今回は、不動産業における業務のフローを明確にしておくことで、業務の品質やスピードを向上させて効率化するというお話をしたいと思います。
なぜ業務フローの構築が必要なのか
業務フローというと、「なんとなくフローチャートのようなもので図式化して見せる用にそれっぽくしてるだけで実務では役に立たないでしょ。という人もいるかもしれません。」
でもこれが非常に役に立ちます。
以下事例を共有したいと思います。
以前、とある不動産会社さんでこんな話になりました。
「物件を仕入れる(購入)時のレントロールから、販売までの間に賃料査定が変っていたんだけど、それが販売部門に伝わっていなくてあわや購入希望者さんに間違ったレントロールを出すところだった!」
いやいやそんなこと普通に気を付けてたらおこらないでしょ!
と思った方、危険かもしれません。
こういった事象は業務のあらゆるところで起り得ることです。
一つの案件を複数の部署や複数の担当者で進める場合はもちろんですが、一人で担当している時はなおさらです。
なぜか。
人間は、未来の出来事を正確には予測できないし、何より忘れるからです。
「レントロール変わったら共有しなきゃ」
「物件購入の手付金振込期限わかったら経理に共有しなきゃ」
「決済期日は全員で共有しなくちゃ」
「リフォーム完了予定日は共有しなきゃ」
「管理の見積は販売決済前に提案しなきゃ」
色々やることありますが、これらを全部覚えておくのは無理です!
なので、業務において各工程ですべきことを明確にするために、標準の業務フローを整備しておく必要があるのです。
フローには、
「いつ」
「だれが」
「なにを」
「だれに」
「どのように」
すべきか記載しておくのです。
(より詳細な内容は作業マニュアルやルールを作成して管理する必要があります。こちらは別記事でも触れていきます。)
そしてそれを全員が確認しながら進めるからミスが起きないし誰がやっても同じ品質になるのです。
人によって業務の品質に差が出たり、漏れが出たりするのはこの標準の業務フローの構築と共通認識の有無に原因があります。
そして、賢明な方はここまでお読みになったらもうお分かりのことと思います。
「そこまで明文化されてたら機械が自動でできるのでは?」
その通りです。
業務フローを描いてチェック項目を明示してあれば大抵のことは自働化できます。
業務フロー構築のポイント
業務フローを構築する上では主に以下の4つのポイントを抑えておく必要があります。
①現場のあらゆるパターンをいったん把握する(イレギュラー含め)
現状把握できているものに限定せず、実際に今現場で作業をしているメンバーから実際の作業工程を聞き取りする必要があります。
ある程度の想定はあってもいいかもしれませんが、バイアスがかかっていると重要な工程やパターンを見落としてしまう可能性があります。
②①を踏まえて全体の8,9割を占める標準パターンを決める
現場に聞き取りをすると、細かいマニアックな事例な大変だった事例など大小問わず話に上がる可能性があります。
業務フロー構築で必要なのはあくまで標準パターンですので、その中から大多数で共通する流れを定めます。
その上でイレギュラーや変則パターンとして把握をしておけば構いません。
③システムやツールの活用タイミングを必ず確認して網羅する
業務フローの構築ではシステムや各種ツールの利用タイミングの確認と把握は必須です。
必ず確認して網羅しておきましょう。
④構築後定期的に運用が順守されているか必ず確認し、必要な改定を行う
ここが一番のポイントになろうかと思います。
一度定めた標準フローは順守されなければ絵に描いた餅になります。
現場の担当は個人のやりたいやり方があるかもしれませんが、標準フローは全体最適のためにありますので順守させる必要があります。
これが、不動産業で業務が標準化平準化されない大きな理由の一つとなっています。
業務フロー構築による効果
業務の標準的なフローを構築すると以下のような効果があります。
②業務の標準化(属人化の排除)
③教育コストの減少
④システム化・DX化の成功確率アップ
⑤マネジメントのシンプル化
業務フローの構築だけでもこれだけの効果があり、DX化の際には必ず必要な工程となりますので、皆様ぜひご自身の業務や事業部、会社でどれくらい業務フローが整備されているかぜひ確認をしてみてください。