ライバルより多くの新築受注を私ができた理由をお話しします⑥・・・企画プラン集しか売れなかった

規模の大きい住宅会社になると、いわゆる企画プランを準備しているケースが増えてきます。

積水ハウスなどの大手メーカーになれば、数多くの企画プランがあり、それぞれが綺麗なプラン集となって存在しているのです。

豪華なプラン集を作っているところもあれば、二色刷りの見るからに単価をかけていない安価なプラン集を作っている大手メーカーもあります。

これに対して小規模な工務店では、この手のプラン集は存在しないでしょうし、下手をすると中規模の地場ビルダーであっても、全くない会社の方が多いかもしれません。

積水ハウスにはこの手のプラン集があり、当時の者が今でも手元にありますが、この企画プランが受注の大きな武器なりました。

企画プランを準備しよう

本題に入る前にこの話をしましょう。

みなさんの会社には企画プラン集の準備はされているでしょうか。

家族経営や小規模工務店では皆無のはずですし、中規模以上の会社になっても、企画プラン集を備えている会社はあまりないと思います。

企画プランを馬鹿にしていないか

企画プランというと建売を図面にしたようなイメージになり、それをお客さんに押し付けると考えがちですが、私はそのような考えはありません。

実際に企画プランを相当数販売しましたが、それによってお客さんの苦情を招いたり、満足度が大きく低下したような事実はほぼなかったと認識しています。

生涯にわたって住む家を、十パターンの企画の中から選んでもらうなど失礼極まりないという考え方に基づくのでしょうが、お客さんがこのプランに納得して、しかも値段が安ければ、お互いウィンウィンと考えるべきです。

しかし、工務店の中には、この考え方をどうしても受け入れられない方が多いようです。

しかし、一概に否定しているわけではありません。

その気持ちはよくわかりますし、こうした考え方もわたくしは理解できます。

企画プランを参考プランと置き換える

このように考えてみてはどうでしょうか。

会社として企画プランを30パターンか40パターン程度準備したと仮定しましょう。

お客さんに紹介した上で、たまたまその中で気に入ったものがあればそのままやってもらうのもありですし、希望に近いプランがあればそれを参考にしながらフリープランを書いていけばいいのです。

営業「弊社はお客さんの要望を伺って0からプランを考えていきますが、参考プランもご用意していますのでお見せしますね」

客 「参考プランということはこの中から選んで建てるということですか?」

営業「もし気に入ったものがあればそうしていただいても結構です。その場合はかなりお安くできることになります。また、イメージに近いものを選んで頂いて、それをもとにご希望を伺うと話がスムーズに進みますし、お客さんも私達にご要望を伝えやすいかと思います」

客 「なるほど確かにそうですね。ところで企画プランというのは全く変更ができないのですか?」

営業「そんなことはありません。ある一定のルールはありますが、その範囲であれば変更は可能です。ただし、変更の度合いによって金額が変わりますので、それは都度計算させていただきます」

このような形で商談をスムーズに進行できます。

また、偶然にお客さんの希望に沿う企画プランがあれば、お客さんにとっても悪い話ではありません。

私は企画プランを売りまくりました

会社のシステムに助けられた

会社のシステムもあったのですが、基本的には入社3年目まで営業社員は企画プランしか売れない決まりになっていました。

企画しか売ってはダメなので、展示場で接客したお客さんに対しては、企画プランを熱心に進めたのです。

その結果、たくさんの企画プランを売ったのですが、ここで皆さんは疑問を感じないでしょうか?

百人接客をすれば一人ぐらい企画プランで納得する人もいるかもしれませんが、そんなに多くのお客さんが企画プランで納得するはずがないという疑問です。

こうした疑問というか質問を私はこれまで数多く受けてきましたが、 たくさんのお客さんを企画プランで契約できた理由は「一生懸命説明したから企画プランが売れた」としか答えようがありません。

企画プランを毛嫌いするとこうなる

もし、あなたの会社に百プランの企画プランがあったとしましょうか。

しかし、 企画プランはあくまでも企画プランで、メインは0からプランを描くスタイルです。

営業「弊社は0からプランニングをするフリー設計システムなのですが、企画プランも50通りご用意しております。もし、この中でご希望に沿うものがあれば、そちらの方がかなりお安く出来ますよ。プラン集はこちらになります」

客 「なかなか参考になりそうなプランがたくさんありますね・・・ただ、これはこれとして、私たちの要望を聞いてもらいたいものですから、フリープランでやりたいのですが」

営業「はい、わかりました。 一生に一度の家ですからね、決まった間取りから選ぶのは面白くないですよね」

この会話は一見するとなんら問題がないように見えます。

ただ、企画プランはいつまでたっても売れないでしょう。

お客さんに企画プランを紹介した時点で、営業マンの頭の中には「どうせ企画プランだから真剣には勧める気はないけどね」という気持ちが透けて見えるのです。

私が企画プランを爆発的に売れた理由

①企画プランしか売ることはできなかった

冒頭にも書きましたが、私が企画プランをたくさん売れた理由の一つは間違いなくこれになります。

接客したお客さんがどうしても企画プランでは嫌だと言った場合は、 担当を外れて先輩に譲らなくてはいけないルールだったのです。

営業としては絶対にそうしたくないので、お客さんに対して企画プランの良さを腹の底から伝えざるをえません。

一歩間違えば押し売りになってしまいますが、当時の企画プラン自体が極めてよく練り込まれたものだったので、レベルそのものが高かったのです。

ところが、営業10年目の中堅社員では、この企画プランを売ることはなかなか難しかった現実がありました。

営業力がなかったのではありません。

間取りが決まったプランをお客さんに勧めるには、どうしても力量と熱意が必要になってきます。

そんな面倒臭いことをするよりは「せっかくですからプランを描きますので、お客さんのご要望をお聞かせください」とやってしまった方が、楽に商談を進めることができるからです。

端的に言えば、フリープランに逃げるとでも表現すればよいでしょうか。

②プランの特徴やメリットを熟知していた

これについては①と表裏一体です。

1年生から3年生までは基本的に企画プラン集しか販売することができなかったので、どんなお客さんに対しても企画を熱心にアピールすることになります。

そうなると、勧めるプランのデメリットやメリットを含めた総合的な情報を、一つでも多く身につける必要があるでしょう。

ですから、私は徹底的にプラン集を穴のあくほど見つめ、その当時会社にあったプラン集のほぼすべてを暗記していました。

こんな感じでお客さんに企画プランを勧めていた

「積水ハウスは基本的にフリープランで設計しますが、企画プランも多数用意しています。企画といっても構造などはフリープランと全く変わらないので、もしご希望に近い企画プランがあればそれを選んでいただいて、そこに若干の修正を加えた方が圧倒的にお得になりますよ!」

このようなトークを展開した後に引き続き言葉を続けました。

「例えば〇〇プラン集NO45をご覧ください。この間取りはほぼご希望に合致していると思います」

プランを指し示しながら、お客さんの前に該当プランを出すとほぼ全てのケースで「確かに私たちの希望にほぼ合致していますね、ちなみにこれだとおいくらになるのですか?」と聞かれました。

このパターンに持ち込むと、企画プランに若干の変更を加えて受注できる可能性が大きくなるのです。

まとめ

筆を進めながら当時のことが頭の中によみがえってきてきました。

みなさんの場合は、企画プランしか売れないという状況ではないでしょう。

しかし、企画プランを準備すると、具体的な間取りの話をしやすくなるのです。

このように、話の導入をスムーズにするために企画プランを利用しても構いませんし、場合によってはそれぞれにしっかり値段をつけてお客さんが気に入れば企画プランを売るのもありではないでしょうか。

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