契約を数多く取る営業が紹介受注を意識しているのは、当然といえば当然のことでしょう。
私もまさにそうでした。
1年目はさすがに難しかったのですが、2年目の終わりには全国で1位は無理でしたが、地域ブロックでトップ表彰されました。
これは、紹介契約件数はもちろんですが、契約に至らなくてもお客様から頂いた紹介情報も評価されてのことです。
しか、2年目でこのような成績を上げられたのは、ひとえに上司の指導のおかげでした。
「展示場の受注はおまけみたいなものだ」
毎日のようにこう言われ続けたのです。
紹介だけで爆発的な受注を取る上司
とても不思議でした。
住宅営業を始めて3ヵ月も経てば周りが見えてくるので、口には出さなくてもじっくりと観察し色々考えるものです。
直属上司であった人物ですが、契約のほぼすべてを紹介でカバーしていました。
ベテランですから新入社員の私とでは、キャリア、人脈、力量が全く違うのは当然のことです。
ただ、いくらなんでも紹介が多すぎるので、私は常々不思議と思うと同時に、その秘密を知りたいと考えていたのです。
入社してさほど経っていないある日、ストレートな質問を何気なく上司にぶつけました。
私 「店長はどうしてそんなに紹介が多いのですか?」
店長「だってさ、紹介の方が楽じゃん(笑)」
私 「それは確かにそうですよね」
店長「あとは意識の問題だよ。俺は、はなから展示場のお客さんを接客する気はないので、すべて紹介情報から契約するって決めているんだ」
これは意外でしたが勉強になりました。
ノウハウは色々教えてもらいましたが、基本的にはこの考え方をしないと紹介受注は増えないことが分かったのです。
つまり、展示場の接客を主戦場とするのか、もしくは紹介受注をメインと考え、展示場などからの受注ルートはオマケという発想です。
皆さんもぜひこのように考えてください。
受注の大半はあくまでも紹介情報から取るのです。
そして、余力で展示場接客やその他のイベントなどでたまたま巡り会ったお客さんと契約を目指すのです。
言うは易し行うは難しの典型事例かもしれませんが、実際に行動するのではなく考え方の問題ですから、誰でも簡単に真似できるのではないでしょうか。
紹介依頼のハガキまで持ち歩いていた
その当時に今のような便利なメールなどはありませんので、基本的にはすべてアナログ的な行動を取りました。
どんなハウスメーカーにもあったシステムですが、お客さんに紹介を促すための制度が積水ハウスにも存在していました。
「お友達がいたらぜひご紹介ください」
このように書かれたハガキがあったのですが、仕事中はもちろんプライベートの時にも、このハガキをわたくしは持ち歩いていました。
今このようなことを営業マンに強制したらパワハラになってしまいますが、私は誰に命令された訳でもなく、チャンスさえあればこのハガキを接触のあった人に配りまくっていました。
すると、情報が上がってくるから不思議なものです。
このようなハガキは分母が多い方が良いですので、とにかく私はどんどん配ったのです。
ヒット率は低いものの、ちょこちょこと返信のハガキが支店に送られてきたのですが、今思い返せば私は心の底からこのハガキが自分に対して紹介をもたらすものと信じていたのに対し、同期のある営業は「こんなもの送っても反応はないよ」と冷めた対応していたのを思い出します。
私も確証があってやっていたわけではなく、前述の上司から「紹介ハガキがあるから配ってみろ。必ず成果が出るぞ」と言われたのを真に受けていたというのが本当のところです。
結果的には技術論ではなく、紹介を何としてでも欲しいという意気込みや気合の類ともいえるでしょう。
契約直後とその後が勝負
上長にはいろいろと教えてもらいました。
契約直後に絶対に手を抜かない、気を抜かない、というのも私にとって大きなアドバイスの一つでした。
契約まではどんな営業マンも一生懸命やるでしょう。
悪徳住宅会社の営業になればなおさらのことです。
ですから、契約まで必死になってお客さんに接するのは、ある意味当たり前のことで、これがお客さんに評価されるのはもちろんですが紹介には簡単に繋がらないと思います。
お客さんが「この営業に友人知人を紹介したいな」と腹の底から思ってくれるのは、契約前の一生懸命さだけではなく、契約後の丁寧なフォローにあります。
こう聞いた私は早速実践しました。
具体的な手法は簡単で皆さんも真似できると思いますので、ご紹介しましょう。
お客さんの心理状態を考えればわかりますが、数千万円にも及ぶ金額が載った建築請負契約書にハンコ押した瞬間、お客さんの胸にはさまざまな思いが去来します。
「本当にこの会社でよかったのだろうか?」
「契約したらこの営業マンが腑抜け状態になってフォローがおろそかになるのではないだろうか?」
「契約した途端に様々な打ち合わせを急かされて流れ作業のように 家づくりをされてしまうのではないか?」
こうして不安がどんどん湧いて出てきます。
不安を解消するのは営業のマメなフォロー
この不安を解消するためには、営業がこまめにフォローすればよいのです。
難しい話ではありません。
契約日の翌日にノーアポイントでお客さんの自宅に訪問してみてください。
これは私が必ず行っていたことなのですが、何も考えずにとにかくお客さんの家にふらりと足を運んでみるのです。
もし奥様が在宅されていれば、ノーアポイントでやってきたあなたに対して驚いた表情を見せるはずです。
こんな簡単な事が紹介を得る第一歩になると考えてください。
お客さんにとっては、契約までは営業が一生懸命やることは誰でも理解できますし、そんなことは当たり前だろうと思っています。
ところが、契約の翌日に営業マンが何の用もないのに自宅に訪ねてきて、こんなことを言ったらあなたであればどう思いますか。
「昨日契約をしていただきましたけれども、あの後色々とご不安に感じたり疑問に感じたりしたことがあったのではないかなと思い、 なんだか不安になってついついきてしまいました(笑) 大丈夫ですか?何か聞き損なったことがあればお答えしますけども」
誰もが安心すると思いますよ。
それと同時に「この人と契約して正解だったかもしれないな・・・」 と高い確率で感じてもらえるでしょう。
その当時、私は直接訪問形式をとっていましたが、電話やメールでもよいかと思います。
推奨したいのは直接訪問ですが、 お客さんによっては自宅に来られることに抵抗がある方もいらっしゃると思いますのでそのあたりは臨機応変にお考えください。
「誰かお知り合いませんか?」
先ほどの紹介ハガキと似ていますが、人と顔を合わせると私はいつもこう聞いていました。
正直、若干鬱陶しいなと思われたかもしれませんが、このように口に出して、必ず紹介を依頼したことが功を奏したのも間違いない事実でした。
口に出すことによって自分自身の気持ちを鼓舞することにもなりましたし、紹介受注を常に意識する結果にもつながりました。
まとめ
人より契約を多く取るためには、紹介契約がたくさんないと基本的には無理です。
あなたの会社が分譲地をたくさん手掛け、しかもその立地条件が素晴らしく良いなどの条件がつけば、紹介営業に頼らずともその流れに乗ってたくさん受注を取れるでしょう。
しかし、純然たる注文住宅で勝負する場合は、紹介受注をメインとした営業スタイルを確立しないと、数字を積み上げていくのは至難の業だと私は考えています。
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