の上司はその流れを後ろから見ていたので「お前の話は滑っている」と気づいたのでしょう。

前置きが長くなりましたが、上司に注意され、また後に私が考えた接客を会話形式でお話ししましょう。

私「壁の中は見えませんがこの中が本当に大事なんですよね。石膏ボードの中には断熱材があり、そして空気層があって、さらに外壁があるのですが・・・」

客「ふむふむ・・・」

私「もっと詳しい話を外壁の模型を使ってお話をできるのですが、お聞きになりますか?いかがでしょう」

客「あっ、とりあえず壁の話は分かりましたので、先にキッチンを見たいのですが」

私「承知しました。では、キッチンに行きましょう」

このような感じの会話を繰り出したのです。

この会話の急所はおわかりでしょうか。

私としては自社の壁の中の構造が自慢なので、お客さんにアピールしたくて仕方がないわけですが、ひょっとしたらお客さんはそんな話を聞きたくないかもしれません。

聞きたくないはオーバーですが、あまり関心がないか、もしくはその話は優先順位が低いかもしれません。

ですから、文中にもあったように「もっと話を聞きたいですか?」とお客さんの意思確認をするようにしたのです。

実際にはこれが効果覿面でした。

露骨に表情を変える人はほとんどいなかったのですが、顔つきや返事のニュアンスで「壁の話はもういいよ」という心の叫びが聞こえたのです。

私にとってこれは大きな収穫でした。

では逆に、このお客さんが身を乗り出して興味を示してきたらどうすればよいのでしょうか。

答えは簡単です。

さらにしっかりと説明をすればよいでしょう。

お客さんは聞きたがっているわけですから、それにしっかりと応えていけば良いだけのことです。

お客さんの顔色をうかがうことの重要さに気づこう

顔色を伺うというと、なんだか小手先の話になっていやなのですが、 端的に言うと、このような表現が妥当です。

ただ、いかにもお客さんの顔を伺ってますよ、と表情に出すのはいかがなものかと思いますので、先ほど私が示しましたようなトークを少しだけ挟み、お客さんの顔をちらりと見ればいいのです。

今回のコラムの表題である【興味のないことを話さない】とはこういうことでした。

「無駄な話で商談や打ち合わせが伸びて困るんだよ」

支店網をたくさん持つ大きな住宅会社の社長とつい先日話をしていたのですが、契約前、契約後に関わらず、以前と比べてお客さんとの商談時間が大変長くなって問題になっているとのことでした。

その原因を聞くと、5分で終わる話を営業や設計がダラダラと話を引き延ばし、10分、20分と長めに話すことがどうやら原因らしいのです。

もちろん、場合によっては話を盛り上げて多少長くさせるのはいいのですが、社長の分析によると5分で終えてもまったく問題ないような雰囲気なのに、あえて突っ込み過ぎていく傾向があり、もっと問題なのはお客さんも心の中で「その話は止めて〇〇の話に進んでくれないかな」と感じているようなフシがあると言うのです。

私はその商談を見たわけではありませんのでなんとも言えませんが、 大変鋭いA社長の目から見てこう見えるのですから、きっと的を射た指摘なのでしょう。

話を脱線させることは潤滑油として必要です。

しかし、相手が希望していないことを潤滑油だと錯覚をして話し続けるのは、全くの逆効果と言えるでしょう。

まとめ

私は23年間にわたってさまざまな講演活動をしてきました。

もちろん、一住宅営業としての経験もありますので、営業としての話術も自分なりに会得しています。

しかし、これだけ気を付けている私であっても、ついつい自分の話をしたり、ふと気づけば自慢話に聞こえるようなことを滔々と話してしまうこともあります。

かなり気を付けているのですが、それでもこのようなミスを犯してしまうわけですから、このコラムをご覧の方々にもそれが当てはまっても不思議ではありません。

気をつけましょう。

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積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。

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